***< 2007.04.09 >*****************************************************

★ New Trolls Live で Concerto Grosso 三昧

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        ★★★ New Trolls Live で Concerto Grosso 三昧 ★★★
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4月7日(土)に川崎のClub Citta'で行なわれた「New Trolls with Strings 
Orchestra Concerto Grosso Live Encore」に行ってきましたよ。去年のまさ
かの初来日(しかもオケ入りConcerto grosso live)もビックリでしたが、再来
日公演となる今回の目玉は、なんといっても世界初披露となる(らしい)新曲
「Concerto grosso no.3」の演奏(もちろんオーケストラ入り)と、大事故で半
身不随・もはや音楽界への復帰不可能かといわれたオリジナル・メンバーNico
 Di Paloの奇跡の復活・初来日でしょうか。

定刻の18時より10分ほど遅れて開演したコンサートは、まさに「Concerto 
grossoによる、Concerto grossoファンのための、Concerto grosso三昧コンサ
ート」といった感じでした。途中で20分の(といいながらも実際は25分くらい
あった)休憩をはさんだ2部構成で3時間半以上の長丁場。

オープニングは昨年と同じ「Nella sala vuota」でしたが、この時点ですぐに
わかったことがひとつ。

「去年より音がでかい!」

新曲披露に向けての気合が音量に表われているのでしょうか、昨年より明らか
に楽器の音がでかいです。バスドラが鳴るたびにステージ横のPAから風圧を感
じます。

昨年のステージでは、第1部はバンドのみの演奏でポップな曲、ロックな曲な
どが聴けましたが、今回は2曲目の「Visioni」が終わった時点でステージにオ
ーケストラが招き入れられます。オーケストラを担当するのは昨年と同じトウ
キョウ・ヴィエール・アンサンブル(http://www.t-vielle.jp/)。もちろん、
女性奏者を中心にした編成です。そして、いよいよ今回の目玉、「Concerto 
Grosso 3」全曲(なんだよね?)演奏が始まりました。

「Concerto grosso 3」は全部で7つのパートに分かれています。演奏は1パー
トごとに行なわれ、それぞれのパートの前にVittorio De Scalziが簡単な曲紹
介をします。で、初めて聴いた「Concerto grosso 3」の感想なんですが、う
〜ん、こんなもんかなぁといった感じです。とくにファースト・ムーヴメント
などは過去の「Concerto grosso」の劣化コピーみたいな印象で、あまりおも
しろみを感じず。全体に、メロディ自体の持つ芳醇さというか艶やかさという
かが、過去の「Concerto grosso」にくらべてかなり弱いように思います。今
回の「Concerto grosso 3」って、Louis Enriques Bacalovは曲づくりにから
んでるのかなぁ。たぶん、からんでないんだろうなぁ。

「Concerto grosso」って、New Trollsのディスコグラフィのなかではかなり
特殊な作品だと思います。音楽的にも、アレンジ的にも。あのクラシック・フ
ィーリングに満ちたたおやかなメロディと艶のあるオーケストラ・アレンジは、
New Trollsのものというよりは、たぶんLouis Bacalovのものなんじゃないか
と思うわけで。今回の「Concerto grosso 3」には、それを感じないんですよ
ねぇ。クラシカルな装いはしているけれど、曲的にはかなりポピュラー・ミュ
ージック的な要素が強いように感じられました。そういう意味では、New 
Trollsらしい音楽にオーケストラがついている、ともいえるのですが、そう考
えたときに残念なのが、歌詞が英語であること。過去の「Concerto grosso」
も歌詞が英語だから、踏襲したのかもしれませんが、そこを踏襲されてもなぁ
というのが正直なところ。

などという贅沢な不満もいくつかあるのですが、もちろんなかには魅力的なパ
ートも多くあります。とくに終盤の、チェロが大きくフィーチャーされた曲は
かなりかっこよく、むしろ「Concerto grosso」というタイトルがついていな
かったほうが素直に楽しめたかもしれません。また、昨年は、とくにはじめの
ほうはオーケストラの音量が小さくてせっかくのストリングス・アレンジがよ
く聞こえなかったのですが、今回は最初からオーケストラの音量バランスもバ
ッチリで、力強くも美しい演奏が聴けたのがよかったです。

