YNGWIE MALMSTEEN


THE SEVENTH SIGN (1993年)

   イングヴェイ・マルムスティーン / セブンス・サイン
    (LEWIS ENTERTAINMENT / PONY CANYON: PCCY-00531 / 日本盤CD)



    jacket photo
  1. NEVER DIE
  2. 1 DON'T KNOW
  3. MEANT TO BE
  4. FOREVER ONE
  5. HAIRTRIGGER
  6. BROTHERS
  7. SEVENTH SIGN
  8. BAD BLOOD
  9. PRISONER OF YOUR LOVE
  10. PYRAMID OF CHEOPS
  11. CRASH AND BURN
  12. SORROW
  13. ANGEL IN HEAT


produced by: YNGWIE J. MALMSTEEN

Yngwie J. Malmsteen: guitars, bass, sitar, vocals
Michael Vescera: vocals
Matts "Thailand" Olausson: keyboards, small hammond organ
Mike "The Spike" Terrana: drums, triangle








初期のころのYngwie Malmsteen(イングヴェイ・マルムスティーン)のアルバムにはクリスタルのような透明さが満ちていて、英米のロックとは違うスウェーデンならではの陰影とクラシカルな響きに魅了されたものです。ギターソロのスピードやディミニッシュ・スケールを多用したフレージングは素晴らしく、それがバッキングの凡庸さや意外と艶のないヴォーカル・ラインといった部分を充分以上にカバーしていました。

そのころの作品とくらべると、このアルバムでは透明さが後退した反面、より力強さが出てきていて、ヘヴィ・メタルらしいサウンドになっています。バッキングのアレンジもいくらかあか抜けてきたし、曲調も北欧らしいクラシカルなものやアメリカンなもの、ドラマティックなスピード・メタルなど、幅が広がっています。ヴォーカル・ラインも、艶のなさはあいかわらずですが、それでもかなりこなれた感じです。

ちょっと気になるのは、Yngwieのギターの音色です。なんかザラザラしているというか、以前にくらべて美しくないんです。以前はもっとクリアななかに暖かみのあるディストーション・サウンドだったと思うのですが、ここで聴かれるギターはザクザクしたキメの粗いディストーション・サウンドです。デヴュー当時の繊細な音色が気に入っていたので、ちょっと残念です。

M1「Never Die」は典型的なYngwieサウンドです。Yngwieらしいコード進行、陰影はあるけどどこか深みに欠けるようなヴォーカル・ラインとドラマティックなギターソロが楽しめます。

M2「I Don't Know」はアメリカンな曲。こういう曲も書けるようになったんだな。初期のころのアルバムにはみられないタイプの曲で、曲づくりの幅が広がったことを感じます。演奏アレンジも少し凝ったものになっています。ベース・ラインの動きなど、アメリカン・ロックのよいところを吸収しています。ただ、Yngwieにこういう曲が求められているかは、また別の話でしょう。

M4「Forever One」はアコースティック・ギターのフレーズから入るYngwieらしい壮大なロック・バラード。大仰なヴォーカル・ライン、クラシカルなギターソロ、スウェーデンらしい陰影が楽しめます。

M6「Brothers」もYngwieらしいインストゥルメンタル。Alcatrazz(アルカトラス)の「Suffer Me」に似たイメージを持ったメロディが印象的です。

M7「Seventh Sign」でもYngwieのスピーディでクラシカル・メロディアスなギターソロが堪能できます。ただ印象としては、スウェーデンというよりはジャーマン・スピード・メタルに近いような気もします。

M9「Prisoner of Your Love」はハリウッド産愛と感動のパニック大作映画(人類の危機をアメリカ人が命をかけて救う、そのために愛する者と2度と会えなくなったとしても……、てな感じのやつ)のテーマ曲になりそうな、大仰かつドラマティックかつ感動的(?)なミディアム・ロックです。

M13「Angel in Heat」はなんだかドタバタと騒がしい曲。ヴォーカル・ラインも演奏もやかましいだけで、ドライヴ感とかあまりないし、曲のクオリティとしてはどうなんだろう。あまりYngwieである必要を感じません。

(2003.09.06)







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