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A


さらっと聴いたときのアルバムの印象を簡単に紹介します。


*** canta(u)tore ***
Adriano Monteduro e Reale Accademia di Musica / Al Bano & Romina Power / Alberto Camerini / Alberto Cesa / Alberto D'Amico / Al Rangone / Alan Sorrenti / Alberto Fortis / Aleandro Baldi / Alessandro Canino / Alessandro Errico / Alessandro Mara / Alessandro Safina / Alessio Bertallot / Alessio Caraturo / Alex Baroni / Alfonso Maria Parente / Alfredo Cohen / Ambrogio Sparagna / Amedeo Minghi / Andrea Bocelli / Andrea Chimenti / Andrea Lo Vecchio / Andrea Mazzacavallo / Andrea Mingardi / Andrea Ori / Andrea Parodi / Andrea Tich / Andrea Volpini / Angelo Branduardi / Angelo Ruggiero / Anonimo Italiano / Antonello Venditti / Antonio Decimo / Armando Dolci

*** canta(u)trice ***
Alice / Ambra / Anna Oxa / Anna Tatangelo / Antonella Ruggiero

*** gruppo ***
Abissi Infiniti / Afterhours / Albatros / Albertomorselli / gli Alluminogeni / gli Alunni del Sole / Alusa Fallax / Ameba4 / Anonima Sound Ltd. / gli Apostholi / Apoteosi / Arcastella / Armonium / Audio 2





ABISSI INFINITI / TUNNEL (1981)   alla "Musica"
 アビッシ・インフィニティ(Abissi Infiniti)の1981年のアルバム。プログレ系のグループですが、演奏技術や曲の展開 などで聴かせるタイプではなく、けっこう唄に比重があります。ただ、中途半端な古臭さがあり、自分はあまり楽しめません。(1998.11.03)



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AFTERHOURS / NON E' PER SEMPRE (1999)
 基本的にはブリティッシュ・テイストのロック・グループといえるでしょう。オープニング曲の「Milano circonvallazione esterna」など、1980年代のブリティッシュ・ニューウェーヴを聴いていた層には、ある意味懐かしく、同時に「まだこんな音楽をやっ てるんだ」といった印象を抱かせるのではないでしょうか。ラウドで引きずるような重さを持ったロック、ニューウェーヴ的な金属質なかたさと冷たさを持った デジタルなロックが、多く収録されています。
 ただ、曲によってはヴァイオリンを上手に使い、ロックななかに優しさと哀愁を漂わせていたり、Ottavo Padiglione(オッタヴォ・パディッリォーネ)を思わせるほのぼのとしたあたたかさとやわらかさのあるポップな曲があったりと、意外 と音楽性に幅があります。逆にいえば、全体像としての印象がとらえにくいグループで、曲によって好き嫌いが大きくわかれそうです。大きな意味では、それも 個性といえるのかもしれませんが。
 また、どの曲にも、歌メロやバックの演奏のなかにどこかしら、ほっとするようななだらかなメロディが隠されていたりするので、うまくそこを見つけて楽し むコツを身につけると、ずいぶんと楽しめるグループなのかもしれません。(1999.06.17)



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ADRIANO MONTEDURO E REALE ACCADEMIA DI MUSICA / same (1974)
 カンタウトーレのアドリアーノ・モンテデューロ(Adriano Monteduro)が、プログレッシヴ・ロック・グループのレ アーレ・アカデミア・ディ・ムジカ(Reale Accademia Di Musica)と組んで出したアルバム。これ以外にもアドリアー ノがアルバムを出しているかはわかりませんが、レアーレのほうはアルバムが1枚あります。
 全体的に牧歌的でファンタジックな空気が感じられます。ポップ/ロックというよりは、フォークといったほうが違いでしょう。アドリアーノの声は少しこも りぎみのかすれ声で、もうひとつ説得力に欠けるし、レアーレの演奏も取りたててインパクトがないため、アルバムとしては平板な感じがします。とはいえ、素 朴で柔らかいアコースティック・ギターの音色は、妖精の住む森へと誘ってくれるかのようです。(1999.02.11)



