MiniRevueTitle


CZECH


さらっと聴いたときのアルバムの印象を簡単に紹介します。


Modry Efekt




MODRY EFEKT & RADIM HLADIK (1974)
チェコ・ロック・シーンのビッグ・ネーム、Modry Efekt(モードリー・エフェクト)のアルバム。ちなみに、CDではModry Efekt名義になっていますが、ジャケットの裏やライナーノートを見ると、Modry Efektに改名する前のBlue Effect(ブルー・エフェクト)時代にリリースされたもののようです。
このアルバムでの主役はRadim Hladik(ラディム・フラディク)のギターです。Modry Efektらしい、ぶんぶんうなるベースや東欧の哀愁を漂わすフルートその他の演奏などは楽しめますが、ヴォーカルは入っておらず、彼らのアルバムの楽しみのひとつである野太い男性コーラスも聴けません(ボーナストラックは歌入りの曲ですが)。
しかしRadimのギターは迫力ある演奏のバックアップで激しく奏でられ、ときにフルートやサキソフォンとバトルします。非常に「ロック」を感じさせる演奏が繰り広げられています。かと思うと、やわらかく美しいメロディのギターとフルートが調和する、オランダのFocus(フォーカス)を思わせるような曲もあり、アルバムに変化を持たせます。ちょっとコミカル?なスキャットも入り、そのへんも少しFocus風かもしれません。
ヴォーカルとコーラスが聴けないのは残念ではありますが、熱いロック魂と東欧の哀愁が渾然一体となって投げつけられるかのような音楽は、自分にとってはなかなか好ましいです。チェコ・ロック、侮りがたしといった感じです。 (BONTON MUSIC / SONY MUSIC: BON 495274 2 / チェコ盤CD) (2004.12.25)

M.EFEKT / NOVA SYNTEZA 2 (1974)
すごいです。ボコボコしたベースとドラムの迫力。ドラマティックな構成。哀愁のあるヴォーカル。力強いブラス。非常に重厚なヘヴィ・シンフォニック・ロックが堪能できます。
言論や思想に対する統制が強く残っていた1970年代の東欧・チェコで活動し、多くのアルバムをリリースしたModry Efekt(モードリー・エフェクト)のデビューは1960年代終わりころ。旧共産圏ではロックを「西側的退廃の象徴」とみなしていたようですが、チェコも例外ではなく、このアルバムにも「ロック」ではなく「ジャズ・オーケストラ」という文字が見えます。
しかし聞こえてくるのは間違いなくロック。ブラスの導入比率が高いのでジャズ風に聞こえるところもありますが、ブラスとバンドによる密度と緊張感の高いアンサンブルはOsanna(オザンナ)King Crimson(キング・クリムゾン)に通じるところもあるでしょう。
このアルバムを代表する曲はやはり、20分を超す大曲で、アルバム・タイトル曲にもなっている「Nova Synteza 2」でしょう。初期のころのOmega(オメガ)などにも通じるような、東欧の叙情・哀愁をたたえたハード・ロック的要素を力強いリズム・セクションとブラスが引っ張り、非常にパワフルで重く、スリリングな演奏が楽しめます。緩急をつけたドラマティックな構成も見事ですし、男声コーラスによる印象的なフレーズも耳に残ります。
共産政治によるさまざまな規制のなかで、しかも1974というはやい時期に、これだけのパワーとクオリティを持ったアルバムをリリースしたグループに脱帽するしかありません。プログレッシヴ・ロックのファンで、というよりもユーロ・ロックのファンで本当によかったと思えるアルバムです。素晴らしい。 (BONTON MUSIC: A.S.71 0608-2 / チェコ盤CD) (2004.12.25)

M.EFEKT / SVITANIE (1977)   alla "Musica"
チェコを代表するロック・グループ。この『Svitanie』は彼らの5枚目のアルバムで、プログレッシヴ・ロック・ファンのあいだでは傑作として知られています。初期の頃にあったような圧倒的なパワー、情念の噴出、といった泥臭い部分はかなり薄くなり、より技巧的に、より洗練されたプログレッシヴ・ロックになっていると思います。Yes(イエス)Uriah Heep(ユーライア・ヒープ)などの影が見え隠れするなかに、Omega(オメガ)などにも通じる東欧の哀愁もあります。 (SUPRAPHON / OPUS: 91 2629-2 311 / スロヴァキア盤CD) (2007.09.09)



INDEX A B C D E F G H I J K L M N O P Q R S T U V W X Y Z



Musica

Pensiero! -- la Stanza di MOA

(C)MOA

inserted by FC2 system