STEFANO PICCHI


PENSIERI SOSPESI (2005年)

   ステーファノ・ピッキ / ペンシエーリ・ソスページ
    (EXTREMA/HALIDON: H30902 / イタリア盤CD?)



jacket photo
  1. FAI FINTA CHE SIA
  2. PENSIERI SOSPESI
  3. LA DONNA CHE INCONTRAI
  4. GENERALE KAMIKAZE
  5. IN PREDA AL PANICO
  6. DRACULA
  7. ZUCCHERO FILATO
  8. COSMOSPLENDIDA
  9. LA COMETA DEGLI DEI
  10. SOLE SWAHILI
  11. CIAO CHARLIE
  12. PRIMA DI TE
  13. BONUS VIDEOTRACK GENERALE KAMIKAZE


prodotto da Claudio Mingardi, Gianluca Vivaldi, Maurizio Raffaelli e Massimo Manobianco
arrangiamenti Stefano Picchi, Claudio Mingardi, Gianluca Vivaldi e Maurizio Raffaelli

programmazioni: Claudio Mingardi, Gianluca Vivaldi
pianoforte: Stefano Picchi, Francesco Nigi, Frank Andiver
tastiere: Frank Andiver
chitarre: Paolo Marchetti, Meme Lucarelli
basso: Lorenzo Alderighi, Marco Bachi
batteria: Stefano Masini
percussioni: Simone Amato
cori: Elisa Ghilardi, Serena Manzi, Francesca St. Martin, Rosuna Ibrahim
rap: Rosuna Ibrahim








Stefano Picchi(ステーファノ・ピッキ)... この名前、すっかり忘れてました。なんとなくジャケット買いをして、プレイヤーにかけたら、なんだか聞き覚えのある曲... 「Genrale Kamikaze」!

そう、2004年のサンレモ音楽祭新人部門にこの曲で参加したStefanoのファースト・アルバムが、音楽祭参加から1年経ってやっとリリースされていたのでした。地味だ。音楽祭での成績も7位という中途半端なものでしたが、すっかりみんなが名前を忘れちゃったんじゃないかというころにアルバムが出るというのも中途半端な感じです。

若いシンガーだと思っていたのですが、1974年1月25日生まれだそうですので、30歳を越えてのデビューだったのですね。出身はトスカーナ州のルッカ。いまなお町のまわりを囲む城壁がかんぺきに残っている(その上が散歩道になっている)美しい町。食通には上質なオリーブ・オイルの産地として、クラシック音楽ファンにはプッチーニが生まれた町として、その名を知られています。8歳で曲をつくりはじめ、12歳でピアノを弾き始めたStefano。その後は飲食店で演奏したり、楽器店で働いたり、音楽学校に通ったりして、音楽の世界とつながりを保ち続けていたようです。

地元のミュージシャンたちと曲をつくり演奏を続けていたStefanoは、2001年にサン・マリノ音楽祭(Festival di S.Marino)で最終選考まで残ります。そして2004年、「Generale Kamikaze」でサンレモ音楽祭出場を果たしました。

というわけで、ミュージシャンとしてのキャリアは意外と長いらしいStefanoのデビュー・アルバムですが、なかなかよくできていると思います。下積み期間がけっこうあったからか、アレンジも含め、丁寧な曲づくりと演奏がされています。彼はピアノ弾きですが、アルバムではキーボードよりもギターの音の美しさが印象に残ります(自分がもともとギター弾きだからかもしれませんが)。エレキもアコースティックも、とても綺麗な音で録られています。

ちょっと高めの、どこかにひっかかるような少しクセのある歌声は、初期のころのEros Ramazzotti(エロス・ラマッゾッティ)に感じが似ているかもしれません。こういった、多少なりとも個性を感じさせる歌声は、とても好ましく感じます。

「Generale Kamikaze」はほんのりエキゾティックな風味を盛り込んだアレンジがされていますが、他の曲は、この曲からエキゾティック風味を取り除いたような感じのものが大半です。ミディアムからスロー・テンポの曲が多く、どれも比較的素直でなめらかなメロディと展開を持っています。M6「Dracula」ではイントロに少しパンキッシュな雰囲気があったりもしますが、基本はミディアム・テンポのメロディアス・ポップスといえるでしょう。ほどよく明るく、ほどよく哀愁が漂う、心地よい曲が多く収録されています。

曲調的には、Massimo Di Cataldo(マッシモ・ディ・カタルド)とか、最近のGianluca Grignani(ジァンルカ・グリニャーニ)とかに通じるタイプのものかなと思います。彼らが歌ってもよさそう。M10「Sole swahili」などは、ファルセットを使わないMango(マンゴ)といった印象を受けました。これ、Mangoに歌わせてみたい。

そんなわけで楽しく聴けるのですが、難点をいえば、曲のバリエーションに乏しいことでしょう。どの曲も、曲単体として聴けば悪くないのですが、同じようなリズム、テンポ、曲調の曲が多く、アルバムを通して聴いていると、みんな同じに聴こえてきて、少し飽きてきてしまいます。ただ、その点でいえば最近のGianlucaとかMassimoのアルバムも自分にとっては似たような印象なので、彼らが受け入れられるならStefanoのこのアルバムも受け入れられるんじゃないかというふうにも思います。

このまま楽曲のクオリティを保って、曲調のバリエーションを広げ、コンスタントに作品リリースを続けられるなら、なかなかおもしろいアーティストになっていきそうな気がします。

(2006.07.22)







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