prodotto da Luca Venturi
Matteo Amantia: voce
Luca Galeano: chitarre
Vincenzo Pistone: tastiere
Carmelo Siracusa: bassi e contrabbasso
Giuseppe Lo Iacono: batteria
Ambra Scamarda, Manuela Mauro, Serena Galeano, Vanessa Franconetti: cori
Edoardo Musumeci: chitarre
2005年リリースのデビュー・アルバム『Clepto-manie』に2006年のサンレモ音楽祭新人部門参加曲「Solo lei mi da'」を追加収録して再リリースされた、いわゆるサンレモ・エディション。再リリースに際してジャケット・アートが変更され、DVDつき(内容は見てないので知りません)の2枚組になりました。
サンレモ参加曲を聴いて、彼らも最近多い、ブリティッシュの雰囲気を漂わせたノスタルジックなポップ・ロック系、たとえばModa'(モダー)などと似たタイプかなと思ったのですが、そのとおりでした。グループの結成は2000年で、もともとは50年代のロックン・ロールやリズム&ブルースのカバー・バンドとしてスタートしたそうですが、さすがにそこまで古い雰囲気はないものの、随所に古き良き時代のブリティッシュ・ポップ・ロックを思い出させるメロディやアレンジがあります。
M1「Solo lei mi da'」やM2「Inossidabile」、M3「Cleptomania」M8「Pur di averti qui」などは、ミディアム・スローな哀愁のロック・バラード。大きなうねりや盛り上がりのない、だけど感傷的なメロディが歌われます。エレキとリズム隊の刻む8ビートが曲にファットな感じを与えています。
M4「Bricila di te」やM5「Terra e cielo」、M7「Particolare」などは、イギリスとイタリアの哀愁をミックスしたような、ほどよくノスタルジックなメロディのポップ・ロック。M1タイプの曲とリズム形態はあまり変わらないのだけど、エレキ・ギターのディストーション比率が下がってクリーンな音の比率が上がることで、あたたかくポップな感じが出ています。M7などではサビでちょっと歌い上げ、ある種の伝統的なイタリアン・ポップスらしさを少し感じます。
M6「Cromosoma」はちょっといなたい感じを持ったポップ・ロック。Francesco Renga(フランチェスコ・レンガ)ほどではありませんが、なんとなく粘っこくてスケベっぽい雰囲気を漂わせています。
M9「Tu sei tutto per me」はM4タイプの曲をテンポ・ダウンしたような感じでしょうか。言葉を単語単位でなぞるように歌うヴォーカルや、バックの楽しげな?コーラスに古い時代のロック/ポップスに通じる雰囲気を感じます。カバー・バンドだったころに身につけた味わいが出ているかも。一方M10「Tic tac」は別の方向で、カバー・バンドだったころの味わいを表現したのかもしれません。最近はやりのソウル/R&B風味にも挑戦してみましたといった雰囲気のある、いなたくも軽快なロックになっています。
収録された曲の半分くらいはメンバー自身の手によるものでなく、彼らの友人のDavide Di Maggio(ダヴィデ・ディ・マッジォ)という若い作曲家から提供を受けています。そういうこともあってか、グループとしての個性が弱い、最近のよくありがちな若手イタリアン・ポップ・ロック・グループのひとつとして埋没してしまいそう、といった印象はあります。また曲そのものも、これも最近の傾向といえばそうなのですが、あまり印象的な構成や展開を持っているわけではなく、どちらかというと淡々とした、最初から最後までそれほど調子の変わらないものが多く、平凡かつ平板に感じてしまう部分もあります。それでもひとつひとつのフレーズには美しさやノスタルジックな魅力があり、それが、ある種の甘ったれた感じを漂わせるヴォーカルにも合っています。今後、曲のヴァリエーションを広げられるか、あるいは同タイプの曲で演奏や構成面でのクオリティ・アップができるかが、彼らの課題でしょうか。このままだとアルバム1枚、よくても2枚くらいで終わってしまいそうな感じがします。