IT BITES


THE IT BITES ALBUM (1989年)

   イット・バイツ / ジ・イット・バイツ・アルバム
    (VIRGIN RECORDS: VJD-2502 / 日本盤CD)



    jacket photo
  1. KISS LIKE JUDAS - extended version
  2. MIDNIGHT - extended version
  3. BULLET IN THE BARREL
  4. HAVING A GOOD DAY
  5. REPRISE
  6. UNDERNEATH YOUR PILLOW
  7. STARING AT THE WHITEWASH
  8. THE WOMAN IS AN ADDICT
  9. STILL TOO YOUNG TO REMEMBER
  10. CALLING ALL THE HEROES


Francis Dunnery: vocals, guitars, tapboard
Dick Nolan: bass, vocal
Bob Dalton: drums percussion, vocal
John Beck: piano, synthesizers, vocal








プログレッシヴ・ロックのファンのあいだで妙に評価の高いIt Bites(イット・バイツ)。でも、自分には彼らの魅力がよくわからないです。

たしかにね、すごくうまいんですよ、演奏が。むちゃむちゃテクニカルで複雑なことをやってるんだけど、さっと聴いた感じではそんなことをぜんぜん思わせない、必死さとかとはまったく無縁に、すごくナチュラルかつ楽しげに演奏してる。そういったところがプログレッシヴのファンとかには受けるんだろうな。

自分も、もともとはプログレッシヴ・ロックのファンです。いまでもけっこう好きです。でも、自分はプログレッシヴ・ロックそのものよりも、初期のころのイギリスのプログレッシヴ・ロック・グループ、King Crimson(キング・クリムゾン)だとかGenesis(ジェネシス)だとかPink Floyd(ピンク・フロイド)だとかが持っていた「雰囲気」が好きなんですよね。そのむかしにプログレの三重苦といわれた「重い・暗い・長い」が好きだったし、クラシック・ミュージックへのコンプレックス(?)からくる大仰な構成と美しいメロディにアンサンブル、無理やり・強引な展開によるドラマ性、その背後に見える強烈なイギリスやヨーロッパの匂いが好きで、そういう匂いや雰囲気を持った音楽を探したら、プログレッシヴ・ロックに多かった、くらいの感覚なんです。

その点でいうと、It Bitesにはそういう匂いが希薄です。あまりにうますぎる演奏、破綻のない構成、流れるような展開 ―― すべてがあまりにスタイリッシュでソフィスティケイトされてる。一見スマートだけど細かいところに職人の技が見えるという点で評価される、玄人ウケ、通ウケのするグループなんだろうとは思いますが、自分としてはもっとベタな「ドラマティックさ」を望んじゃうわけでして、だったらIt BitesよりもカナダのTriumph(トライアンフ)とか北欧メタルなどのほうがより「自分の好きなプログレッシヴ・ロックの雰囲気」を持ってると感じてしまうわけです。

すっごくうまいグループなんだけど、曲やメロディに魅力を感じない。多くのプログレッシヴ・ファンのみなさんが高い評価をしているのに申し訳ないんだけど、ちょっと自分の好みとは方向性や考え方が違うグループなのでした。

(2004.07.25)







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