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AL BANO & ROMINA POWER / FELICITA' (?)
 ドイツでリリースされた廉価盤のベストCD。Al Bano(アル・バーノ)のCDを買うのは、じつははじめてで、これまで彼の曲を意識 して聴いたことはありませんでした。このCDはベスト盤ですから当然、収録されているのは有名な曲、代表曲ばかりなのでしょう。だからか、M3の「Sharazan」と いう曲は聴いたことがあるような気がします。
 Al Banoは非常に声量のあるヴォーカリストで、スケール感のある歌を聴かせてくれます。また、婦人であるRomina Power(ロミナ・パワー)は、すがすがしい草原の風を思わせるような、さわやかな歌声を持っていて、声のタイプはAlと違 うのですが、デュエットの相性はよいようです。
 ポップで明るい曲想にイタリアらしいなだらかなフレーズを持った曲が多く、1970年代の典型的イタリアン・ポップスという感じがします。
 そんななかでも、曲のスケール感とドラマ性という点で「Sharazan」は、いかにもイタリア的な佳曲といえるでしょう。ゆったりとし たメロディに、徐々に盛り上がる構成、おだやかななかにほのかな哀愁とクラシック的な豊潤さがあるこの曲は、どことなくDario Baldan Bembo(ダリオ・バルダン・ベンボ)の匂いがします。こういった感じの曲は、自分は文句なく好きです。
 全体的には青春ポップス的な曲が多く、あまりクセもなく、聴きやすいイタリアン・ポップスといえます。そしてなにより、メロディのよさが際立っていま す。(2000.12.17)

AL BANO & ROMINA POWER / LE PIU' BELLE CANZONI (1991)   alla "Musica"
 圧倒的な声量と歌唱力を持つ、ある意味とてもイタリアらしいというか、カンツォーネからの流れをはっきりと感じさせるポップス・シンガー。このCDはベ スト盤だけあって、ゆったりしたバラードからリズミックなポップス、クラシックまで、幅広く収録されています。曲によってはパイプ・オルガンも入り、分厚 い演奏がAlのヴォーカルをさらに力強く響かせています。こういったアレンジは、古いといえば古いのだけど、やはりちょっと感動的です。 (2002.06.22)

AL BANO / COLLEZIONE (2001)
 歌いだしからアクセル全開、フルパワーのようなAl Bano(アル・バーノ)の歌い方は、さすがに暑苦しく感じるところもあり、イタリ アン・ポップスのファンでも好き嫌いがわかれそうな感じがします。しかし、Al BanoにしろMassimo Ranieri(マッシモ・ラニエーリ)にしろ、こういった圧倒的な声量と力強い歌声はカンツォーネ・イタリアーナの魅力のひとつでもありま す。伸びやかで迫力のある声が充分に映えるおおらかなメロディも、イタリアン・ポップスらしくてよいです。
 非常に歌唱力のあるカンタトーレ(シンガー)ですが、いくぶん繊細さに欠けるかなと感じるところもあります。しかし、それ以上に、肯定的で前向きに響く 声が魅力的です。
 このCDはEMI Italianaの廉価盤CDシリーズの1枚としてリリースされたベスト盤ですが、それぞれの収録曲について、録音年その他のデータがまったく書かれていません。このシ リーズは基本的にオリジナル音源を収録しているようなので、Al BanoのこのCDについても再録や新録ではなく、オリジナル音源なので しょう。たぶん、声の張りなどの感じからすると、比較的若いころに録音されたものではないかと思います。歌い方がとてもストレートなのは、そのせいもある のではないかと思うのですが、いかがでしょうか。後年は、もう少し曲に表情をつけた歌い方をしていたように感じるのです。
 しかし、こういったストレートさは、より純粋に「歌声を楽しむ」という意味では、かえってよいのかもしれません。(2001.06.17)



