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SANREMO 2003 (2003年)

   サンレモ2003
    (WARNER STRATEGIC MARKETING: 5050466-4460-2-2 / ドイツ盤CD)



    jacket photo
  1. ALEXIA / PER DIRE DI NO
  2. SYRIA / L'AMORE E'
  3. CRISTIANO DE ANDRE' / UN GIORNO NUOVO
  4. ANNA OXA / CAMBIERO'
  5. ANDREA MIRO' e ENRICO RUGGERI / NESSUNO TOCCHI CAINO
  6. LISA / OCEANO
  7. LUCA BARBAROSSA / FORTUNA
  8. GIUNI RUSSO / MORIRO' D'AMORE
  9. NINO D'ANGELO / 'A STORIA 'E NISCIUNO
  10. SILVIA SALEMI / NEL CUORE DELLE DONNE
  11. DANIELA PEDALI / VORREI
  12. DANIELE STEFANI / CHIARALUNA
  13. MARIA PIA and SUPER ZOO / TRE FRAGOLE
  14. ZURAWSKI / LEI CHE
  15. DOLCENERA / SIAMO TUTTI LA' FUORI
  16. MARCO FASANO / E GIA'...!
  17. ALINA / UN PICCOLO AMORE
  18. ELSA LILA / VALERIA


mastering: Giovanni Versari








コンペティション部門、新人部門ともに2003年サンレモ音楽祭の優勝曲を収録したWarner盤のコンピレーション。他の収録曲も全体に成績上位のものが多く、Universal盤にくらべて、なんとなくお得感のある感じになっています。ちなみに2003年のサンレモ参加曲のなかでFausto Leali(ファウスト・レアーリ)の「Eri tu」だけがUniversal盤にもWarner盤にも収録されていません。

それでは、Warner盤に収録された曲についての印象を。

■ ALEXIA / PER DIRE DI NO
コンペティション部門優勝。2002年はファンキー&アメリカンなソウル・ミュージックで参加してコンペティション部門2位でした。今回はスロー・バラードでの参加ですが、曲的にはこれといってたいしたことのない、標準的なものだと思います。力強くソウルフルなヴォーカルは魅力的ではあります。地力のあるシンガーなんでしょうね。

■ SYRIA / L'AMORE E'
コンペティション部門5位。ちょっとかすれ気味の声がかわいらしい。この声にあった、ちょっとかわいらしいガール・ポップス。ガール・ポップスといっても、甘ったるいところがないのが個人的には好ましいです。軽やかなギターをベースにしたパートから突然、落ち着いたオーケストレーション・パートに入る構成は、それなりに聴かせてくれます。でも全体にはふつうな感じかな。

■ CRISTIANO DE ANDRE' / UN GIORNO NUOVO
コンペティション部門12位。ちょっと引っかかるようなヴォーカルとスッキリしたアレンジは、最近の若いカンタウトーレ風です。でも途中で一瞬、民俗音楽っぽいアレンジを混ぜ込んでしまうところは父Fabrizio(ファブリツィオ)から受け継いだ血なのでしょうか。1994年のサンレモ参加曲「Dentro la porta」と同じくDaniele Fossati(ダニエーレ・フォッサーティ)が曲づくりに協力しています。

■ ANNA OXA / CAMBIERO'
コンペティション部門14位。ハスキーなヴォーカルは落ち着きと貫禄、そして凄みを感じさせます。曲自体はスロー・バラードで、どちらかというと単純なものですが、それなりに聞かせてしまうのはヴォーカルのちからでしょう。ドラム・マシンの乾いた音が、ジャズ風の味わいを持った曲の雰囲気を壊しているような気がします。

■ ANDREA MIRO' e ENRICO RUGGERI / NESSUNO TOCCHI CAINO
コンペティション部門4位。2002年のEnrico Ruggeri(エンリコ・ルッジェーリ)のサンレモ参加曲「Primavera a Sarajevo」はビッグ・バンドによる古いナポレターナのような感じで、ちょっと印象的でした。今回の曲はアコーディオンの響きが印象的な古いカンタウトーレ風で、やはりちょっと耳に残ります。途中で入ってくるAndrea Miro'(アンドレア・ミロ)の湿ったヴォーカルも、曲に独特のひなびた潤いを与えています。

■ LISA / OCEANO
コンペティション部門6位。エスニックな印象をたたえた曲。Cirque Du Soleil(シルク・ドゥ・ソレイユ)や、あるいは「ライオンキング」風な印象も少しあります。アフリカやアジアなどの印象も漂わせつつ、伸びやかなヴォーカルとスケール感のあるアレンジが楽しめるポップスになっています。

■ LUCA BARBAROSSA / FORTUNA
コンペティション部門10位。街角楽師のようなひなびた音色のヴァイオリンを導入したフォーク・ソング。あまり感情を乗せない淡々としたヴォーカル、鈴のストローク、ガット・ギターのフィルインなど、古いヨーロッパのフォークを思わせて、なかなかいい感じです。

■ GIUNI RUSSO / MORIRO' D'AMORE
コンペティション部門7位、ミア・マルティーニ賞2位、最優秀アレンジ賞。深みのあるヴォーカルが魅力的です。ゲートをかけた電子楽器のアレンジはうるさくて、せっかくのヴォーカルの魅力を殺してしまう気がします。もっと素直なアレンジで、メロディとヴォーカルを存分に楽しめるようになっていたら、もっと胸を打つ曲になった気がします。大きな流れとフレーズを持ったメロディがもったいない感じでした。

