Josef Skrzek: moog syntezator, string syntezator Concert Spestrum, clavinet D6, el.piano, foukaci harmonika, zpev
Apostolis Antymos: kytara, buzuki
Jerzy Piotrowski: bici souprava, percussion
ポーランドのグループだったと思います。彼らにはただ「SBB」というタイトルのアルバムが何枚かあってわかりにくい(Peter Gabrielみたいだ)のですが、うちにあるのは1987年リリースのポーランド盤LP。それをMDにコピーして聴いてます。
自分は、全体的にキーボード/シンセサイザーが主導権を握るロックってちょっと苦手です。キーボードの音やオーケストレーションは好きなんですが、なんでもかんでも全部キーボードでといった感じ、というか、ヴォーカルやギターの比率が極端に低いキーボード・ロックが苦手なんです。だからELPもあまり好きじゃないし、あまたある「ELPタイプ」と呼ばれるキーボード・トリオとかもあまり好きじゃありません。
そしてSBBはポーランドのELP? と呼ばれてたかどうかは定かではありませんが、おもいっきりキーボード主体のトリオ編成ロックです。だからか、もう長いこと聴いてませんでした。聴くの、めちゃめちゃひさしぶりです。
全体的には、やはりキーボード・メインでギターやヴォーカルの比重は低く、個人的な好みにはあまり合いません。LP片面1曲ずつの計2曲というアルバム構成で、どちらかというと苦手なタイプの曲を聴き続けるのは、ちょっとつらいところもあります。
ただ、比重は少ないながらも、ヴォーカルはいいんですよねぇ。何をいってるのだかぜんぜんわからないポーランド語?の響きには、いかにも「ヨーロッパ!」な哀愁が感じられますし、声質もどことなくつらそう(笑)でいい感じ。メロディも非常にヨーロッパ的。といってもイギリスやドイツなどの西ヨーロッパ的な重厚感や深みではなく、東欧のフォルクローレやイタリア中南部の伝統音楽などをときに思わせるエキゾチックさを持ったヨーロッパ音楽を感じさせます。こういうメロディに出会えることがユーロ・ロックの楽しみだったんだよなぁということを思い出しました。
A面(M1)とB面(M2)では、自分はA面のほうが好きです。なんだかちょっと腑抜けちゃったB面よりも、圧倒的に構築美と緊張感と哀愁があるように感じます。とくに前半はヴォーカル比率も高く、キーボードだけでなくギターもきちんとアンサンブルで活躍しているのが好ましい。穏やかな海上で風を感じながら波に揺られているかのごときキーボードのバッキングも心地いいです。
A面も後半に入ると大キーボード・プログレ大会になってしまい、ヴォーカルもギターもどこかへいってしまうので、少しつらくなってくるのですが、それはそれでスリリングでスピーディな演奏が繰り広げられていて、きっとキーボード・ロックのファンにはうれしい展開なんだろうなと思います。そういったことも含めて総合的に考えれば、やはり優れた東欧プログレッシヴ・ロックのアルバムなんでしょう。実際、ひさしぶりに聴いて「おぉ! なかなかいいじゃん」とも思いましたし。
それでも、やはり自分の好みでいえば、せっかくの味わい深いヴォーカルをもう少し聴かせてくれればなぁ、と思ってしまうのです。