***< from No.11 >***< 1998.12.13 >*****************************************

★★ Michele Zarrillo を見てきました ★★★★★★★★★★★★★★★★

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 イタリア本国で若い人にも人気のある現役ポップ・シンガーの来日として一部で注目された(本当に一部だけだったようです−苦笑)ミケーレ・ザッリーロ(Michele Zarrillo)の来日公演を見てきました。

 自分が行ったのは11月20日(金)の東京厚生年金会館でのステージ。2階席はどうだったのかわかりませんが、1階はとりあえずほとんど席が埋まり、空席はポツポツ程度。とはいえ、噂では非常に大量の招待券がばらまかれたらしいので、有料入場者はそれほど多くはなかったのでしょう。

 公演ですが、全体は2部構成になっていて、約2時間ちょっと、たっぷりとイタリアン・メロディに包まれてきました。

 ミケーレって、曲も声も、もうひとつ個性が弱いというか、どうも「どこかで聴いたことあるんだよな」という印象のあるシンガーなのですが、生で聴いたら、やっぱり印象は同じでした(苦笑)。
 それでも、オーソドックスというか、典型的なイタリアのメロディは、自分に合います。とくにバラード系の曲は、いかにもな哀愁のイタリアン・メロディなのですが、オリジナリティがあろうがなかろうが、いいものはいい!
 頭の中では「ありきたりなイタリアン・ポップス」と思いながらも、聴けば笑みがこぼれてしまう。やっぱり、イタリアのメロディはいいなぁと実感してきました。

 音響では、PAの関係だと思いますが、声がちょっと割れてしまい、もうひとつ中低域の表現力が伝わらなかったのが残念ではあります。アルバムで聴いたほうが上手に聞こえます。彼のようなしわがれ声って、うまくPAに乗せるの、むずかしいのかもしれませんね。
 とはいえ、ライブならではの迫力というか、ラフな感じは、また違ったよさがあります。

 また、彼はギタリストでもあるのですが、アコースティック・ギター/エレクトリック・ギターともに、ロック・フィーリングのあるソロを披露し、それが躍動感を与えていました。

 チケット発売時に各種情報誌などで案内されていた「日本人にもお馴染みのイタリア歌謡」は、2部のオープニングに3曲ありました。そのうちの1曲は、自分はプレスリーの曲だと思ってたのですが、元曲はイタリアらしく、ちょっとビックリです。

 ただ、この「自分の持ち歌ではない」3曲は、明らかに練習不足というか、歌い込み不足というか、本当はあんまり歌いたくないんだろうなぁというのがミエミエで、完成度はいまいち(メロディはもちろんいいんだけどね)。もともと、こういう唄を歌うシンガーじゃないですからしょうがありませんが、もう少し気合いを入れて唄ってほしかったです。

 とはいえ、会場の反応はここがいちばんよかったかも。
 会場の客層はバラバラで、若い人からご年配の方、普通の勤め人らしき人からヘヴィ・メタル系のお兄さんまで、いろいろなタイプの方がいらっしゃいましたが、自分の感じでは、半分以上はミケーレのことや今のイタリアン・ポップスをほとんど知らない人のような気がしました。
 観客の多くは昔からのイタリアン・ポップス=カンツォーネのファンだったのではないでしょうか。とくに年配の方は、よくわからないまま観にきてしまったように感じます。

 けっきょく、知っている唄じゃないとあまり盛り上がれないんですよね。だから、演奏自体の完成度が低かったにもかかわらず、これらの曲がもっとも温かく迎えられてしまったんだと思います。
 そういう点で、イタリアの現役の人気シンガーを呼んでおきながら国内盤のひとつも出さないってのはどういうことだ!と関係者に問いたいところです。

 イタリアで“今”活躍しているシンガーを日本で生で見られたのは、とても嬉しいことではありますが、どうせなら、もう少しあとにつながる形を整えてほしかったですね。コンサート前の告知やマスコミへの露出も全然不足していたようですし。
 なぜ、日本でまったく知名度がないに等しく、日本盤CDの1枚も出ていない彼が来日することになったのか、非常に不思議なところです(噂では、本当はボビー・ソロというカンツォーネ歌手が来日するはずだったのが、なんらかの都合で不可能になり、急きょミケーレに変更になったらしいです。ちなみに自分、ボビー・ソロって知らない)。
 来日で知名度をあげて、国内盤を出すのかというと、そういうことでもないみたいだし(会場では輸入盤を売っていました)。

 彼のことを知っている人が非常に少ない国に、受入側のきちんとした準備もないまま来て、イタリアへ帰ったあとのフォローもない。それではミケーレが、なんかかわいそうです。
 せっかく日本の大勢の人に彼の生の歌声が届いたのだから、これを根づかす活動をしてくれるといいんですけどね>レコード会社さん。

 今回の公演では、以下の曲が演奏されました(会場で配られたパンフと、パンフに解説を書いた片山さんのホームページ「ITALIAN MUSIC FAVORITE」より)。

第1部
1: Strade di Roma
2: il Canto del Mare
3: una Rosa Blu
4: il Sopravvento
5: la Notte dei Pensieri
6: i Giorni di una Vita
7: Su Quel Pianeta Libero
8: Innamorando
9: Cinque Giorni

第2部
1: Io Te Vurria Vasa
2: Io Che Non Vivo
3: Che Sara'
4: l'Elefante e la Farfalla
5: Perdono
6: Ragazza d'Argento
7: l'Amore Vuole Amore

アンコール
1: Non Arriveranno i Nostri
2: Adesso
3: gli Assolati Vetri

 今回演奏された曲のほとんどは最新のベスト盤『l'Amore Vuole Amore』に収録されています。あまりクセがなく、ほどよくイタリアン・テイストを持った彼の曲は、非常に聴きやすいので、イタリアン・ポップス初心者の方でも馴染みやすいかもしれません。

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