1: STELLA NELLA NOTTE
2: DIREZIONI
3: RAGIONE SUFFICIENTE
4: FACCE
5: ARIA NON C'E'
6: CRISALIDE
7: MONDI DISTANTI
8: LUCA
9: IO CERCO ME
10: PROFESSORE
11: DESTINO CRUDELE
prodotto e arrangiato da PAOLO LAFELICE e GINO DE CRESCENZO
testi e misiche di STEFANO BERGHELLA
STEFANO BERGHELLA: chitarra acustica
LEIF SEARCY: batteria
CRISTIAN CALCAGNILE: batteria
ANDREA DE FILIPPO: basso
MAX PERI: percussioni
LUCA BERGHELLA: cori
ALBERTO TAFURI: pianoforte
SAVERIO PORCIELLO: chitarre acustiche
GINO DE CRESCENZO: chiterre elettriche e acustiche, pianoforte, piano Fender, basso, voci, tastiere, sfx
PAOLO LEFELICE: samplers e computer
PIERO MILESI: supervisione all'arrangiamento degli archi
ジャケット写真を見る限り、Stefano Berghella(ステファーノ・ベルゲッラ)はなかなかの美青年だと思います。ただ、どことなく性格が暗そうで、なんとなく身体が弱そうな感じがするのは、うつむきかげんで写真に写っているからでしょうか。
彼に対するこの印象は、あながち間違いではないのかもしれません。このアルバムで聴かれる彼の歌は、タイプとしては現代のカンタウトーレらしい、いくぶんロック風味を感じさせる、クリアで乾いた空気を持ったものなのですが、そのなかにどこか内省的で、もうひとつ上手に自分を表現できない、一所懸命に社会に溶け込もうとしているのに溶け込めきれない、そんな寂しさ、哀しさを感じてしまう気がするのです。
ミディアム・テンポのロック・バラードを中心に、おだやかなヴォーカルが聴けるこのアルバムは、作品としての存在感はあるように思いますが、それを演奏するStefano自身の存在感、実体感が、なんとなく希薄です。
思えばイタリアン・シンガーの多くは、その人の歌う曲がハードだろうがソフトだろうが、それぞれがアーティスト本人としての強い存在感を持っていました。声や歌い方に個性がある人もない人もいましたが、どちらも「自分が歌っているんだ」という主張があったように思います。
でも、最近の若いシンガーには、そういった主張、存在感といったものが薄くなってきているように感じるのは、気のせいでしょうか。
Stefanoのこのアルバムにしても、現代的で欧米的なポップ・ロックではあるけれど、メロディ周りなどにはイタリアの匂いが強く感じられます。適度にロマンティックだし、カンタウトーレの作品として出来は悪くありません。歌もそれなりにうまいし、声にも味わいがあります。そういう点でいえば、スローなイタリアン・ポップス/ロックの作品として充分に楽しめます。
だけど、もう少し生のStefanoというか、シンガーとしての彼自身がよりリアルに感じられるような歌い方であったら、さらにイタリアン・ポップスとして良いアルバムになっただろうし、カンタウトーレとしての存在感も出せたのではないでしょうか。
ただ、そういった素の人間性の希薄さ、そういった面をあまり表に出さないところが、現代風なのだともいえるでしょう。そのくせ、なんとなく弱々しい感じはさりげなく出しているため、どうも気にかかってしまうアーティストです。