1: HO BISOGNO DI TE
2: L'AMORE NUOVO
3: IL PASSO DELL'ELEFANTE
4: SENZA VIRGILIO
5: JUDAS
6: VOGLIO UN ANGELO
7: LA STORIA DEGLI UOMINI
8: BELLA E IL MARE
9: NAPOLEONE
10: C'E' DI MEZZO IL MARE
11: CAMPANELLINA
12: IL PORTIERE, IL SUGGERITORE...GLI ALTRI
13: LA TARANTELLA DI SOCRATE
14: LEGITTIMA DIFESA
15: L'AMORE NUOVO
デビューは1976年頃らしいので、かなりのヴェテラン・カンタウトーレ。1978年のフェスティヴァルバール参加曲「E' Sera」という曲が有名らしいのですが、自分は聴いたことがありません。
その後、アルベルト・フォルティス(Alberto Fortis)やヴァスコ・ロッシ(Vasco Rossi)、ニュー・トロルス(New Trolls)などとツアーをまわり、最近ではリッカルド・ザッパ(Riccardo Zappa)と一緒に活動してるらしいです。
このアルバムは1997年に出たベスト盤ですが、それまでに7枚、オリジナルアルバムがあるようです。『Vincenzo Spampinato』『Dolce e Amaro』『Rime Tempestose』『Dolce Amnesia dell'Elefante』『Antico suono degli Dei』『L'amore Nuovo』『Judas』の7枚ですが、このうち『Antico suono degli Dei』はマティア・バザール(Matia Bazar)が、『L'amore Nuovo』にはルチオ・ダッラ(Lucio Dalla)とフランコ・バッティアート(Franco Battiato)が参加してます。
自分はそれらのオリジナルアルバムを聴いたことがないので、このベスト盤に収録されてるのがどのアルバムからなのか、わかりません。ただ、半分以上は『Judas』からのようです(『Judas』からは2曲を除く全曲が収録されています)。また、2曲目にはフランコ・バッティアートが、8曲目にはルチオ・ダッラが参加しているので、これらは『L'amore Nuovo』に収録されていた曲なんでしょう。
声的には、とくに特徴はありません。しわがれ声というよりはどちらかというと綺麗な声、熱唱というよりは落ち着いた唄い方の、オールドスタイルなカンタウトーレだと思います。なので、一聴したときの印象は、非常に地味。曲も、ドラマティックに盛り上がるわけでもなく、標準的なポップスです。正直な話、たいしたアルバムじゃないなと思ってました。
だけど、今回これを書くにあたって、あらためて何回も聴き直したのですが、聴けば聴くほど味の出てくるアルバムでした。なんていうか、ただ地味なだけじゃない、心地よい暖かさがあるんです。
声と唄い方がオールドスタイルで地味に落ち着いている割に、バックの演奏や曲調が元気すぎることがあり、その辺に違和感は多少残ります。全体を通して、どちらかというとリゾートを思わせるような明るい曲調が多いのですが、彼のスタイル的にはマイナー系で広がりのある曲がよさそうに思います。
とはいえ、乾いた明るい曲も、聴けば聴くほど耳に馴染んでくるのが不思議です。そういった曲の合間に、広大なアフリカの大地を思わせるような「il Passo dell'Elefante(象の道、かな?)」、祈りの声を思わせるヴォイスから入る「Judas」、男声合唱で崇高に始まる(でもちょっとだけ)「C'e' di Mezzo il Mare」などがアクセントとなり、全体の印象が単調になるのを防いでいます。
なかでも、ルチオ・ダッラが参加している「Bella e il Mare」は、エンディングのオペラ風スキャットが印象的で、気に入ってしまいました。
カンタウトーレ風な曲、ポップな曲、土着信仰を思わせる曲、カントリーっぽい曲など、いろいろなタイプの曲が入っているわりには、それほどとっ散らかってる感じがしないのは、それらのどれもがちゃんとヴィンチェンツォのフィルターを通っているからなのかな。
曲調が淡々としているため、馴染むまではあまりピンとこないかもしれないけれど、意外といいアルバム。バックの演奏なども、思ったよりもずっとアレンジが行き届いてます。わかりやすい派手さやドラマティックさを求める人は楽しめないかもしれないけどね。そういう意味では、大人のアルバムかも。