i Romans(ロマンス)は1970年代に活動していたグループ。Pooh(プー)やCollage(コッラージェ)、Homo Sapiens(オモ・サピエンス)などと同様の、日本ではいわゆるラヴ・ロックと呼ばれるタイプのグループのひとつです。
1970年代にアルバムを5枚ほどリリースしているようですが、どれもCD化されていません。ベスト盤CDも、新録によるものはいくつかリリースされているようですが、オリジナル録音のものはあまり見かけない気がします。
この『Un momento di piu'』はオリジナル録音を集めたベスト盤なので、もしかしたらけっこう貴重なのかもしれません。きっとすぐに廃盤になってしまうだろうし。
大成功したPoohとくらべるのはかわいそうですが、大手のCBSレーベルに所属していたPoohに対し、Romansは聞いたこともないようなマイナー・レーベルを転々としていたようで、アルバム制作にお金をかけられなかったのでしょう。
曲のタイプとしてはPoohなどと同系統なのですが、Poohのようなドラマティックなオーケストラは入っていません。「Fingevo di dormire」などでわずかにひっそりとストリングス等の音が聞こえますが、このCDに収録された曲の大半は、Poohならば豪華なオーケストラが入ったであろうところもキーボードで代用されています。
その分、スケール感が小さくなってしまうのですが、それはそれでサッパリとした感じがして、よいともいえます。使用量は多いのだけどアレンジのためあまり強い哀愁を感じさせないコーラスといい、全体的にほどよい濃さの味つけになっています。
それぞれの曲の持つフレーズには1970年代前半のイタリアン・ポップスらしいなめらかな美しさがあり、好感が持てます。ただ、曲になったときの展開や構成にドラマ性や起伏があまりないため、曲としてのインパクトは弱いといえるでしょう。
そういったところも、成功したPoohなどにくらべるとこじんまりしているなという印象を受けます。