1: KRISTO SI!
2: ROSPO
3: NERO VIVO
4: ZAPPING
5: SOGNI O BISOGNI?
6: TRADIMENTO
7: DEUX HEURES DE SOLEIL
8: MOMENTO MORTO
9: HEROES
10: WE WANT BIANCHI
11: KRISTO SI! (bonus track) vocal drum slow dub version
prodotto da MAURO PILATO e MAX MONTI
JOHN DE LEO: voce, cori, rospi
VALENTINO BIANCHI: sassofoni
ANDREA COSTA: violino
GIONATA COSTA: violoncello
STEFANO RICCI: contrabbasso
ヴォーカル、ヴァイオリン、チェロ、コントラバス、サキソフォンで構成される5人組のグループ。1999年のサンレモ音楽祭に参加しましたが、いまどきこのメンバー構成で普通のポップスが出てくるはずがありません。
というわけで、ポップス・ファンよりはプログレ・ファンなどにアピールするのではないかと思うチェンバー・ポップです。
音の肌触りとしては、イギリスのElectric Light Orchestra(エレクトリック・ライト・オーケストラ。ELO)の最初期のころの音楽性に似ているのではないかと思います。粗いけれどどことなく人懐こいポップ・センス、引っ掛かりのあるストリングス・アンサンブル、ちょっとクセのあるメロディなど、ある意味とてもイギリス的です。
そこにサキソフォンが入り、ちょっとジャズっぽいアレンジと、少しソウルっぽいヴォーカルが重なり、もはや国籍不明です。
グループ編成がこうなので当然ですが、全編を通して弦楽隊とサキソフォンががんばっています。曲によってはさらにヴィオラやトロンボーン、コルネットなどのオーケストラがゲストで参加しています。
しかし、いわゆるクラシックぽさはほとんど感じさせません。現代音楽的なところは少しありますが。
Quintorigoの音楽は、思いっきりリスナーを選ぶタイプのものだと思います。ジャンル的にポップスともロックとも言い切れず、もちろんジャズや民族音楽などでもなく、どこに分類すればいいのか、わかりません。
だから、やっぱり古くからのプログレ・ファンが聴くしかないように思うのです。
なんとなく自分は、日本のAfter Dinner(アフター・ディナー)とかQuasimode(カジモド)、オーストラリアのRainbow Theatre(レインボウ・シアター)とかを思い出してしまいました。あるいは暑さで脳みそが沸騰してしまったベルギーのJulverne(ジュルヴェルヌ)といった感じでしょうか。
もちろん、これらのプログレのグループと同じような、プログレ的な完成度を期待されても困るんですが、彼らが70年代、80年代にやっていた音楽の遺伝子を、90年代も終わろうかという現在に、サンレモに出場するようなグループのなかに見つけたような気がするのです。なんか、とても懐かしい感じです。
古いプログレ・ファン以外でも、たとえば初期のELOやthe Beatles(ビートルズ)の音楽に心引かれる人、さらにはイギリスのMagazine(マガジン)やCockney Rebel(コックニー・レベル)、アメリカのTelevision(テレヴィジョン)などのちょっとパンキッシュでユーロ・テイストの強いグループが好きな人などは、この音楽を楽しめるような気がします。
David Bowie(デヴィッド・ボウイ)の「Heroes」をカバーして収録しているのですが、なんとなく「なるほど」と思う選曲です。