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ALBERTO CAMERINI / RACCOLTA DI SUCCESSI (1995)   alla "Musica"
半分は、いわゆるディスコ・ミュージックとかユーロ・ビートとかいわれるタイプのものでしょう。派手なビートの上にふにゃふにゃと漂うチープでへなちょこ なキーボードのアレンジが脱力ものです。Nuovi Angeli(ヌオーヴィ・アンジェリ)「Donna felicita'」と か「Singapore」に似たタイプの、軽快なポップ・ミュージックも収録されてます。いずれにしても自分の好みとはかなり違うのです が、ときどきちょっとアコースティックな感じの曲もあったりして、そしてそういう曲がどことなくデビュー当時のAlberto Fortis(アルベルト・フォルティス)を思い出させたりもして、あなどれないのです。 (DUCK RECORD: DGCD 120 / イタリア盤CD) (2005.06.04)



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ALBERTO CESA / I FOGLI VOLANTI (2000)
 Alberto Cesa(アルベルト・チェーザ)は1970年代から活動しているトラッド・グループ、Cantovivo(カン トヴィーヴォ)のヴォーカリストです。このアルバムでは個人名義になっていますが、演奏はCantovivoが担当していま す。Cantovivo名義のアルバムを聴いたことがないので正確なところはわからないのですが、グループの中心人物でヴォーカリストのAlbertoの バックでCantovivoが演奏しているのですから、実質的にはCantovivoのアルバムといってもよいのではないか と思います。
 イタリアのトラッド系グループというと、たとえばNuova Compagnia di Canto Popolare(ヌオーヴァ・コンパーニァ・ディ・カント・ポポラーレ。N.C.C.P.)Musicalia(ムジカリア)、 あるいはConsorzio Suonatori Indipendenti(コンソルツィオ・スォナトーリ・インディペンデンティ。C.S.I.)などが思い浮かびますが、多分に民族音楽的 であったり、クラシカルであったり、古楽的であったりするこれらのグループにくらべると、Cantovivoの音楽はずいぶんとやわらかく おだやかで、ゆるやかな風と優しい陽の光によるあたたかさのようなものが感じられます。トラッドといっても北ヨーロッパや東ヨーロッパ系ではなく、どちら かというと地中海のイメージがあるからでしょうか。その点で、たとえばAngelo Branduardi(アンジェロ・ブランデュアルディ)な どにどこか通じるところもありますし、さらに、南国的な心地よいだらけた感じなどもあります。
 アコースティック・セットによる演奏、落ち着いたヴォーカルも、淡々としたなかに人間的なあたたかさとリリカルさがあります。明るく優しい感じのトラッ ド・フォークはとても地味ですが、ストリングスや木管なども適度に使用され、聴くほどに味わいが出てくるタイプの音楽だと思います。 (2001.06.17)



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ALBERTO D'AMICO / ARIVA I BARBARI (1973)
Alberto D'Amico(アルベルト・ダミコ)は 1943年にヴェネツィアで生まれましたが、両親はシチリアの人だそうです。1968年に『Il mio partito saluta Mosca』でデビューし、1986年の『Aneme』ま で4枚のアルバムをリリースしているようです。
『Ariva i barbari』は1973年にリリースされたセ カンド・アルバム。手元にあるのは1996年にリリースされたCDですが、どうもこれ、LPからの盤起こしのようで、あちこちにプチプチとしたノイズが 入っているうえ、ときどき音量レベルや左右のバランスにもふらつきがあったりします。ただ、収録されている曲がほとんどどれもガット・ギターによる弾き語 りのようなものなので、音量変化についてはあまり気にならなかったりはします。
曲のタイプとしては、古い時代の人が歌った古いメッセージ型フォーク・ソングといった感じで、おそらくメロディよりも歌詞が非常に重要なのでしょう。とい うより、楽曲の魅力の大部分が歌詞に集約されるタイプといえそうです。歌詞カードの最初に掲載されているIvan Della Mea(イヴァン・デッラ・メア)という人の解説?はいきなり「ヴェネツィアは死ぬ(でいいのかな? Venezia muore)」で始まってて、歌詞のなかにもヴェネツィアがどうのなどと書かれているようで、なにかきっとヴェネツィアに関した物語になっているのでしょうが、イタリア語 のわからない自分にはぜんぜん理解できません。なので残念ながら、自分にはこのアルバムを楽しめません。歌詞の理解なしに、メロディと演 奏と歌声だけで楽しむには、ちょっと地味すぎるし、平坦すぎるように感じます。(2007.03.17)



