prodotto e arrangiato da BOB ROSE
Fabrizio Lamberti: pianoforte, tastiere
Robbie Blunt: chitarre
Giovanni Pezzoli: batteria
Claudio Golinelli: basso
Nadia Biondini, Luana Giorgia Heredia, Stefania Bimbi: cori
Virginia Splendore: stick
Orchestra dell'Accademia Musicale Italiana
1970年代から活動するRoberto Vecchioni(ロベルト・ヴェッキオーニ)。デヴューから30年経つ現在も、精力的にアルバムをリリースしています。軽やかな曲も多いのですが、一方でアーティスティックな感性も持っていて、プログレッシヴ系のファンにも愛聴者が少なくないようです。
このアルバムでも、乾いた感じのフォーク・ロックとクラシカルなアレンジが施された曲が混在しています。その点で多少、アルバムとしてのドラマ性は少ないかなという気もしますが、なかなかおもしろいアルバムだと思います。ジャケット・アートもいい感じです。
M1「Le mie ragazze」、M2「Dove?」は軽やかなフォーク・ロック・タッチの曲で、いかにもカンタウトーレらしい感じです。
M3「Le lettere d'amore」はやわらかなオーケストレーションが全体に配置されたバラード。ピアノの優しい音色も魅力的です。
M4「Il cielo capovolto」ではピアノのほかにストリングスのアルペジオも導入し、クラシカルで落ち着いた雰囲気を出しています。
続くM5「Il tuo culo e il tuo cuore」は、ちょっとがちゃがちゃした感じのフォーク・ロックです。
M6「L'amore mio」もストリングスの入ったスローなバラードですが、クラシカルというよりはフォーキーな感じです。バックが主にアコースティック・ギターのストロークなのと、ヴォーカルが字余り気味だからでしょう。また、途中で入る少し枯れた感じのエレキ・ギターのソロも趣があります。
M7「Il mio piccolo genio」では、また乾いた感じの、少しアメリカ風なフォーク・ロックになります。
M8「Piccoli stupidi」は、往年のカンツォーネのようなスケール感と大きなメロディを持った曲。どことなく「オ・ソーレ・ミオ」ぽくもあります。このあたりの曲の配置は、軽やかなポップ・ミュージックとゆったりしたバラード系のものが交互になっていて、個人的にはもうひとつ落ち着きません。
M9「Hotel dei giorni immobili」は、少しカントリー風のとぼけた感じが楽しいです。ホンキートンクなピアノと適当な感じのアコースティック・ギターのボトルネック奏法が聴けます。
M10「Conversazione con una triste signora blu」はちょっとイナタイのだけど、このアルバムのハイライトといえるでしょう。カンタウトーレらしい歌から入り、なぜか途中でPink Floyd(ピンク・フロイド)のようなブルージーなギターとオルガンが入り、そのあとはシンフォニック・ポップス風になります。オールドタイムな(といっても、当時はこんなもんだったのかもしれませんが)情感と味わいが心地よく響きます。アルバムの最後を締めるにふさわしい曲だと思います。