arrangiamenti: Sergio Rendine
direzione orchestra: Nicola Samale
produzione: Paolo Dossena
Schola Cantorum:
Marina Arcangeli
Alberto Cheli
Edoardo De Angelis
Aldo Donati
Mimi Gates
Gianna Giovannini
Chico Fusco
Luisella Mantovani
Annie Robert
Eddy Viola
Sergio Rendone
1970年代頃のイタリアにはコーラスを多用したソフト・ロックを演奏するがグループがたくさんあったようです。もっとも成功したのはPooh(プー)でしょうが、ほかにもCollage(コッラージェ)やHomo Sapiens(オモ・サピエンス)、Santo California(サント・カリフォルニア)など、それぞれに魅力があります。
Schola Cantorum(スコラ・カントルム)は、大きなくくりではこういったグループの仲間に入るのでしょうが、その音楽は少しばかり特異というか、ユニークです。曲や展開に合わせてメイン・ヴォーカルを女性が取ったり男性がとったりすること、コーラスも男性と女性の混声になっていること、そしてそのコーラスが歌メロに対するハーモニーや対位旋律をとるだけでなくオーケストレーション的な役割も果たすことが多いことなどが、彼らの個性を他のコーラス系ソフト・ロック・グループから際立たせています。
また、こういったソフト・ロックを演奏するグループを日本では、その曲の印象から「ラヴ・ロック・グループ」などと呼んだりすることもあるのですが、Schola Cantorumの音楽には日常的な恋愛(ラヴ)がそれほど感じられない気がします。歌詞がわからないので実際はどんなことが歌われているのかもわからないのですが、なんとなく、もっと大きな愛――たとえば人類愛だったり、自然や大地への愛だったり、あるいは神への愛だったり――が根底に流れているような印象を受けるのです。そもそもSchola Cantorumというのは、もともとは学生聖歌隊のことではなかったかと思うのですが、それがグループ名になっているからでしょうか。ヒューマン・ヴォイスによるオーケストレーションや合唱曲風のコーラス・アレンジも、そういった印象を強めるのに貢献していると感じます。
M1「Le tre campane」はこのアルバムのなかでもとくに、そういった印象を強く受けます。オーケストレーションにかぶさる混声コーラスがとてもドラマティックで、かわいらしいピアノの音とのバランスもよいです。なんとなく初期のRiccardo Cocciante(リッカルド・コッチァンテ)のアルバムを思い出しました。歌メロや構成もよいのですが、オクターブの違うメイン・ヴォーカルの使い方がいっそうのドラマを演出します。
M6「Il falco」ではユーロ・トラッドのような冷たい美しさが感じられます。ほんのりプログレッシヴ・ロック風な香りもあります。
M7「Calendario」はヨーロッパの古い街角音楽を思わせます。ダンサブルななかにほのかな哀愁が感じられます。
M9「Noi」にはアイリッシュ・トラッド風の冷涼な情緒が感じられます。アコースティック・ギターのストロークに透明な女性ヴォーカルが美しく響きます。なんとなくAll About Eve(オール・アバウト・イヴ)風かもしれません。
多くの曲で大胆なコーラスが導入され、やわらかなオーケストラとあいまって、曲に厚みを与えています。といっても重苦しいことはなく、どことなくフラワーな感じ、ラブ&ピースな感じがするところが好ましいです。