S.Kornilov: keyboards
V.Lutoshikin: guitar, flute
A.Krivilev: vocal, keyboards
I.Pokrovsky: vocal, guitar
A.Eremenko: bass
A.Pavlenko: drums
Horizontと書いてゴリゾントと発音するらしいです。といってもロシアのグループなので、ロシア語での表記は違うのでしょうが。
M1「The Portrait of a Boy. Suite in 3 movements」は、恐竜がノシノシ歩くような重低音のうえに、どことなく妖しげな美しさをたたえた旋律を奏でるエレキ・ギターのハーモニー、突然建物を打ち砕くかのようなドラミング、華やかな音色のピアノなどが現われては消えるという、いびつだけれども独特の魔力を持った演奏が展開されます。
後半ではスピーディなリズムに変わり、シンフォニック・ロック風の展開を聴かせますが、恐竜映画のサントラのような怪しげな重さは不気味に背後に感じられ、ときおり入る細かいピアノのパッセージはパニックで逃げ惑う人々を感じさせます。そうか、なんとなくパニック・ムーヴィーのサントラ風でもあるかもしれません。
終盤ではそれぞれの楽器が混乱・混沌とした世界を描き、そのうえに希望と未来を表わすかのようなスキャットが入り、余韻を残して終わります。約20分という大曲で、この曲にこのアルバムの魅力のすべてが詰まっているように思います。
M2「Prelude Fis moll」では生ピアノの寂しげな音色にアコーディオンが加わり、悲しげな哀愁を漂わせます。背後にやはり不安や怪しげな策謀のようなものを感じさせるところが、このグループの持ち味のようです。
M3「Guy's Solo」はキーボードのコードワークをベースにした曲で、ちょっと安易な感じです。とくにドラマティックでもスリリングでもありません。
M4「The Final of the Ballet "Fahrenheit 451"」も、どことなく華麗でクラシカルなキーボードが聴けて、小粒にしたRick Wakeman(リック・ウェイクマン)といったような印象がありますが、ほのかに不気味さがただよっています。これも恐怖映画・パニック映画のサントラ風です。とくにエンディングの派手なキーボード・オーケストレーションにそういった趣を感じます。
M5「Vocalise」はシンセサイザーとピアノのうえにスキャットが乗るもの。パニック映画やホラー映画で、困難が去って夜明けを向かえるシーンなどで使えそうな曲です。