produzione artistica e arrangiamenti: Nicola Albano / Sergio Borsato
arrangiamenti vocali: Cristiana Lirussi / Sergio Borsato
Sergio Borsato: chitarre, armonica
Nicola Albano: tastiere, programmazione loops
Andrea Braido: chitarre
Massimo Varini: chitarre
Marco Fanton: chitarre
Davide Ragazzoni: batteria
Stefano Olivato: basso
Federico Bitoggo: fisarmonica
Alessandro Chiarelli: violino
渋いなぁ。未舗装の砂利道の上に立つブルー・ジーンズに革靴の男の足だけと、その足の横に立てて置かれているブラウン・サンバースト(しかも虎目!)のアコースティック・ギターの写真がジャケットになっているのだけを見ても、このアルバムがどういったジャンル・タイプの音楽か想像できそうですが、まさにそのままの感じでした。
アメリカの開拓時代を思わせるような(その時代に生きてたことがないので、本当のところはわかりませんが)、少しカントリー風味の入ったフォーク。
これだけでこのアルバムの紹介は充分な気がします。ブックレット裏面に写っている、おそらくSergio Borsato(セルジォ・ボルサート)本人と思われる、アコースティック・ギターを肩に担いでいるおっさんも、いかにも「荒野に行くぜ!」風です(というには、少しワイルドさが足りないけど)。
ブックレット内には歌詞の背景にセピア色の写真がいくつも掲載されているのですが、それが蒸気機関車だったり、ノミで人形のようなものをつくってるおじいちゃんだったり、手のひらに大地の土を乗せた頑丈そうな男の手だったり、砂利道の上で自転車に乗るおっさんをめずらしそうに取り囲むご婦人方だったりと、いちいちなにか背景となるドラマがありそうです。きっとこのアルバム自体、なにかコンセプトというか、ストーリーのようなものがあるのかもしれませんが、イタリア語がわからない自分には、理解のしようがありません。
アコースティック・ギターのストロークを中心にした弾き語り風のフォーク・ミュージックに、フィザルモニカ(アコーディオン)やフィドル(ヴァイオリン)、ハーモニカなどが彩と、ときに哀愁を添えます。少し枯れた声質の落ち着いたヴォーカルもいい味を出していて、たとえばFrancesco Guccini(フランチェスコ・グッチーニ)だとかLuigi Grechi(ルイジ・グレキ)などに通じるところもあると思います。彼らの音楽、とくに少し古いものが好きなら、Sergioのこのアルバムも楽しめるのではないでしょうか。
地味な作品ではありますが、M1「La strada bianca」などはロマンティックな香りもするフォーク・ミュージックで、中期のFabrizio De Andre'(ファブリツィオ・デ・アンドレ)やMassimo Bubola(マッシモ・ブボラ)に通じるものもあると思いますし、一方でにぎやかなカントリー&ウェスタン調のM4「Vecio fighel」やエレクトリック・ギターの伸びやかなギターソロが聴けるフォーク・バラードのM5「Ricomincero'」などもあり、ただ地味で単調なだけのアルバムにはなっていません。ポップスやロックのような華やかさは期待できませんが、こういった、もともとはイタリアにおけるBob Dylan(ボブ・ディラン)フォロワーたちをさす言葉として生まれたといわれるCantautore(カンタウトーレ)という言葉が、その言葉のもともとの意味としてぴったりくる感じのする音楽も、たまにはいいものです。