arrangiamenti e direzione: Franco Monaldi
produzione: Giancarlo Bigazzi
realizzazione: Gianni Daldello
いまも元気に活動を続けているベテラン・カンタウトーレ、Umberto Tozzi(ウンベルト・トッツィ)のデビュー・アルバムです。
Umberto Tozziといえば初期の大ヒット曲に「Gloria」があるように、英米のポップスにも通じる華やかなポップ・センスを持っている人で、彼のアルバムにはそういった軽やかな印象を受ける曲を多く見つけられるように思うのですが、デビュー作であるこのアルバムでは、いかにもイタリア的な情緒に満ちた曲が大半を占めています。
M1のアルバム・タイトル曲「Donna amante mia」で一気につかまれてしまいます。やわらかくおとなしいパートから、サビでは多人数による美しいコーラスをかぶせてぐわっと盛り上がる。こういった構成のドラマティックさはイタリアン・ポップ・ミュージックの真髄ですね。
つづくM2「Ripensando alla freccia del sud」はUmbertoらしい英米ポップスにも通じるような明るく軽やかな曲。情緒的でドラマティックなM1のあとにこういう曲が続くと、このまま一気にポップ路線に進んでしまうアルバムかと、個人的にちょっと心配になります。こういった曲も悪くはないのですが、自分としては、やはりイタリアらしい情感が感じられる曲のほうが好きなわけで。
などと思っていると突然にM2は終わり、アコースティック・ギターののんびりした音色が聴こえてきます。この落差がまたたまらない。こういった曲配置の妙というか、単曲だけではなく曲同士の並び・連なりでもドラマやストーリーを感じられるのがアルバムのいいところですね。ちなみにこのM3「Io camminero'」は、Il volo(イル・ヴォーロ)がバックを務めたFausto Leali(ファウスト・レアーリ)のアルバム『Amore dolce, amore amaro, amore mio』でカバーされているので、日本でもこの曲のことを知っている人は多いでしょう。
以後は比較的穏やかでイタリアらしい曲が続きます。M5「Mi manca」は彼の大ヒット曲「Ti amo」に通じる匂いを感じます。M8「Scegli」でまた少し軽いポップスが聴けますが、最後はバラード「Tu sei di me」で美しく幕を閉じます。
彼のアルバムは何枚か持っていますが、手持ちのなかではこのアルバムがいちばん自分は好きかもしれません。ちなみにうちにあるCDは、ジャケット(歌詞カード)の表はちゃんとこのアルバムのものなのですが、なかに掲載されている歌詞の半分はなぜかEnrico Ruggeri(エンリコ・ルッジェーリ)の『Polvere』というアルバムのものです(残りの半分はこのアルバムのもの)。変なの。