■ NINO D'ANGELO / 'A STORIA 'E NISCIUNO
コンペティション部門11位、ミア・マルティーニ賞3位。すっかりサンレモ音楽祭の常連になってきた感じのNino D'Angelo(ニーノ・ダンジェロ)。1999年のサンレモ参加以後、一時はナポリというよりはエスニックな方向へ進みつつあったNinoですが、2002年、そして2003年と、エスニックな味わいとナポリの味わいを上手に混ぜ込んだ感じの曲での参加となりました。しわがれたおじいさん(?)の声が語りのようにコラージュされる今回の曲も、ナポリ・ポップらしい雑多な感じと古くからのナポレターナがうまく融合されていて、以前とは違ったNinoらしい魅力を表現しています。

■ SILVIA SALEMI / NEL CUORE DELLE DONNE
コンペティション部門8位。曲自体はミディアム・テンポのやわらかなものですが、バックの音づくりが派手で、その点がちょっと自分的にはしんどい感じ。キーボードのオーケストレーションの安っぽさとか、残念です。歌いきりの直前で少し裏返り気味になるようなヴォーカル・スタイルは、けっこう印象的です。声もよく出てるし、基本的な歌唱力、表現力はありますね。曲自体も、メロディ展開や構成も悪くなく、なかなかいい感じに聴けます。

■ DANIELA PEDALI / VORREI
新人部門11位。明るい印象を持った、なめらかなスロー・バラード。アメリカの女性シンガーとかが歌いそうな感じでもあります。素直なメロディと展開で、アレンジもそれほど凝ったところがなく、その分メロディや歌唱のもつポテンシャルが要求されるタイプの曲だと思いますが、ヴォーカリストとしての力量はそれを存分に表現するほど高いレベルには達していません。アベレージは超えているので、それなりに聴かせはするのだけど、心までは伝わってこないといった感じ。まだ若いのかな。

■ DANIELE STEFANI / CHIARALUNA
新人部門6位。優しい声を持ったシンガー。声もそうですが、曲にも、J.D.Souther(ジェイ・ディ・サウザー)などにも通じる暖かさがあります。スローなフォーク・バラードで、派手なところも、とくに印象的なフレーズもないのだけど、なんとなくほんわかした感じになるのは、じつはなかなか上手な曲づくり&ヴォーカルなのかも。オーケストレーションの使い方、ディストーション・ギターの使い方もけっこう上手で、アレンジのセンスがいいのかな。

■ MARIA PIA and SUPER ZOO / TRE FRAGOLE
新人部門15位。中近東やインドっぽいエスニック・テイストを持ったポップ・ミュージック。歌メロの旋律やシタールのような音色のバックに、ロックなギターやゆったりしたオーケストレーションもかぶさり、不思議な味わいを撒き散らしています。

■ ZURAWSKI / LEI CHE
新人部門3位。曲づくりにVince Tempera(ヴィンチェ・テンペラ)が協力しているようです。ガラガラしたひび割れ声がいなたいですが、歌メロ自体はけっこうゆったりしていて、意外となめらかな美しさがあります。ミディアム・テンポのロック・バラードといった感じで、サビでのキーボード・オーケストレーションなどはありきたりではあるのだけど、それでもやっぱり「こういう感じって嫌いじゃないんだよなぁ」を思ってしまいます。引きずるような重さのあるエレキ・ギターの音色とともに、曲に質感を与えています。曲自体は単純かつ平凡なものだとは思うのですが、どこか懐かしい感じに負けちゃいました。

■ DOLCENERA / SIAMO TUTTI LA' FUORI
新人部門優勝。ヴォーカル・パートの前半はせわしない感じの節回しで、バックも同じようにせわしない感じ。途中からヴォーカルはゆったりした節回しになるのだけど、バックはせわしないまま。このアンマッチな感じをおもしろいと感じるか、やっぱりアンマッチと感じるか……自分はアンマッチだと感じました。ミディアム・テンポのポップスで、ヴォーカリストとしての聞かせどころはあまりないタイプの曲なので、このヴォーカリストは助かってるんだろうな。歌自体はあまりうまくないと思います。声も出てないし、そんなに表現力もない。これが新人部門優勝なのか。

■ MARCO FASANO / E GIA'...!
新人部門14位。ちょっとロマンティックなバラード・タイプの曲。どことなく頼りなさげなヴォーカルが曲に合っています。アコースティック・ギターのストロークのやさしさも、サビで入るエレキ・ギターのストロークにキーボード・オーケストレーションも、その後に続く伸びやかなギターソロも、ある意味で王道ともいえるもので、安心して聴いていられます。ずっと聴いていたら飽きてしまいそうだけど、でも、こういうタイプの曲は嫌いにはなれません。

■ ALINA / UN PICCOLO AMORE
新人部門2位。曲づくりに協力しているAlberto Cheli(アルベルト・ケリ)って、Schola Cantorum(スコラ・カントルム)にいたAlberto Cheliと同じ人でしょうか? 素直なアレンジと曲展開を持ったスロー・バラードですが、こういう曲を歌うにはちょっと歌唱力不足かな。高周波が多い感じの、ちょっと耳に突き刺さるような声が自分は苦手。ありきたりなバラードなので、もっと上手な人が歌ったほうがよいのではないでしょうか。

■ ELSA LILA / VALERIA
新人部門8位。ちょっとだけかすれたような声質は、もしかした自分好みかも。まだ若いようで、発声や歌唱はずいぶん荒削りな感じがします。ヴォイス・トレーニングを積めば、もっともっと声が出るようになって、伸びと奥行きを手に入れそうです。この曲のようにスケール感のあるスロー・バラードを歌うには、声のタイプとしてはかなり魅力的なのですが、伸びと力が足りません。こういった曲を歌いきれるだけの歌唱力を身につけられたら、注目度の高いシンガーになりそう。

(2003.06.14)







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