Dan Andrei Aldea: guitar, keyboards, vocals
Corneliu Bibi Ionescu: bass
Nicolae Enache: keyboards
Mihai Cernea: drums
Sfinx(スフィンクス)は、ルーマニアのグループらしいです。アルバム・タイトル、発音がわかりません。M1「Ursitoarele」は「Dies irae (怒りの日)」風のメロディに続いて合唱が入り、もしや荘厳なシンフォニック・プログレッシヴ作品かと期待が一気に高まったのですが、その後は合唱というよりはハーモニーが多くなり、どこか牧歌的にすら感じられるフォーク風なヴォーカルが微笑ましい、軽快でさわやかなシンフォニック・ロックになっていきました。そして、この軽快なさわやかさが、このアルバムの基本的なトーンのようです。
全体に、どことなく、初期のYes(イエス)とか、あるいはEngland(イングランド)とかに通じる感じがします。歌メロにイタリアン・ロックとのある種の類似性を感じるという人も多いようですが、自分には、牧歌的で、田園風景を思い出させるようなコーラスなど、とてもイギリス的に思います。Moody Blues(ムーディ・ブルース)とかBarcley James Harvest(バークレイ・ジェームス・ハーヴェスト)とか思い出しちゃう。M3「Mierea」では「サァー」と鳴るやわらかなキーボードの白玉コードにポップでキャッチーなメロディがのり、Alan Parsons Project(アラン・パーソンズ・プロジェクト)とかがやりそうな感じだし。でも、軽やかで明るく暖かな演奏はCamel(キャメル)的というよりは、スペインのGotic(ゴティック)風? カラフルで人のよさそうなキーボード・ワークは、もしかしたらオーストラリアのSebastian Hardie(セバスチャン・ハーディ)、よりもWindchase(ウィンドチェイス)のほうか、にも通じる?
M4「Pestera」はバックの演奏に少しプリミティブなニュアンスや、いくぶん邪悪な感じも漂わせているのだけど、歌メロはフォーク/カントリーみたいな雰囲気があり、さらにシタール風の音色を出す楽器がエキゾティズムを加え、フルートがファンタジックな感じをトッピングするという、わけのわからないミスマッチ感が楽しいです。
M8「Kogaion」はスキャット・コーラスの合間に、テレビゲームのような安い音づくりをしたシンセサイザーによるファンファーレが入ったり、古いSF映画でUFOがレーザー光線を出すときの音のようなSEが入ったり、なんだかチープ感が満載なのですが、それらがすべて微笑ましく感じられます。後半ではギターが大きめにフィーチャーされ、力強くハードな印象になっていくのだけど、やっぱりどこかスカスカな感じがあるところも可愛らしい。
やわらかい音色でカラフルなフレーズを奏でるキーボードを中心とした、さわやかであたたかみのある軽やかなシンフォニック・ロック。それぞれの曲の終わり方がちょっとあっさりしててものたりないかなと少し思ったりもしますが、展開・構成は小気味よく楽しげで、飽きることがありません。ルーマニアン・ナンバーワン・プログレッシヴ・グループによる東欧シンフォニック・ロックの名盤との評価の高いアルバム。聴いていて楽しく気持ちのいい、よい作品だと思います。