なんだかよくわからないCDです。Stefano Borgia(ステファーノ・ボルジァ)の『La terra, il mare, il cielo』のCDがD.V.More Recordからリリースされた翌年に、同じD.V.Moreからリリースされています。
Flavia Fortunato(フラヴィア・フォルチュナート)という人のことはぜんぜん知らないのですが、たぶんStefanoと同じころにD.V.MoreからCDを出しているのでしょう。
想像するに、たまたま同時期に同じレーベルからCDをリリースした以外に、StefanoとFlaviaの間につながりはないんじゃないでしょうか。音楽性も違いますし。なんとなく思いつきでふたりの曲を半分ずつ1枚のCDに収録しただけという気がします。
そういう意味で、いち音楽ファンとしてはとても買いにくい(買うだけの動機を持ちにくい)CDです。もしかしたらマスコミ向けなのかも。
全12曲収録のうちFlaviaのほうの6曲は、とくにこれといって、いうこともありません。打ち込みを中心にしたひと昔前のデジタリックな演奏に、そこそこに綺麗な声でそこそこに歌もうまいけれど、とくに心に残らないヴォーカルが乗っかる、平凡な女性ポップスです。
このCDの聴きどころはやはり、Stefanoのパートということになるのでしょうが、収録されているのはどれも『La terra, il mare, il cielo』からの曲ばかりなので、アルバムを持っているのであれば、このCDをわざわざ購入する価値はほとんどありません。
ただ、ぜんぜん価値がないかというと、そうともいえないのが悩ましいところです。じつは2曲だけ、アルバムに収録されていない曲があるのです。
その2曲とは「Se ti senti veramente un amico」と「Eppure me l'ero giurato」なのですが、これらはシングルのB面としてリリースされたものらしく、CDでは現在、この盤でしか聴けないのだそうです。いわゆるレア・トラックというやつですね。
この2曲が収録されていることだけが、このCDの存在価値という気がします。
とはいえ、これらの曲はたしかに当時のStefanoらしいものではあるものの、とりたてて名曲というわけではありません。それなりによい曲ではありますが、『La terra, il mare, il cielo』に収録された他の曲と同等か、少し落ちるといった程度でしょうか。アルバム1枚分のお金を払ってでも手に入れる価値のある曲というわけではありません。
というわけで、Stefano Borgiaのコアなファンがコレクションすればそれでいい、一般のイタリアン・ポップス・ファンにはたいして魅力のない、マニアックなCDといえるでしょう。