RON


UNA CITTA' PER CANTARE (1980年)

   ロン / ウナ・チッタ・ペル・カンターレ (歌の街)
    (BMG RICORDI: 82876624112(1) / イタリア盤CD)



jacket photo
  1. UNA CITTA' PER CANTARE (THE ROAD)
  2. COME VA
  3. NEL DESERTO
  4. IO TI CERCHERO'
  5. NUVOLE
  6. MANNAGGIA ALLA MUSICA
  7. HAI DECISO TU
  8. TUTTI CUORI VIAGGIANTI


produced by Alessandro Colombini








たしかデビューは1970年代の中ごろだったような気がします。最初の頃は本名のRosalino Cellamare(ロザリーノ・チェッラマーレ)で活動していましたが、その後Ron(ロン)に改名し、おそらくいまも現役なんじゃないでしょうか。最近はあまり名前を聞かない気がするけれど。アルバムもけっこうたくさんあり、根強いファンもいるようです。

しかし自分にとっては、いつも「もうちょっとなんだけどなぁ」という物足りなさや歯がゆさを感じてしまうカンタウトーレ。メロディもそこそこきれいだし、ヴォーカルもそこそこ味わいがあるのだけど、けっきょく「そこそこ」でしかなく、あともう一歩のドラマというか奥深さというかアピールの強さがあれば... と、いつも思ってしまいます。

そんなわけで今回も、たまたま1980年代前半のアルバム3枚のボックス・セットが中古で安く売っていたので買ってしまいましたが、それほど期待せずに聴いたのですよ。で、聴いてどうだったかというと、やっぱり「もうちょっとなんだけどなぁ」という感じでした(笑)。

1曲目のアルバム・タイトル曲はいい感じで、ヴァイオリンとギターのみの地味〜な歌から途中でコンサートでの歓声のSEが入り、その後はオーケストラが導入されて盛り上がっていく、という構成は、ベタな感じではあるけれど、素直にじ〜んときてしまいました。この曲で「もしや今回は!」とかなり期待したほどの、なかなかの曲です。

しかし、その後は良くも悪くもないロックだったり、すっごく普通なフォーク・ソングだったり、微妙に平凡なポップスだったり。

M2「Come va」とM3「Nel deserto」はロック系の曲なのですが、これ、きっとDavid Bowie(デヴィッド・ボウイ)とかが歌ったらもっとかっこいいと思うんですよ。いや、ほんと、David Bowieに歌ってほしい。Ronには、こういったちょっとクセのあるポップ・ロックをかっこよく歌いこなすのは難しそうです。

M6「Mannaggia alla musica」はFrancesco De Gregori(フランチェスコ・デ・グレゴーリ)の曲なのですが、いかにもDe Gregoriらしい、とても素朴なフォーク・ソングです。これ、De Gregoriが自分で歌ったなら、素朴ななかにも味わい深さが感じられるものになるのだろうけど、Ronが歌うと普通のフォーク・ソングになっちゃう。

M5「Nuvole」などは、おしいんだよなぁ。Giampiero Reverberi(ジァンピエロ・レヴェルベリ)のアレンジによるオーケストラも入って、イタリアらしいやわらかなメロディもあって、ロマンティックに盛り上がっていきそうな気がするのに、気がするだけで終わっちゃう。なんでだろうなぁ。メロディ自体は悪くないのに、曲全体の構成というか、曲としてのドラマのつくり方があまりうまくないんだよなぁ。

アルバム・ラストのM8「Tutti cuori viaggianti」も、イントロでは少しジャジーな雰囲気を漂わせてて、なんとなくしゃれた大人のロマンを振りまくのかと思ったら、歌が入ったとたんに普通のポップスになっちゃうし。

そんなわけで、自分の感想としては「あいかわらずなRon」といった感じのアルバムですが、それでもM1がいい曲だったので、それだけでもOKとしましょう。

ちなみにこのアルバムに収録されている曲のほとんどはLucio Dalla(ルーチォ・ダッラ)とRon(クレジットでは本名のR.Cellamareになってるけど)によるもので、M3はDe Gregoriとの曲、M6はDe Gregoriのみの曲だったりするのですが、アルバム中ベストと自分には思えるM1はL. Dalla-O'Keefe名義なのですよ。O'Keefe(オキーフェ?)って誰だろう? わかりませんが、少なくとも、曲づくりにRonがかかわらないほうがいい曲ができる、という証明のような気がします(笑)。

(2006.03.21)







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