all sonngs by Rick Davies and Roger Hodgson
produced by Supertramp and Peter Henderson
Rick Davies: vocals, keyboards
Roger Hodgson: vocals, keyboards, guitars
John Helliwell: saxophones, keyboards
Dougie Thomson: bass
Bob Siebenberg: drums
backing vocals: Ann & Nancy Wilson, Claire Diament
string arrangement: Richard Hewson
大ヒット・アルバムとなった『Breakfast in America』の次にリリースされた作品。Supertramp(スーパートランプ)がグループとしてもっとも充実していたころのアルバムといえるでしょう。
デビュー当初はもっとイギリスっぽい、少し暗さを感じさせつつも独特のポップでやわらかな音楽を聴かせてくれるグループでしたが、アメリカに渡ってからは暗さが取れ、やわらかななかにイギリス風のロマンティシズムを感じさせるポップスが得意になりました。その路線での最高作はやはり前作『Breakfast in America』ということになるのでしょうが、続くこのアルバムも彼ららしさがよいかたちで出ているよいアルバムだと思います。
M1「Crazy」にある奥行きや、M3「It's Raining Again」でのポップ感覚は、やはりイギリスやヨーロッパならではと思います。アメリカに渡り、アメリカに受け入れられる音楽を演奏してはいるけれど、Supertrampはあくまでもイギリスのグループだよなぁと感じます。その点で、イギリスやヨーロッパぽさを露骨にわかりやすく見せながらも、ベーシックな指向の点でアメリカのグループだよなぁと感じさせてしまうAsia(エイジア)とは、ある意味で対極にあるグループかもしれません(あくまでも個人的な印象です。Asiaの主要メンバーはイギリス人ですから、Asiaは本来的にはイギリスのグループといえると思います)。
また、演奏や曲調もそうですが、それ以上にRoger Hodgson(ロジャー・ホジソン)の独特のクセのあるヴォーカルが、アメリカ・ネイティヴのグループとは違う、イギリスらしい雰囲気を高めているのでしょう。のちに脱退してしまいましたが、その後の彼らの作品からは、そういった趣の深さが薄れてしまい、とても残念です。
M8「Waiting So Long」では後期Pink Floyd(ピンク・フロイド)を思い出しました。そういえば彼らって、デビュー当初はちょっとしたプログレッシヴ・ロック扱いされてたんだよな。アルバムのエンディングを飾るM9「Don't Leave Me Now」もプログレッシヴ風味です。
一般的に代表作といわれている『Breakfast in America』よりもヨーロッパ風味の強いプログレッシヴ・ポップが多く聴けるという点で、自分はこのアルバムがかなり好きです。