ROBERTO SOFFICI


IL MEGLIO (1996年)

   ロベルト・ソッフィーチ / イル・メッリォ
    (D.V.MORE RECORD CD DV 6037 / イタリア盤CD)



soffici1   1: ALL'IMPROVVISO L'INCOSCIENZA
  2: IO TI VOGLIO TANTO BENE
  3: NON CREDERE
  4: PERDONA BAMBINA
  5: COME BIANCANEVE (dedicato a Gaia)
  6: LA PUBBLICA OTTUSITA'
  7: NEL DOLCE RICORDO DEL SUO SORRISO
  8: UN PUGNO DI SABBIA
  9: DIMENTICARE
 10: INVECE ADESSO
 11: UN GIORNO INSIEME
 12: TANTO DONNA
 13: STRANO MOMENTO
 14: CASA MIA
 15: UNA STELLA...







 ミラノ出身のロベルト・ソッフィーチは、1970年代はじめの頃から活動しているカンタウトーレ。
 このアルバムは、タイトルどおり、彼のベスト盤なのですが、オリジナル・アルバムを1枚も聴いたことがない自分には、どれがどのアルバム(だいたい、何枚くらいアルバムがあるかもわからないのですが)からの、いつごろの曲かがわかりません。ただ、録音が比較的クリアなので、たぶん新録されたものだと思います。
 ちなみに、ブックレットの記述によると、このベスト盤が出た1996年に『Realizzato Nel Periodo』というアルバムが出ているみたいです。

 タイプとしては初期のクラウディオ・バッリォーニ(Claudio Baglioni)やリッカルド・コッチャンテ(Riccardo Cocciante)、最近でいえばマルコ・マジーニ(Marco Masini)などのような、しわがれ声のシンガーです。といっても、彼らのような絶唱タイプではありませんが。
 どちらかというと、メロディの流れに素直に声を乗せるタイプだと思います。急激な感情の起伏を見せるような人ではありません。

 イタリアには彼のようなダミ声シンガーが多いですが、皆それぞれに味があって、自分は好きです。
 Cocciante や Baglioni などは、若い頃とくらべると、ずいぶん綺麗な声になってきましたが、Roberto Soffici は若い頃と変わらず(たぶん)、つぶれた声をしてます。それも、喉になにか詰まっているような、ちょっと苦しそうな唄い方をします。歌い手としては、決してうまい人じゃないでしょう。
 でも、落ち着いた哀愁があって、なかなか心に染みます(若いときからそうなのか、年齢を重ねたことによる落ち着きなのかはわかりませんが)。

 このアルバムには、明るくてメロディアスなポップスと哀愁系の曲が、半分くらいずつ入っています。ロック風な曲もあるのですが、こういう曲には彼の声や唄い方はあまりマッチしないようです。ロックを唄うには、彼の声は力がなさすぎるんですね。やはり、素直で流れるようなメロディのほうが、彼の持ち味に合っています。
 ただ、哀愁バラード系の曲では、メロディやアレンジが、やや古臭い感じもします。元の作曲年が古いのかもしれません。

 聴きどころは、やはり彼の声と美しいメロディでしょうが、個人的には、美しくハモる2本のハーモナイズド・ギターが、けっこう気に入っています。

 11曲目「Un Giorno Insieme」は「青い影(A Whiter Shade Of Pale)」風のコード進行がドラマティックですが、大仰さはありません。というか、全体的に、大仰さはあまり感じません。哀愁ドラマティック系バラードでも、盛り上がり方はなだらかです。この点でも、流れで聴くタイプのシンガーだと思います。
 2曲目「Io Ti Voglio Tanto Bene」は、若い女性が唄っても似合いそうな、キュートでポップな曲。14曲目「Casa Mia」は、酒場の楽隊風なアコーディオンがアクセントになっている曲。その他、メロディアスで、あまり肩の凝らない、それでいて、たんに BGM にしてしまうほど引っ掛かりがないわけでもない曲が聴けます。

 もう少し派手な展開をしてくれてもいいかなとは思いますが、そうならないところが彼の個性でもあるのでしょう。
 ぜひ、オリジナル・アルバムを聴いてみたいカンタウトーレです。

(1998.11.01)








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