1: SE BALLA DA SOLA
2: MI MANCHI
3: QUANDO LUI TI CHIEDERA' DI ME
4: IO TI ASPETTERO'
5: DIMMI DI SI
6: RICOSTRUIRE UN AMORE
7: SOGNO A MEZZA ESTATE
8: QUEL CHE NON SI DICE
9: ERAVAMO RAGAZZI
10: 20,000 LEGHE SOPRA I CIELI
produzione e realizzazione: I POOH
arrangiamenti: EMANUELE RUFFINENGO
30年以上も現役で活動を続けている大ヴェテラン・グループとなったPooh(プー)ですが、その音楽にはいまも青春時代のようなひたむきさとみずみずしさが残っているように思います。ルックスはずいぶん老けましたが。
さすがに青臭い若者そのままの過剰な感情移入はなくなり、一歩ひいた落ち着きというか、余裕のようなものは感じられますが、だからといって「なにもかもわかっている大人」的なヴェテラン臭さはありません。いまでも「多少の間抜けさを残した青年」のような気持ちを維持し続けているのではないでしょうか。
1960年代から休むことなく活動を続け、いまも現役ということでは、New Trollsとともにイタリア・ポピュラー界の生き証人ともいえるようなグループになっていますが、New Trollsとくらべた場合、Poohのほうが独自の個性、特色といったものが薄いかもしれません。
初期のサイケデリックからプログレッシヴ・ロックを経て現在のポップスへと、表面的な肌触りを変えながらも常にNew Trollsであり続けた彼らに対し、Poohは基本的にわかりやすく素直なポップスを演奏し続けていました。そこに聴ける音楽は、明るい陽射しと青く澄んだ空、ちょっとおしゃれでドラマもあり、メロディとコーラスはどこまでも美しいという、ある意味で典型的なイタリアン・ポップスといえるでしょう。そういった、まさに「イタリアン・ポップスとはこういうもの」といった感じの音楽を演奏し続けてきたために、いまとなってはあまりにもステレオタイプ的、最大公約数的に聴こえてしまうところもあるのではないでしょうか。
しかし彼らは、ずっと昔からこういう音楽を演奏し続けているのです。こういった音楽がステレオタイプ、最大公約数になる前から、Poohの音楽として演奏していました。
つまり、ステレオタイプで最大公約数的なイタリアン・ポップスこそが、Poohの個性といえるのかもしれません。その意味で、もっともイタリアン・ポップスらしい音楽を奏でるグループということもできるのではないでしょうか。
なんのギミックもなしに、常にイタリアらしい美しさと柔らかさを持ったポップス、つまりPoohのポップスを追求し続けてきた彼らの音楽には、目新しさや珍しさはありません。その代わり、アルバムをプレーヤーにかければいつでも音楽の向こうに、いつもと同じ親しみのある笑顔でこちらを迎え入れてくれる子供時代からの友人がやさしく手招きしているような、そんな感じを受けます。
明るい太陽と青い空、そしてさわやかに乾いた潮風を浴びながら、親しい友とゆっくりくつろぐ海辺──そんな情景がピッタリくる、優しい気持ちにあふれた音楽です。