休憩をはさんでの第2部は、「Concerto grosso 1」と「Concerto grosso 2」
+α。こうやって聴くとあらためて「Concerto grosso 3」とはメロディの肌
合いが違うと感じます。新曲初披露で多少のぎこちなさが残る「Concerto 
grosso 3」とくらべるのはどうかとも思いますが、「1」と「2」は昨年もほぼ
同じメンバーで演奏されていることもあってか、トウキョウ・ヴィエールの演
奏もこなれた感じとリラックスした感じがありました。そしてやはり、それぞ
れのメロディが美しく印象的。そういう点では満足のいくものでしたが、個人
的な希望をいえば、これらは昨年のコンサートでも演奏されているし、第1部
で「Concerto grosso」のタイトルを冠した新曲も演奏済みなので、第2部では
昨年演奏しなかった曲、より本来のNew Trollsらしいポップな曲やロックな曲、
せっかくNico Di Paloがステージ上にいるのだからたとえばアルバム『UT』か
らの曲などが聴きたかったところです。そういった曲がオーケストラ入りのス
ペシャル・アレンジで聴けたなら、かなり満足度の高いものになったのだけど
なぁ。贅沢な望みですかね。ただ、事故の後遺症で左半身が思うようにならな
いNico Di Paloの熱演・熱唱は、けっして完全なステージ・アクトではないし、
声も出きってはいませんでしたが、それでも感動的ではありました。

New Trollsのことを「プログレッシヴ・ロック」と思っているファンが多いと
いう日本の事情に配慮して、プログレッシヴを中心にしつつも、New Trollsの
本来的な魅力であるポップス、ロックもバランスよく配置した昨年のコンサー
トにくらべると、今回のコンサートはプログレッシヴ・オンリー、完全にプロ
グレッシヴ・ファン向けでした。アンコールで「Una miniera」は演奏された
ものの(最終日には「Il treno」の演奏もあったらしい)、ポップス・グループ
としてのNew Trollsの作品も含めて「New Trollsが好き」なファンには、もの
たりない部分もあったのではないかなと思います。New Trollsファンのための
コンサートというよりは、「Concerto grosso」ファンのためのコンサートと
いった感じでした。

昨年、ノリノリの演奏で多くのファンの心をつかんだトウキョウ・ヴィエール
・アンサンブル前列右端のヴァイオリニスト、武内いづみさん(http://blog.
livedoor.jp/visionmusic/)は、今年は少しおとなしい感じでしたね。2回目の
公演で余裕なのか、チェロも弾くマエストロ(指揮者)のキャラなのか。その横
で、昨年は「つらそうな表情」で演奏してた(とBlogに書いたらご本人さんに
見つかってしまった ^^;)Jam Strings(http://blog.livedoor.jp/jose0917/)
のみっきぃさんこと石内幹子さんは、今年は笑顔がたくさん見られました。演
奏中はあいかわらず真剣な表情でしたが、つらそうではなかった(笑)。となり
のいづみさんに笑いかけるときの表情や、エレガントな衣装が素敵でした。っ
て、いったいなんのレポートだよ!



■4月7日の演奏曲目■

第一部
Nella sala vuota 
Visioni 
Concerto Grosso 3 
 (7つのパートごとにタイトルがついてましたが、覚えられず) 

第二部
Concerto Grosso per i New Trolls 
 1. Allegro 
 2. Adagio 
 3. Cadenza - andante con moto 
 4. Shadows 
St. Peter's day 
Let it be me 
Concerto Grosso 2 
 1. Vivace 
 2. Andante ( Most dear lady ) 
 3. Moderato ( Fare you well dove ) 
Quiet seas 
Le roi soleil 

アンコール
 La Prima Goccia Bagna Il Viso 
 Una miniera 
 Musica 
 Vivace 
 Adagio

(Pensiero! blog 2007.04.09)








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