prodotto, arrangiato e realizzato da Roby Facchnetti, Red Canzian, Dodi Battaglia, Stefano D'Orazio
Dody Battaglio: chitarre
Red Canzian: basso
Stefano D'Orazio: batteria
Roby Facchinetti: tastiere
自分は熱心なPooh(プー)ファンではないので、彼らの長い活動と大量のアルバムをきちんとフォローしていたりはしません。プログレッシヴ・ロックのファンにも人気のある1970年代のアルバムは比較的持っているけれど、1980年代以降のアルバムはたまたま中古などで安く見つけたときに買うくらい。でも、いつ聴いても、どの年代のアルバムを聴いても、そこには必ず「Poohの音楽」があるところがすごい。偉大なるマンネリとかスーパー金太郎飴とかいわれることもありますが、一貫してこれだけのクオリティを維持し、ポピュラリティをもち続けるというのは、なかなかできることではありません。
それでもって『Buona fortuna』です。イタリアでのリリースは1981年でしたか。自分の手元にあるのは1987年のフランス盤だったりしますが。もうオープニングのタイトル曲「Buona fortuna」でしびれてしまいます。リズミックなピアノのストロークにかぶさってくるギターのティキトゥクティキトゥクというフレーズ、そしてズチャチャチャァラァ〜とユニゾンでコードを鳴らしてヴォーカル・パートへ。このまま単純なコード・ストロークでバックの演奏が続くのかと思いきや、ギターは常にフレーズを奏で続け、キーボードはコードを響かせ、ベースもメロディを弾き、ヴォーカル・ラインとあわせて重層的なハーモニーを構築してる。単純なコードのユニゾン・ストロークとかぜんぜんない。それぞれの楽器がそれぞれの役割とメロディを持って全体のコードやハーモニーを構成してるんです。すごいアレンジだ。なのに、そこにすごさとか重さとかくどさとか押し付けがましさを感じさせず、ひたすら明るく軽やかにさわやかなポップスなのが、さらにすごい。
続く「Banda nel vento」は出だしのヴォーカル・ラインが可愛らしくて素敵。そしてサビの「Vorrei, vorrei 〜」は一緒に歌いたくなるようなシンプルで印象的なメロディ。そういえばライヴ盤『Palasport』では会場中で大合唱してましたね、このパート。
また、「Dove sto domani」(だったかな)ではRed Canzian(レッド・カンツィアン)が、あたたかい音色のフレットレス・ベースで愛情あふれるソロを聴かせてくれたり。Redのフレットレス・ベースのソロって、ほんとにいい音だし、やわらかで素敵なメロディを聴かせてくれます。彼はイタリア・ポップス界でも屈指のフレットレス・ベース・プレイヤーですね。
ポップで速いテンポの曲からスローなバラードまで、曲のヴァリエーションや配置も非常によく考えられています。もちろん、かんぺきに美しいコーラスもたっぷり導入されています。そして自分は、どの曲を聴いても、イタリアの突き抜けるような青空を想い出すのです。乾いた風、ゆっくりと流れる時間、おしゃれなんだけどちょっとシャイな人々の笑顔... 「憧れのイタリア」のよい姿が、ここにはたくさん詰まっているように感じます。それこそがPoohの魅力なんだろうな。