1: GENERAZIONI
2: PICCOLO GUERRIERO
3: PADRE MADRE
4: CANTO
5: SEI COME L'ARIA
6: CUORE DEL MONDO
7: REALTA'O VIRTUALE
8: VERRA
9: OLTRE LA FRONTIERA
10: IL RAGAZZO CHE SOGNAVA AEREOPLANI
この人、フランコ・バッティアート(Franco Battiato)なんかと同系統の、アヴァンギャルド系の人だと思ってた。
このアルバムのジャケットは、雲の間を飛んでいく飛行機を水彩画ふうに描いたもので、どことなくマイク・オールドフィールド(Mike Oldfield)の『 Five Miles Out 』を思わせる。
これ以外に自分は『 Generazioni del Cielo 』(1986年)という2枚組LPをもっているのだけれど、それは弦楽を中心とした非常にクラシカルなアルバムで、プログレッシヴ・ロック・ファンのあいだではけっこう知られている。
これらのことから、けっこうシンフォニックなプログレッシヴ・カンタウトーレを期待していたのだけれど、そんな感じはまったくなかった。
明るいのですよ。そして、さわやかなのですよ。
アクア・フラジーレ(Acqua Fragile)ほどではないにしろ、あの“くさいイタリア”な感じはほとんど皆無。メロディも大袈裟な盛り上がりなどなく、かなり淡々と、さっぱりとしているんです。
緩急の差が激しい、感情が爆発しているようなイタリアン・ポップスを期待すると、思いっきり肩透かし。曲のタイプとしては、地味だけれど性格の明るい、前向きな(^^;)マリオ・カステルヌオヴォ(Mario Castelnuovo)かアメデオ・ミンギ(Amedeo Minghi)?
ある意味とても都会的(と自分は思ってしまう)であるけれど、都会のもつさりげなさのなかに優しさが包み込まれているような、そんな感じ。
ところどころにイタリアを思わせる美しいメロディは出てくるし、ロベルトのピアノもしっとりと落ち着いた音色を奏でてる。気のぬけた女声コーラスはいまひとついただけない感じだし、かすかに入っている弦や管楽器にはもう少しドラマティックになってもらいたかったとも思うけれど、ロベルトのちょっと頼りなげな声を何回も聴いていると、いわゆる“唄もの”としてのよさが少しずつにじみ出てくる。
1曲目にはフランコ・バッティアートがヴォーカルで参加、10曲目はピアノ・ソロ。
展開等が派手な曲、飛びぬけて印象的な曲がない(それでも「 PADRE MADRE 」のサビなんかはついいっしょに口ずさんでしまいそうだけれど)ため、全体的にひじょうに地味なのだけれど、きっといいアルバムなんだと思う。
ただ、そう思うためにはある程度繰り返して聴く必要がありそう。
感情の起伏が激しいイタリアン・ポップスを聴くだけの体力(身体的/精神的な)がないときに聴くと、とても心休まるアルバムなんじゃないでしょうか。