STORMY SIX


MACCHINA MACCHERONICA (1979年)

   ストルミー・シックス / マッキナ・マッケロニカ
    (FONIT CETRA: CDM 2126 / イタリア盤CD)



    jacket photo
  1. MACCHINA MACCHERONICA
  2. LE LUCCIOLE
  3. MADONINA
  4. MEGAFONO
  5. MADONINA
  6. BANCA
  7. PIANETA
  8. RUMBA SUGLI ALBERI
  9. ENZO
  10. VERBALE
  11. MADONINA
  12. SOMARIO
  13. MADONINA


prodotto dagli Stormy Six

Tommaso Leddi: violino, mandolino, sax alto, chitarra, organo
Georgie Born: violoncello
Leonardo Schiavone: clarinetto, sax tenore
Umberto Fiori: voce
Franco Fabbri: chitarra, trombone, vibrafono
Salvatore Garau: batteria
Pino Martini: basso







 自分はもともとプログレッシヴ・ロックのファンですが、プログレッシヴ・ロックのなかでもシンフォニック系のものが好きで、ジャズ系やレコメン系と呼ばれるタイプのものは、ちょっと苦手です。Stormy Six(ストルミー・シックス)はイタリアのプログレッシヴ・グループですが、タイプとしてはレコメン系といわれています。

 コアなプログレッシヴ・ロックのファンには怒られてしまうかもしれませんが、自分はプログレッシヴ・ロックもイタリアン・ポップスも、同じように「ヨーロッパ的な美しさを持ったポピュラー・ミュージック」として聴いています。なので、精神性や先進性云々よりも、メロディや展開、アレンジ、あるいは音そのものにヨーロッパ的な美しい流れがあれば、ロックでもポップスでも同じように楽しめてしまうようです。
 一方、思想派ロック・グループの一部が参加していたRIO(Rock In Opposition。反対派ロック)という団体(?)のアルバムを多くリリースしていたRecommended Label(レコメンデッド・レーベル)系の音楽というところから「レコメン系」と日本で呼ばれるようになったタイプの音楽は、progressiveという言葉の持つ本来の意味にこだわりを見せ、進歩的・革新的であるとともに、商業主義を排した独特の前衛的な世界を持っていて、それがコアなプログレッシヴ・ファンに人気を博しました。Stormy Sixも、このアルバムをリリースした1970年代終盤から80年代にかけて、RIOの一員でした。

 おおかたの場合、「プログレッシヴ・ロック」は「ロック」のなかのひとつのジャンルであり、「ロック」は「ポピュラー・ミュージック」のなかのひとつのジャンルなわけですが、レコメン系プログレッシヴ・ロックは、プログレッシヴ・ロックのなかでも独特な位置づけにあるもので、プログレッシヴ・ロック<ロック<ポピュラー・ミュージックという流れとは別の位置にあるように感じます。プログレッシヴ・ロックのなかのひとつの形態ではあるけれど、ポピュラー・ミュージックの広がりのなかには属さないように思うのです。
 大衆化としてのポピュラリティを求められるポピュラー・ミュージックに対し、レコメン系の中核となっていたRIOのグループは「非商業的であること」というポピュラリティとは逆の音楽性を求めたわけですから、当然といえば当然です。このように考えると、プログレッシヴ・ロックをポピュラー・ミュージックの一種として楽しむ自分にとって、レコメン系の音楽は苦手なタイプになってしまうのも当然です。

 多くの場合、レコメン系の音楽には、美しいフレーズの連なりが少なく、音の流れを耳で聴いて楽しむより前に、直接的に聴き手の精神状態や感情に影響を与えようという演奏者側の意図を感じてしまいます。それゆえ、安心して、楽しんで聴くことができづらい音楽が多いように思います。

 Stormy Sixのこのアルバムも、ジャズ風というか、フリーフォーム風というか、前衛風というか、レコメン系ぽい演奏が多く収められていて、なかなか一筋縄では楽しみにくい、素直に音楽を聴いて楽しませてはくれないような部分があります。
 ただ、レコメン系的、前衛音楽的でありながら、ところどころで聴かれるクラリネットやヴァイオリンの人懐こいフレーズや、ちょっと間の抜けたような微笑ましさがあるヴォーカルに、バリバリのレコメン系とは違う印象を抱きます。どことなくカンタベリー・ミュージックにも通じるような、心地よいひねくれ加減があるポピュラー・ミュージックの一種のようにも感じられるのです。そのため、レコメン系が基本的に苦手な自分でも、このアルバムはそれなりに楽しんで聴ける部分がいくつもあります。
 前衛的でフリーフォームな感じのところが多くありながらも、根底にどこかユーモラスであたたかいものが流れているような印象を受けます。そして、そういった音の断片の合間に「歌」が感じられる部分がいくつもあるのが、やはりイタリアなのでしょう。

(2001.11.18)







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