prodotto da RENATO ZERO e PHIL PALMER
batteria: Lele Melotti
bassi: Mikey Feat, Paolo Costa
tastiere: Danilo Riccardi, Gian Luca Podio, Alessandro Cnetofanti
perucussioni: Rosario Jermano
chitarre: Phil Palmer
programmatori: Pete Gleadali, Paul Bliss
fiati: Demo Morselli, Mauro Parodi, Daniele Comoglio
cori: "Baraonna" e Augusto Giardino, Pasquare Schembri
archi scritti e direttidal maestro Renato Serio
registrati da Franco Finetti
1970年代から活動を続けているRenatoですが、初期のころの少しアングラな匂いがするものや、1980年代のちょっと歌謡曲のような軽薄さがある作風よりも、1990年代以降の落ち着いた曲調のほうが自分には合うようです。
1994年にリリースされたこのアルバムは、ところどころに80年代の名残りのような軽さといったものもあるのですが、80年代の作風から1998年の名作『Amore dopo amore』へとつながっていく途中にあるような印象を受けます。
M1「Amando amando」はスローなバラードで、ドラマティックな展開はしないものの、落ち着いたロマンティックさがあります。
M2「Aria di pentimenti」はミディアム・テンポのポップ・チューン。1980年代のRenatoのこういったタイプの曲は歌謡曲っぽい俗っぽさと薄っぺらさがあるものが多く、個人的にちょっと苦手なのですが、ここでは上質なイタリアン・ポップスらしさを保っています。
M3「Facce」はちょっとアメリカやラテンを思わせる曲。サキソフォンやコンガっぽい打楽器が導入されているためでしょうか。ジャズっぽい印象もあります。
M4「Roma malata」は明るいアコースティック・ギターのアルペジオが印象的。なんとなく地中海風の乾いた印象を漂わせながらも、Renatoの個性的な声が曲にしっとり感を与えています。途中からオーケストレーションも加わり、ドラマティックな展開へと移っていきます。
M5「Felici e perdenti」はアメリカンな印象のポップ・ソング。それでいてヨーロッパな潤いを失わないところは好感が持てます。
M6「Bella gioventu'」はゆったりしたテンポと大きなメロディを持ったポップス。オーケストラの入り方もロマンティックで、曲展開も派手さはないけれどドラマを感じます。こういったロマンティックな曲にはRenatoの声がよく合います。
M7「Digli no」はディスコ風のリズムが強調された派手な感じのポップス。自分はあまりこういうタイプの曲には興味がわきません。ちょっとカリビアンなアレンジはおもしろいですが。
M8「Nei giardini che nessuno, sa」のイントロでは「Cercami」を思い出しました。1999年の名作アルバム『Amore dopo amore』につながっていく曲調だといえるでしょうが、アレンジも展開も『Amore dopo amore』にくらべるとシンプルです。
M10「Vento di ricordi」はエレクトリック・ピアノとオーケストラをバックにしたスローバラード。出だしは少しシリアスな感じがしますが、中間部からは古いアメリカ映画でかかるロマンティックなセレナードのようなやわらかさとあたたかさを持った曲想に変わっていきます。
M11「Dubito」はチープな音のキーボードによるコード・ストロークが懐かしい感じ。ちょっとSupertramp(スーパートランプ)の「Breakfast in America」を思い出しました。アメリカン・プログレッシヴ・ポップス風の印象があります。
M12「Chi」は最後を締めるにふさわしい、スケール感のあるドラマティックなスローナンバー。Renatoの大仰なよさがよく出ています。ドラムの刻むボレロのリズムやヒューマンヴォイスの導入も、大団円を感じさせます。(2002年7月、Dischi Volantiで購入)