produced by Rafe McKenna and Procol Harum
Gary Brooker: piano, vocals
Matthew Fisher: organ
Geoff Whitehorn: guitar
Mark Brzezicki: drums, percussion
Matt Pegg: bass guitar
Keith Reid: words
Roger Taylor: backing vocal on "Shadow Boxed"
2003年にリリースされたアルバム。再結成後2枚目になるのかな。朝の通勤電車の中で聴いていたのですが、残念なことにアルバム半分ちょっと聴いたところで会社についてしまいました。なので、その分の印象ということで。
アルバム1曲目の「An Old English Dream」が流れてきたとき、そしてその背後にあの懐かしいハモンド・オルガンの音色が聴こえてきたとき、あぁProcol Harum(プロコル・ハルム)だぁとうれしくなりました。Gary Brooker(ゲイリー・ブルッカー)のひなびたヴォーカルとMatthew Fisher(マシュー・フィッシャー)のひなびたオルガン・サウンドが重なれば、もうそこは古のProcol Harumの世界。Garyはデビュー当時からかなりひなびたおっさんヴォーカルだったためか、あれから30年以上たっても印象が変わりませんね。
と、出足好印象で始まったこのアルバムなのですが、そのままずっとProcol Harumサウンドが聴けるわけではありませんでした。当然ですよね。あれから30年という年月が経っているのです。楽器も録音も近代化され、往年のブリティッシュ・ロック作品によくあった、全体に薄く霧のかかったようなもんやりとしたウェット感などはどんどん消えていってしまいます。いまだ訪れたことのないイギリスは、自分の中ではいつも「霧のロンドン」といったイメージだったのですが、いまではすっかり霧も晴れてしまったようで。
Garyのヴォーカルの味わい深さは変わりませんが、そのヴォーカルを取り巻く楽器の音色やアレンジ、そして曲そのものもどこか都会的・近代的な洗練を感じさせ、古くも懐かしく心地よい匂いを振りまくGaryの声と少しばかり乖離がある気がします。個人的にGaryのヴォーカルが好きなので、彼が歌っていれば大方それでOKのようなところはあるのですが、できれば彼の声に、彼のヴォーカル・スタイルにあった曲・音色・アレンジであれば、さらにいいのになぁと思ってしまうのはしかたのないところ。Procol Harumには、やはりもっとイギリス的で、俗っぽさとクラシカルな歴史と伝統がほどよく入り混じった音楽を期待してしまいます。
それでもM3「A Robe of Silk」のような、以前のProcol Harumを思い出させる曲もあり、古いファンとしてはうれしいところ。こういったタイプの曲がもう少しあって、洗練された今風の(といっても少し古い感じはする)曲との数的バランスが取れていれば、あるいは、古いタイプの曲のイメージを大切にしたまま今風の表現をするといったアレンジができていたなら、さらによかっただろうな。
などということはありますが、Procol Harumファンはきっと、このアルバムも許してしまうし、愛してしまうでしょう。だってアルバムのエンディングは、Matthewのハモンド・オルガンが響き渡るインスト曲なのですもの。