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AL RANGONE / RANGONE (1996)
 Al Rangone(アル・ランゴーネ)は、イタリアン・ポップスというよりはイタリア歌謡、典型的なカンツォーネ・イタリアーナと呼 べるタイプの曲を歌うシンガーのようです。そういう意味では、いまとなっては古臭い感じの音楽ですが、曲が持っているメロディがとてもイタリアらしくて魅 力があるため、意外とすんなり聴けてしまいます。
 ちょっとざらつきのある力強い歌声は、カンツォーネ黄金時代を愛するファンの心にも響くのではないでしょうか。非常に歌唱力のあるシンガーだと思いま す。決して大げさな表現はしませんが、きちんと歌に表情をつけられる人です。
 オールド・スタイルなギターやキーボードのアレンジ、アクセントに入るアコーディオンなども、たんに古臭いとかたずけるよりは、古き良き時代のイタリア 歌謡の雰囲気をいまに伝えていると考えたいです。おおらかなメロディが魅力的に響く作品です。
 ジャケットの写真を見る限り、このアルバムの時点ですでに若くないので、きっとキャリアのある歌手なのでしょう。2000年にCatelina Caselli Sugarからベスト盤がリリースされていますので、いまも現役で頑張っているのだと思います。
 最近のイタリアン・ポップスが好きな人には時代がかった音楽と敬遠されるかもしれませんが、もともとのカンツォーネ・イタリアーナが持っていた魅力を知 るという点ではおすすめできるアルバムではないでしょうか。(2000.05.14)



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ALAN SORRENTI / COME UN VECCHIO INCENSIERE ALL'ALBA DI UN VILLAGGIO DESERTO (1973)   alla "Musica"
音程があるようなないような、空間に無造作に放り出されるような歌は、どことなくシャーマニックです。静かな呪術儀式を思わせるような太鼓。ときに美しい 旋律を奏で、ときに不安感をかきたてるようなヴァイオリン。不用意に触ったら崩れて壊れてしまいそうな歌声をそっと支えるコントラバス。シンセサイザーの 奏でる穏やかなカオス。ふわふわと空間をさまよう不安定な精神。サイケデリック・フォークの香りを色濃くまとい、独特の浮遊感と不安定感のなかを放浪するAlan Sorrenti(アラン・ソッレンティ)。しかし、そこに暗い影は感じられず、意外と明るい、体の中から外へと出て行こうという意識が見え 隠れするように思うのは、気のせいでしょうか。 (EMI ITALIANA / MELLOW RECORDS: MMP 192 / イタリア盤CD) (2008.02.17)

ALAN SORRENTI / MIAMI (1997)   alla "Musica"
 デヴュー当時は独特の浮遊感と狂気すれすれの透明な精神世界を感じさせるカンタウトーレでしたが、このベスト盤にはそのような面影はまったくなく、明る い陽射しと少し湿り気を帯びた熱い風といった、まるで南国のリゾートを感じさせるようなポップスが聴けます。(2000.08.13)



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Albatros / Volo AZ 504 (1976)
 どうもトト・トルクァーティ(Toto Torquati)とごっちゃになってしまうことが多いカンタウトーレのトト・クトゥー ニョ(Toto Cutugno)が、むかしやってたグループ。自分は Cutugno のアルバムを聴いたことがないので、このグループの音が Cutugno のアルバムと似てるかどうかはわかりません。
 カンタウトーレやポップスというより、ムード歌謡に近いかもしれない(^^;)。ダリオ・バルダン・ベンボ(Dario Baldan Bembo)のベスト盤を聴いたときと同じような印象を受けました。(1998.04.29)



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ALBERTOMORSELLI / DA UN'ALTRA PARTE (2005)   alla "Musica"
ヴォーカル担当のAlberto Morselli(アルベルト・モルセッリ)とギター・ベース・プログラミング担当のFabio Ferraboschi(ファビオ・フェッラボスキ)のふたりからなるユニットのようです。、ゲスト・ミュージシャンが5人ほどいて、そのう ちのヴィオラ&ヴァイオリン担当のFilippo Chieli(フィリッポ・キエリ)はこのアルバムで重要な役割を持っているといえま す。ほぼ全曲で聴かれる、ヴァイオリンというよりはフィドルといったほうが雰囲気が出る、ひなびた哀愁を帯びた音色が印象的です。Albertoは 中低域の豊かな、深みのある声を持っています。うたい方には粘りがあり、なかなかに魅力的です。 (RISERVAROSSA RECORDS / WARNER MUSIC ITALIA: RR 0004 / EU盤CD) (2005.04.03)



