1: LELLA
2: POESIA
3: BELLA SENZ'ANIMA
4: LE TRE CAMPANE
5: INNO ALL'AMORE
6: LA MIA MUSICA
7: CAMPO DE' FIORI
8: QUESTA SPORCA VITA
9: WIMOWEH (The lyon sleeps tonight)
10: ROMA CAPOCCIA
Schola Cantorum(スコラ・カントルム)は1970年代中頃に活動していた、男女混合のコーラス・グループです。資料がないのでくわしいことはわからないのですが、Alberto Cheli(アルベルト・ケリ)という人が中心メンバーだったようで、彼はソロ歌手としても活動していたようです。
タイプとしてはI Pooh(イ・プー)やIl Giardino Dei Semplici(イル・ジャルディーノ・デイ・センプリーチ)などと同様の、日本でいういわゆるラヴ・ロックに近いのかもしれませんが、Schola Cantorumにはロック色がありません。もっとオーソドックスなカンツォーネ・イタリアーナに古いフォークソングを混ぜたような印象です。
このアルバムはベスト盤で、Riccardo Cocciante(リッカルド・コッチャンテ)やAntonello Venditti(アントネッロ・ヴェンディッティ)、Paolo Conte(パオロ・コンテ)など、有名なカンタウトーレの曲のカバーを集めて構成されています。
イタリア以外にも、M5は有名なシャンソンの「愛の讃歌」ですし、M9は「ライオンは寝ている」という具合に、多くの人にとってお馴染みの曲が集められています。
このグループの特徴は、コーラスワークにあると思います。男声・女声の混声コーラスは、他のコーラス系ポップ・グループ(PoohやHomo Sapiensなど)とは違った、クラシカルでドラマティックな味わいを持っています。
他のグループがアモーレを感じさせる甘いものになっているのに対し、彼らのコーラスは、どちらかというと声楽曲に近いものを感じます。
Schola Cantorumはほとんど楽器を使っていないようで、リズム楽器とアコースティックギター、ところどころで聞こえる鍵盤楽器によるバッキングは非常に控えめです。あくまでもコーラスを前面に押し出し、それを特徴としているといえます。
いくつもあるコーラス系ポップ・ロック・グループならばキーボードで行なうであろうオーケストレーションを、Schola Cantorumは混声コーラスで行なってしまったりします。このあたりはまさに圧巻で、神聖さを感じさせる響きに心が大きく揺さぶられます。これも、いわゆるラヴ・ロックグループとの違いといえるでしょう。
コーラスの完成度は非常に高く、New Trolls(ニュー・トロルス)やPoohに引けを取りません。女声が入っている分、彼らより奥行きがるかもしれません。
ヴォーカル、コーラスともに非常にドラマティックで感動的なのですが、それを支える曲の唄メロのよさが非常に印象的でもあります。Riccardo CoccianteやAntonello Vendittiといったイタリアのカンタウトーレは、やはり非常によいメロディを持っているということが、あらためて実感されます。
どことなくThe Mamas & The Papas(ママス&パパス。「カリフォルニア・ドリーミング」という曲は有名ですね)を思い出させるところもあり、そういう意味では時代を感じさせますが、意外とプログレッシヴ・ファンにもアピールするかもしれません。流行歌として片づけるのはもったいない音楽です。