prodotto da ROBERTO RIGHINI
M2, M3, M9 sono prodotti da ROBERTO RIGHINI e GAIO CHIOCCHIO
arrangiamenti di ROBERTO RIGHINI e CARLO PENNISI
M2 e' arrangiato da ENRICO COSIMI
M9 e' arrangiato da GAIO CHIOCCHIO ed ENRICO COSIMI
クールで落ち着いた歌声が魅力的です。キンキンしたところがなく、耳に優しい声質ですね。そのうえ、深みと暖かみもあります。これといって歌唱力が高いわけでも表現力が豊かなわけでもなく、どちらかというと淡々としたヴォーカルなのですが、声の味わいが曲に奥行きを与えています。こういった声と歌い方には、あまり凝ったアレンジは必要がなく、それよりも素朴なフォーク・タッチの曲のほうが魅力を表現できそうです。
アルバムにはフォーク・タッチの曲やスロー・ジャズ風のもの、いくぶんアップ・テンポのものなども収録され、それなりのバラエティ感がありますが、ヴォーカルに求心力があるので、どの曲もPaola Turci(パオラ・トゥルチ)ならではの味わいになっています。ヴォーカルによって与えられる、大人の落ち着きと、いくらかのミステリアスさが、曲の魅力を高めています。Ornella Vanoni(オルネッラ・ヴァノーニ)やMina(ミーナ)などに通じるところもあるように思いますが、そこまで貫禄がついていないところが自分にとっては好ましいです。
M2「Paura di vivere (la lettera)」で聴かれる「ハイテンポで演奏される喜多郎」のようなバックのシンセサイザー・アレンジは、いかがなものかって感じです。もっとおだやかなアレンジだったら、壮大さとスペイシー感がPaolaのヴォーカルをもっと盛り上げたように思います。
M5「Saigon」はライヴ録音です。エレキ・ヴァイオリンの響きが独特の哀愁を漂わせ、ミステリアスな感じのフォーク・ソングになっています。
M7「Due donne」はシリアスな感じのフォーク・ソングで、ここでもPaolaのヴォーカルが魅力的に響きます。アコースティックな演奏もよく、Paolaのヴォーカルにはやはり、こういったシンプルな演奏のほうが合うなと感じます。歌メロはどことなくAmedeo Minghi(アメデオ・ミンギ)風なので、Amedeoのような壮大なキーボード・オーケストレーションを配してもよい感じになるかもしれません。
M8「Mattinata」はレゲエ風のリズムを取り入れた、やわらかく軽やかな曲。アフリカン・ミュージックのような明るさがあります。こういった曲でもPaolaの素直な歌声が心地よく響きます。
M10「Ti amero' lo stesso (strumentale)」はどことなく田園風な雰囲気の漂うインストゥルメンタル・フォーク。シンセサイザーによるオーボエ(かな?)ののんびりした音色がいい感じです。