produzione: PFM / CLAUDIO FABI
produttore esecutivo: FRANCO MAMONE
Franz Di Cioccio: batteria, percussioni, voce
Patrick Djivas: basso
Franco Mussida: chitarre, voce
Mauro Pagani: flauti, violino
Flavio Premoli: tastiere, voce
Bernardo Lanzetti: voce solista
Premiata Forneria Marconi(プレミアータ・フォルネリア・マルコーニ。PFM)といえば、『Per un amico』や『Photos of Ghosts』『Live in U.S.A.(Cook)』あたりの人気が一般的に高いんだと思います。
もちろん、これらのアルバムはとてもクオリティが高く、自分も好きな作品たちなのですが、個人的にもっとも回数多く聴いているのは、じつは『Chocolate Kings』かもしれません。
『Per un amico』には、イタリアの新人グループらしい瑞々しさと繊細な叙情にあふれた素朴な美しさがあるし、『Photos of Ghosts』はワールドワイドなマーケットをねらっただけあり、ロックとしてのダイナミズムが感じられます。
でも、この2枚のアルバムには共通した弱点があります。それは、ヴォーカルの弱さです。演奏力は圧倒的に高いのに、ヴォーカルがいかにもひ弱で頼りなく、それが繊細で透明な印象を醸し出しているという部分もあるのですが、それにしても演奏とのバランスが悪いように感じます。このころのPFMには専任のヴォーカリストがいなかったことも影響しているのでしょう。
その点『Chocolate Kings』にはBernardo Lanzetti(ベルナルド・ランゼッティ)というヴォーカリストがいるため、ヴォーカル・パートでの整合性やダイナミズムが上がっています。
Bernardo自身はけっして優れたヴォーカリストだとは思いませんが、それでも専任のヴォーカリストが入ったことで、PFMというグループの持つ演奏力の高さが一層発揮され、グループ全体のパワーが上がったように感じます。
また、楽曲や演奏の面でも、『Photos of Ghosts』や『The World Became The World』では大仰なアレンジが少しばかり鼻についたのですが、このアルバムでは比較的シンプルに、クリアに、かつテクニカルで歯切れがよくなっています。そのへんが、逆にいえばコンパクトにまとまってしまったともいえるのかもしれません。
しかし、ワールドワイドなロックとしてのダイナミズムと地中海的なキラキラとした明るさ、そして南の海を渡ってくるあたたかくさわやかな潮風を受けているかのような、やわらかくなめらかなフレーズがバランスよく展開する構成は、イタリアン・グループとしてのアイデンティティとクオリティの高さを充分に表現しています。
彼らがデヴュー当時から持っていたイタリアの叙情と、マンティコア・レーベルで身につけた(?)力強さ、そして地中海テイストが渾然一体となったロックが楽しめるアルバムではないでしょうか。とくにアコースティック・ギターとフルートの音色の美しさには心引かれます。
明るさのなかにある叙情的な美しさ、力強さのなかにある繊細さ……そういったものが感じられる作品です。