produzione artistica: Stefano Piro, Alessandro Sicardi, Maurizio Macchioni
arrangiamenti, orchestrazione e direzione di archi e fiati: Alessandro Sicardi
voce: Stefano Piro
tastiere: Stefano Piro, Sergio Cocchi, Marco Primavera, Fabio Perversi, Alessandro Scardi
flauto: Silvia Catasta
chitarra: Alessandro Sicardi, Maurizio Macchioni, Edoardo Luciani
basso: Alessandro Sicardi, Luca Scansani, Lucio Fasino
batteria: Eric Cisbani
percussioni: Maurizio Macchini, Belisario
fisarmonica: Fabio Greuter
contrabbasso: Alberto Lo Gatto
tromba: Martino Biancheri
sax: Andrea De Martini, Valentino Finoli, Domenico Mamone
trombone: Luciano Macchia
oboe: Paolo Pinferetti
clarinetto: Valentino Finoli
fagotto: Alessandro Caprotti
2000年のサンレモ音楽祭新人部門に参加して批評家賞を受賞したLythium(リチウム)というグループを覚えているでしょうか。Lythium自体はサンレモ後にアルバムを1枚リリースして解散してしまったようで、その後のメンバーの消息は、ベースのMirko Virgini(ミルコ・ヴィルジーニ)が東京・六本木でバリスタになっていた(いまも続けてるかどうかは不明)ことくらいしか知らなかったのですが、リーダーでヴォーカリストだったStefano Piro(ステファノ・ピロ)はソリストとしての活動準備を着々と進めていたようで、2006年にソロとしてのデビュー作をリリースしました。それが『Notturno rozz』です。
Lythiumのアルバムは聴いたことがないのですが、サンレモ参加曲の「Noel」はPiccola Orchestra Avion Travel(ピッコラ・オルケストラ・アヴィオン・トラヴェル)を思わせるような、ちょっとアーティスティックで妖しい魅力を漂わせたラテン/タンゴ・テイストのあるロックといった感じだったと記憶しています。そういった音楽性はリーダーであったStefanoの持ち味だったのか、Stefanoのこのアルバムも、ロックのような、ジャズのような、ラテンのような、タンゴのような、フォークのような、妖しくもアーティスティックなテイストにあふれています。
David Syilvian(デヴィッド・シルヴィアン)に代表されるような、陰鬱で引きずるような歌声。疲れた大人たちが集まるピアノ・バーで歌われていそうな、けだるいジャズ・ヴォーカル風の曲があるかと思えば、フルートやオーケストラが幻想への逃避を促すようなシンフォニック風アレンジがあったり、オルガンの響きが懐かしいロック・サウンドを奏でたり、フィザルモニカ(アコーディオン)やトランペットがラテンの妖艶なエキゾティズムを漂わせたり。
こういう音楽はいったい誰が聴くのでしょう。プログレッシヴの匂いもするけれど、プログレッシヴ・ロックじゃない。ラテンの匂いもあれば、ロックやフォークやトラッドの匂いもあるけれど、そのどれでもない。いろんなものがミクスチャーされてます。やはり、プログレ耐性のあるポップス/ロック・ファンになるのかしら。
ただ、残念なのは、演奏やアレンジのアイデアなどはなかなか興味深いのだけど、ヴォーカルそのものにはあまり表現力がないうえに、歌メロも抑揚のないタイプなので、ヴォーカル曲としての印象がほとんど残らないことでしょうか。これ、もっとうまい人がうたっていたならなぁと思います。