produced and arranged by CORRADO RUSTICI
horons arranged by Corrado Rustici and Memphis Horns
orchestra on "Miserere" arranged and conducted by Michael Kamen
「Miserere」のオーヴァーチュアからドラマティックに始まります。いきなりオーケストラでのスタートなので、ドラマティック・ポップスのファンとしては期待が高まるのですが、そこはZucchero(ズッケロ)ですから、そのままメロディアスなポップスになだれ込むはずはありません。
M2「L'urlo」では持ち前のファンキーさがフルに発揮されたキレのよいアメリカンなポップスを聴かせます。こういったZuccheroらしい曲が、自分はあまり得意じゃないというか、好きじゃありません。
M3「The Promise」は少しギリシャ風というか、地中海っぽい感じとエキゾティックさが入り交じったようなスローな曲で、なんとなくいい雰囲気ですが、ちょっとメロディが弱いかな。
M5「Miss Mary」などもそうですが、こういったバラードっぽい曲にあまり魅力的なメロディがないのもZuccheroぽい感じがします(偏見でしょうか?)。それよりは、個人的な好みは別にして、M4「Brick」やM7「Un'orgia di anime perse」などのような、アメリカぽい泥臭さが強く感じられる曲やファンキーな曲のほうが、クオリティが高いと思います。
M6「Anna solatia.....」は、ガット・ギターのアルペジオとうすいオーケストレーション、ミュートをつけたホーンの演奏をバックに、なんだかぶつぶつとZuccheroがつぶやいているだけという、なんとなくフランスっぽい(?)もの。すごく「らしくない」感じです。
アルバムの最後を締めるM12「Miserere」はLuciano Pavarotti(ルチアーノ・パヴァロッティ)とのデュエットですが、オープニングの「Miserere(overture)」とともに、このアルバムのなかでは少し浮いている感じがします。Pavarottiの歌声も、それほど魅力的に響かない気が。
ちなみにPavarottiとデュエットしたいと思ったZuccheroがPavarottiに送った「Miserere」のデモテープでは、Pavarottiのパートをデビュー前のAndrea Bocelli(アンドレア・ボチェッリ)が歌い、その歌声を聴いたPavarottiが「彼がいるなら僕が歌う必要はないね」と絶賛した、といわれています。実際、PavarottiよりもBocelliのほうがポップな要素があって、この曲にはあっているかもしれません。