1: UN GRANDE AMORE
2: NON DIMENTICARTI DI ME
3: STAI CON ME
4: PADRE A VENT'ANNI
5: TI SPOSEREI DOMANI
6: IO TI VORREI DI PIU'
7: I RESPIRI DEL MONDO
8: BUONA FORTUNA E BUON VIAGGIO
9: L'ALTRA FACCIA DELL'AMORE
10: DEVI CREDERCI
11: PUOI SENTIRMI ANCORA
produzione e realizzazione: I POOH
arrangiamenti: DANILO BALLO
30年以上にわたって現役で活動を続けているPooh(プー)がリリースした20世紀最後のアルバムは、抑えた情感が胸に染みる、おだやかな作品となりました。
明るくさわやかなメロディと甘いセンチメンタリズム、そして豊かな音空間は、彼らの大きな魅力ですが、今作でもそういった持ち味は充分に発揮されています。
ただ、曲の傾向として、感情を素直に出したり、抜けるようなイタリアの空の青さを感じさせるクリアな性格を持ったものよりも、そこからうしろに1歩引いた、いくぶん客観的なかたちで感情を伝える……そんな感じの曲が多いように思います。
結果として、このアルバムは、Poohらしさは失わずに、より重量感、密度の感じられる作品に仕上がっているといえるでしょう。都会的なロマンティシズムを持ったアルバムです。
相変わらず演奏はうまく、厚みのあるコーラスワークも健在です。短調の曲が多いですが、1970年代のような濃密な哀愁はなく、コントロールされた落ち着きのある哀愁を表現しています。
そもそも1970年代のイタリアン音楽シーンに思いをはせてつくられた作品だとのことですが、そのコンセプトは生かされていると思います。歌が“歌”として、メロディ、リズム、和声の美しいバランスのうえに成り立っていた時代へのオマージュともいえるのではないでしょうか。
ひさしぶりに会っても、まるで昨日も一緒に遊んでいたかのような、開けっぴろげな親しみを顔いっぱいに表わしてくれる、むかしからの親しい友人といったイメージが、Poohに対しては個人的にあります。
その点からすると今作は、そこまで素直に友好的ではなく、いくぶんよそ行きな印象を受けます。自分は彼らの作品をすべて聴いたわけではありませんが、これまでの彼らの作品とくらべると多少、肌触りが違うように感じます。でも、よそ行きにすましてはいても、心のなかは親愛の情に満ちていることが伝わってきます。
20世紀最後の秋・冬を暖かい気持ちですごさせてくれるに充分な、ロマンティックでハート・ウォーミングな極上のメロディアス・ポップスが聴けます。