produzione e realizzazione: Giancarlo Lucariello
orchestrazione e dirzione: Danilo Vaona
Mino Fabiano: basso
Riccardo Fogli: basso
Cesare Bindi: batteria
Gianni D'Aqulia: batteria, timpani, percussioni
Danilo Vaona: organo eminent, piano hohner, clavicembalo, campane, mellotron, mini moog, sixstro, vibrafono, celeste, poly moog
Enzo Giuffre' e Luigi Lopez: chitarre, steel guitar, mandolino, armonica
1947年、斜塔で有名なPisa(ピサ。現地の人たちはピザと発音しているように聴こえた)の近郊、Pontedera(ポンテデラ)の生まれ。ということは、まもなく還暦ですか。Riccardo Fogli(リッカルド・フォッリ)って、なんとなく、いまでも、そしていつまでも、甘酸っぱくも青臭い青春ポップスを歌い続けているような印象があるのですけれどね。
これはPooh(プー)を抜けてソロになってからのサード・アルバム。世界初CD化だそうです。自分はRiccardoの熱心なファンではないので、そんなに多くの作品を聴いたことはないのですが、それでもひとたび音がスピーカーから流れ出すと「あぁ、Riccardoだぁ」とすぐに感じられるアルバムになっています。
やさしげで、おだやかな明るさがあって、そのなかに切なさや壊れやすそうな感じがときどきちらちらと見え隠れする歌声。Riccardoって「甘い歌」という印象があったのだけど、このアルバムを聴いていると、実はそんなに甘い感じはせず、意外と健康的な(活動的ではないけれど)印象を受けました。
Alice(アリーチェ)のセカンド・アルバムと同じDanilo Vaona(ダニロ・ヴァオーナ)がアレンジを担当しているためか、Aliceのアルバム同様、オーケストラとコーラスがこれでもかというほど導入されています。ただ、Aliceの場合はこれがAliceの個性を打ち消したり個性とぶつかったりしている印象を受けたのに対し、Riccardoの場合はぴったりはまっているように感じます。このへんはやはり、もともと持っている「シンガー」としての個性や特性の違いなのでしょうね。
全体にゆったりとしたメロディを並べていった感じのものが多く、曲そのものはシンプルだと思います。そのシンプルな曲を、厚いオーケストラとコーラス、そしてRiccardoのさわやかで優しい声が色付けし、奥行きのあるロマンティックなものにしあげています。
M1「Ricordati」はちょっと切ない感じで始まり、サビではコーラスとオーケストラが入ってロマンティックに盛り上がります。
M2「Il giorno comincia qui」はアコースティック・ギターのアルペジオに導かれ素朴なフォーク・タッチに始まります。リズム・セクションが入ってからはコーラスとメイン(ソロ)ヴォーカルが交互に歌われます。ゆったりしたメロディの、優しい感じにあふれたスローな曲です。
M3「Paola」はのっけから厚いオーケストラが鳴り響きます。歌メロが始まるとシンプルな演奏になり、Riccardoの甘くやさしい歌声が楽しめます。サビに入るとまた厚いオーケストラがかぶさり、Riccardoらしいゆったりしたメロディのドラマティックなものになっていきます。
M4「Dolce straniera」ではハープ(だと思う)によるアルペジオが入り、すっかりおなじみとなった厚いオーケストラとコーラスによる演奏がRiccardoのヴォーカルをバックアップします。ただ、曲そのものは平凡かな。
M5「Era musica, era amore」は、ここまでの流れに少し変化を与えるためか、リズムが強調された曲。アタッチメントを通した(と思うのだけど、どうかな)エレクトリック・ピアノの軽やかなコード・ストロークが英米風で気持ちいい... と思っていたら、サビでは分厚いオーケストラが鳴り響き、一気にRiccardoらしいイタリアン・ポップスの世界に突入します。そしてサビ後はまた軽やかに... と、ちょっと変な構成の曲です。
M6「Stella」はトレモロで演奏されるイントロのメロディが印象的。ヴォーカル・パートは少しさびしげなメロディで始まりますが、サビではイントロのメロディが厚いオーケストラにのって歌われ、そこはもう明るくておだやかでゆったりとしたRiccardoの世界。とても素敵なのだけど、このあたりでそろそろオーケストラはおなかいっぱいな感じになってきました。
そんな感じを見透かすかのように、M7「Vendo sogni」ではオーケストラが控えめになり、ピアノとキーボードの比較的こじんまりとした演奏がされています。
M8「Anna ti ricordi」はまた、明るくあたたかく優しい感じの、とてもRiccardoらしい曲。小さな「美しいメロディ」を積み上げていったら全体がとても愛らしく仕上がった、といった印象を受けました。
M9「E la citta' si addormenta」は、このアルバムのなかでは異色な感じのするポップな曲。エレキ・ギターのコード・カッティングなども入り、他の収録曲にない軽快さをもっています。
そしてアルバム・ラストのM10「Piccola buonanotte」は、タイトルどおりのセレナード。オーケストラとハーブによる演奏にRiccardoのやさしい歌声がのり、美しく幕が降ります。