arrangiato: Giovanni Tommaso, Shel Shapiro
prodotto: Shel Shapiro, Serge Perathoner
drums: Derek Wilson, Claude Salmieri
violin: David Rose
bass: Giovanni Tommaso, Gerard Prevost, Paolo Donnarumma
keyboards: Sandro Centofanti, Serge Perathoner, Stefano Pulga, Riccardo Cocciante
pedal steel: Roberto Colombo
guitars: Shel Shapiro, Carlo Pennisi, Claudio Bazzari
percussions: Derek Wilson, Maurizio Preti, Steve Shehan
ottavini: Ugo Eredia
accordion: Andrea Tosi
marimba: Loris Lenti
harmonica: Fabio Treves
chorus: Lella Esposito, Marco Ferradini, Pino Ferro, Silvio Pozzoli, Wanda Radicchi, Rossana Casale, Aida Castignola, Francoise Goddard, Riccardo Cocciante
1970年代のRiccardo Cocciante(リッカルド・コッチァンテ)は、ドラマティックな曲が多かったように思います。もちろん「Poesia」のようなおだやかでさりげないメロディと歌が魅力的なものもあるのですが、それ以上に、彼の力強いひび割れ声による熱唱の部分に心を揺さぶられた人は多いのではないでしょうか。
しかし1980年にリリースされたこのアルバムには、そういったドラマティックさがほとんど感じられません。代わりに、なめらかなメロディとロマンティックさが前面に出てきています。
こういった作風はその後、1990年代から21世紀に入ってもあまり変わらない、彼の基本的な作風になっているように思います。というよりも、1970年代のほうが本来の持ち味からすると異質なのかもしれません。
声はあいかわらずひび割れていますが、リキんで歌うようなフレーズがないので、それが強烈には伝わってきません。その代わり、なめらかなメロディに乗って、ほどよい哀愁を漂わせることに貢献しています。
多くの曲でDavid Rose(デヴィッド・ローズ)のエレクトリック・ヴァイオリンがなんとなく沈んだ音色を響かせていますが、これは、作品のアレンジ的にはどうなんでしょうか。
David Roseといえばフランスのジャズ・ロック・グループ、Transit Express(トランジット・エクスプレス)に参加していた人だと思いますが、同じエレクトリック・ヴァイオリニストということであれば、イギリスのEddie Jobson(エディ・ジョブソン)や日本の川口貴のような艶のある音のほうが自分は好きです。
Davidの音は、ちょっとサイケっぽいと同時に、フィドル風な印象もあるように思います。それが曲に独特の味わいをつけている部分もあるのですが、多くの場合は曲の輪郭をぼやかしてしまっているような気がします。
ただM7「Non e' stato per caso」では、このヴァイオリンが東洋的な幻想イメージを醸し出し、落ち着いた趣のある曲に深みを与えています。
全体に悪いアルバムではないのだけど、歌にも曲にも、そしてアレンジにも、もう少し瞬発力のようなものを期待したかったところです。リラックスした感じが心地よいとはいえますが。
なお、コーラスにカンタウトーレのMarco Ferradini(マルコ・フェッラディーニ)、そしてジャズ・ポップ・シンガーのRossana Casale(ロッサーナ・カザーレ)が参加しています。
また、M10「Suonare suonare」はPremiata Forneria Marconi(プレミアータ・フォルネリア・マルコーニ。PFM)の曲です。