SUGARFREE


CLEPTO-MANIE (2006年)

   シュガーフリー / クレプト・マニエ
    (ATLANTIC / WANER MUSIC ITALIA: 5051011271427 / EU盤CD)



jacket photo
  1. SOLO LEI MI DA'
  2. INOSSIDABILE
  3. CLEPTOMANIA
  4. BRICIOLA DI TE
  5. TERRA E CIELO
  6. CROMOSOMA
  7. PARTICOLARE
  8. PUR DI AVERTI QUI
  9. TU SEI TUTTO PER ME
  10. TIC TAC
  11. NE' CON TE NE' SENZA TE
  12. SEI COSI'
  13. TUTTO
  14. HO SCELTO LEI
  15. PIACERE


prodotto da Luca Venturi

Matteo Amantia: voce
Luca Galeano: chitarre
Vincenzo Pistone: tastiere
Carmelo Siracusa: bassi e contrabbasso
Giuseppe Lo Iacono: batteria

Ambra Scamarda, Manuela Mauro, Serena Galeano, Vanessa Franconetti: cori
Edoardo Musumeci: chitarre








2005年リリースのデビュー・アルバム『Clepto-manie』に2006年のサンレモ音楽祭新人部門参加曲「Solo lei mi da'」を追加収録して再リリースされた、いわゆるサンレモ・エディション。再リリースに際してジャケット・アートが変更され、DVDつき(内容は見てないので知りません)の2枚組になりました。

サンレモ参加曲を聴いて、彼らも最近多い、ブリティッシュの雰囲気を漂わせたノスタルジックなポップ・ロック系、たとえばModa'(モダー)などと似たタイプかなと思ったのですが、そのとおりでした。グループの結成は2000年で、もともとは50年代のロックン・ロールやリズム&ブルースのカバー・バンドとしてスタートしたそうですが、さすがにそこまで古い雰囲気はないものの、随所に古き良き時代のブリティッシュ・ポップ・ロックを思い出させるメロディやアレンジがあります。

M1「Solo lei mi da'」やM2「Inossidabile」、M3「Cleptomania」M8「Pur di averti qui」などは、ミディアム・スローな哀愁のロック・バラード。大きなうねりや盛り上がりのない、だけど感傷的なメロディが歌われます。エレキとリズム隊の刻む8ビートが曲にファットな感じを与えています。

M4「Bricila di te」やM5「Terra e cielo」、M7「Particolare」などは、イギリスとイタリアの哀愁をミックスしたような、ほどよくノスタルジックなメロディのポップ・ロック。M1タイプの曲とリズム形態はあまり変わらないのだけど、エレキ・ギターのディストーション比率が下がってクリーンな音の比率が上がることで、あたたかくポップな感じが出ています。M7などではサビでちょっと歌い上げ、ある種の伝統的なイタリアン・ポップスらしさを少し感じます。

M6「Cromosoma」はちょっといなたい感じを持ったポップ・ロック。Francesco Renga(フランチェスコ・レンガ)ほどではありませんが、なんとなく粘っこくてスケベっぽい雰囲気を漂わせています。

M9「Tu sei tutto per me」はM4タイプの曲をテンポ・ダウンしたような感じでしょうか。言葉を単語単位でなぞるように歌うヴォーカルや、バックの楽しげな?コーラスに古い時代のロック/ポップスに通じる雰囲気を感じます。カバー・バンドだったころに身につけた味わいが出ているかも。一方M10「Tic tac」は別の方向で、カバー・バンドだったころの味わいを表現したのかもしれません。最近はやりのソウル/R&B風味にも挑戦してみましたといった雰囲気のある、いなたくも軽快なロックになっています。

収録された曲の半分くらいはメンバー自身の手によるものでなく、彼らの友人のDavide Di Maggio(ダヴィデ・ディ・マッジォ)という若い作曲家から提供を受けています。そういうこともあってか、グループとしての個性が弱い、最近のよくありがちな若手イタリアン・ポップ・ロック・グループのひとつとして埋没してしまいそう、といった印象はあります。また曲そのものも、これも最近の傾向といえばそうなのですが、あまり印象的な構成や展開を持っているわけではなく、どちらかというと淡々とした、最初から最後までそれほど調子の変わらないものが多く、平凡かつ平板に感じてしまう部分もあります。それでもひとつひとつのフレーズには美しさやノスタルジックな魅力があり、それが、ある種の甘ったれた感じを漂わせるヴォーカルにも合っています。今後、曲のヴァリエーションを広げられるか、あるいは同タイプの曲で演奏や構成面でのクオリティ・アップができるかが、彼らの課題でしょうか。このままだとアルバム1枚、よくても2枚くらいで終わってしまいそうな感じがします。

(2008.4.20)







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