***< from No.20 >***< 1999.09.19 >*****************************************

★★★ カンタウトーレってなんだ? ★★★

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 Pensiero! サイトや le notizie Pensiero! のアルバム紹介のなかには、カンタウトーレという言葉がよく出てきます。また、イタリアン・ポップスを紹介している他のサイトや雑誌の記事などでも、この言葉を目にすることは多いでしょう。
 自分などは以前から、あまり気にすることもなく、この言葉をあたりまえのように使っていますが、最近イタリアの音楽を聴きだした方のなかには、カンタウトーレってなんだろうと思ってらっしゃる方もいるかもしれません。

 カンタウトーレは、イタリア語では Cantautore と書きます。この言葉はもともと、歌手を意味するCantante(カンタンテ)と作者を意味するAutore(アウトーレ)というふたつの単語を組み合わせてつくられた造語だそうで、つまりはシンガー・ソングライターのことです。
 ちなみに、女性の場合はカンタウトリーチェ(cantautrice)といいます。

 日本ではシンガー・ソングライターを一般的にカンタウトーレと呼んでしまいがちですが、イタリアのネットショップ/レーベルBTFのMarco氏がいうには、もともとはイタリアにおけるボブ・ディランのフォロワーに対して使われる言葉であり、主に歌詩の意味を重視したメッセージ色の強い歌を演奏するシンガー・ソングライターを示すのだそうです。そういう意味では非常に古い言葉で、イタリア人でカンタウトーレという言葉を使う人は、今では余り多くないし、そう呼ばれるにふさわしいアーティストも、それほど多くないんだそうです。
 たとえばTito Schipa Jr.(ティト・スキーパ・ジュニア)やFrancesco De Gregori(フランチェスコ・デ・グレゴーリ)などは今でもカンタウトーレだけど、Claudio BaglioniやAmedeo Minghiなどはカンタウトーレとは呼ばないといっていました。

 しかし自分は、あまりむずかしく考えず、イタリアらしいアイデンティティを感じさせるシンガー・ソングライターには、たとえそれがボブ・ディランのフォロワーではなくとも、また歌詞よりもメロディ重視のアーティストであっても、イタリアへの憧れと愛情を込めて「カンタウトーレ」と呼んでいます。実際に本国で使う人は少ないにしても、最近では辞書にも載っている言葉ですし、響き的にも美しく、またイタリアらしいイメージも持っていると感じているからです。
 なので、Pensiero! や le notizie Pensiero! に「カンタウトーレ」という言葉が出てきたら、そのアーティストや作品には、イタリアらしいメロディや雰囲気(もちろん、人によってその感じ方は違うでしょう。だから、あくまでも自分の主観で感じるイタリアらしさです)があるんだと思ってくれればいいです。

 ちなみに、イタリア語にはカンタトーレ(cantatore)という言葉もあります。これは、もともとは声楽家といった意味があったようですが、最近はいわゆるポップ・シンガーなどに対しても、この言葉を使うことが多いようです。
 ときどき、シンガー・ソングライターの意味でカンタトーレという言葉が使われている文章を見ることがありますが、カンタトーレには作者としての意味はなく、あくまでもシンガーについて使われるべき言葉ではないかと思います。

 カンタウトーレって、いい響きだと思いませんか。この響きにふさわしい、イタリアらしい音楽をたくさん聴いていきたいと自分は思っています。そして、多くの人がカンタウトーレの美しい音楽に触れてくれるといいな。

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