musice e orchestrazioni: TOTO TORQUATI
testi: SERGIO BARDOTTI - SERGEPY
Massimo Buzzi: batteria
Michele Jannaccone: batteria, percussioni
Luciano Ciccaglioni: chitarre
Mario Scotti: basso
Toto Torquati: pianoforte, organo Hammond, synthesizer, eminent, celesta
Gepy & Gepy: voce, percussioni
Nicola Samale: direzione dell'orchestra d'archi
produzione: Gepy & Gepy
Toto Torquati(トト・トルクァーティ)といえば、RCA時代のClaudio Baglioni(クラウディオ・バッリォーニ)のアルバムでもおなじみのキーボーディスト。そのためもあってか、ところどころにClaudioのアルバムを思い出させるようなキーボード・アレンジがあります。
アルバムのオープニングとエンディングを、同じ「大地の知恵(La terra che nessuno conosce)」という曲にしてあるところを見ると、コンセプト・アルバムになっているのかもしれません。歌詞がわからないのでなんともいえませんが。
ちなみに、オーケストラを導入したこの曲、このアルバム以外でもどこかで聴いたことがあるのだけれど、クラシックかなにかに原曲があるのでしょうか。それとも、なにかのコンサートでオープニングSEに使われていたのだったかな。
堂々としたオーケストラ入りのオープニング曲以降は、けっこうリズミックなポップ・ロックが聴かれます。シンガーのアルバムとしてはバンド的な演奏になっていて、歌ものとロック・サウンドのバランスがよいと感じます。
ところどころにオーケストラやコーラスが導入され、叙情と躍動がうまくミックスされています。
Totoのヴォーカル自体は決してうまいとはいえません。あのころのイタリアン・カンタウトーレにありがちな少しかすれた声と力強い歌唱は魅力的ではありますが、表現力や瞬発力、繊細さに欠けます。
でも、演奏やアレンジが、そうしたヴォーカリストとしての弱さを充分に補っています。
演奏パートの比率が高いこともあり、やはりポップス・ファン向けというよりはプログレッシヴ・ロックのファン向けなカンタウトーレ作品だとは思いますが、歌メロのなかにはポップスやプログレッシヴ・ロックにとらわれない、イタリアならではの美意識を感じます。ところどころに顔を出すサイケデリック風味も、時代を感じさせるといえばそれまでですが、いまでも魅力的に響くことに変わりはありません。
とくに際立ってクオリティが高い作品というわけではないと思いますが、イタリアのポップ・ミュージックが熱かったころの空気が感じられ、魅きつけられますし、なにより作品全体に存在感があります。
こういった「なんだかわからないけど魅きつける存在感」って、最近のイタリアン・ポップスのアルバムにはなかなか見つけられなくなってしまった気がします。