ALAMEDA
MISTERIOSO MANANTIAL (1980年)
アラメダ
(EPIC / SONY MUSIC 478495-2 / スペイン盤CD)
1: AURORA
2: DOS AMORES
3: EN TUS LABIOS
4: CANTO AL DESPERTAR
5: MISTERIOSO MANANTIAL
6: VUELO DE CRISTAL
7: AL CAER
8: SOBRE TU PIEL
スペインといえばフラメンコ。熱い血と深い哀愁を感じさせる独特のジプシー音楽は、心に直接訴えかける力に満ちています。
当然、スパニッシュ・ロックにも、情熱と哀愁に満ちたフラメンコ・テイストを期待してしまいますが、実際にそういったロックを聴かせてくれるグループは、じつはそれほど多くないようです。プログレッシヴ・ロックとして高い完成度を誇るCanalios(カナリオス)の『Ciclos』はもちろん、プログレッシヴ・ファンによく知られている他のグループ、たとえばGranada(グラナーダ)やCai(カイ)、Nu(ヌー)、Gotic(ゴティック)なども意外にスタイリッシュで、思ったほどスペイン=フラメンコではありません。
いかにもスパニッシュなフラメンコ・ロックといったときに多くの人が最初に思い浮かべるのは、もしかしたらGipsy Kings(ジプシー・キングス)かもしれません。でも彼らは、じつはフランスのグループで、スペインのグループじゃなかったりします。
では、スペインのグループで、いかにもフラメンコなロックを演奏するのは誰でしょう。その最右翼はやはり、Triana(トリアーナ)でしょう。彼らのファースト、セカンドは、スペインでしかありえないフラメンコ・テイストなパッションと哀愁にあふれた、非常にクオリティの高い、まさにスパニッシュ・ロックでした。
そして、Alameda(アラメダ)もまた、非常にスパニッシュ・テイストの強いグループといえます。典型的なスパニッシュ・ギター、フラメンコ独特のヴォーカル・ラインなど、多くの日本人が想像するであろう“スペインのポップ・ロック”がここにあります。
ガット・ギター以外にエレクトリック・ギターも積極的に使った演奏は、Trianaよりは洗練されていますが、GoticやCaiよりはスパニッシュな雰囲気を強く残しているので、入門向けとしても聴きやすいかもしれません。ヴォーカルも、メロディ・ラインは、コブシ回しも含めて、非常にスパニッシュ色が強いですが、唄自体は本場のフラメンコほどアクが強くなく、パワフルでもないので、その点でもポップス/ロックのファンに馴染みやすいでしょう。
個人的には、ヴォーカルにもっと迫力があればとか、よりフラメンコ(ソレアレス)的なガットギターを大胆に導入してほしいといったことはありますが、であればTrianaを聴けばいいわけです。Alamedaには、よりとっつきやすいポピュラリティがあって、わかりやすいスパニッシュ・プログレッシヴを演奏しているという点を評価したいです。
(2000.11.12)
Musica
Pensiero! -- la Stanza di MOA
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