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ALBERTO FORTIS / same (1979)
 演奏面でPremiata Forneria Marconi(プレミアータ・フォルネリア・マルコーニ。PFM)が全面的に参加してい る1stアルバム。PFMがバックを務めているので、新人のデヴュー盤とはいえ、演奏面の不安定さは当然ありません。もちろん、PFMが演奏しているから といってプログレ的な展開があるわけでもありません。あくまでもバック・ミュージシャンとしての参加なので、Fabrizio De Andre’(ファブリツィオ・デ・アンドレ)とのライヴ盤のようにPFMを主張するようなところはありません。なので、プログレ・ファンで はなく、カンタウトーレ・ファン、ポップス・ファンが聴くべきアルバムです。
 Alberto Fortis(アルベルト・フォルティス)は少し癖のある声をしたカンタウトーレですが、その地声とファルセットを組み 合わせて、ちょっと独特の「歌の世界」をつくっています。全体的には明るく暖かい曲想が多いのですが、歌メロそのものがイタリア的な美しい流れを持ってい るかというと、そうでもありません。基本的にはフォーク・ロック的な、メロディよりもヴォーカルの個性で聴かせるタイプの曲づくりといえるでしょう。歌唱 力があるとか、ヴォーカリストとしてうまいとはいえませんが、彼ならではの存在感とセンチメンタリズムのある歌い方だし、声だとはいえます。
 ところで、6曲目のバックのピアノの音は、明らかに録音テープが伸びているように聞こえるのですが、もともとこういう録音だったのでしょうか。それと も、CD化されるときに使われたマスターテープの保存状態が悪かったのかな。(2000.01.10)

ALBERTO FORTIS / L'UOVO (1991)
 Alberto Fortis(アルベルト・フォルティス)のデヴュー10周年を記念してリリースされた、ベスト選曲によるライヴ盤らし いのですが、彼のデヴューは1979年だったと思うので、ちょっと計算があいません。
 ライヴとはいっても観客の歓声や拍手などはほとんどラインに乗っておらず、曲の途中でわずかに聞こえる程度なので、ライヴ盤ならではの聴衆と一体となっ た感動といったものは感じられません。それはまだいいにしても、フェードアウトで終わっている曲が何曲もあるのは、ライヴ盤としては致命的なように思いま す。
 そういった体裁上で不満の残るアルバムですが、収録されている楽曲的にはベスト選曲と歌うとおり、彼の曲のなかでもよい曲が集められているように感じら れます。といっても、彼のオリジナル・スタジオ盤は2枚しか聴いたことがないので、本当にベスト選曲なのかどうかはわかりませんが、少なくともこのライヴ に収められている曲は、単体としてクオリティの高いイタリアン・ポップスといえるでしょう。
 ちょっと細めでクセのある高い声のヴォーカルと、明るいフォークロック的ななかにも時折ドラマティックな盛り上がりを見せるバックとのバランスもよく、 楽しんで聴けるアルバムになっていると思います。ファースト・アルバムに収録されていた曲などは10年の間に熟成しこなれたのか、「La sedia di lilla'」などはよりロマンティックで奥行きのあるものに仕上がっています。(2000.08.13)

ALBERTO FORTIS / DENTRO IL GIARDINO (1994)
 どこかで聞いた名前だと思ったら、ヴィンチェンツォ・スパンピナート(Vincenzo Spampinato)のレヴューを書いたとき に出てきたのね、アルベルト・フォルティス(Alberto Fortis)
 正直にいって、ひさしぶりに失敗でした。中古で400円だったからいいけど、ぜんぜん自分には合わない。クラウディオ・ファビ(Claudio Fabi)のプロデュース、本人はキーボーディストということで期待したんだけどなぁ。ともかく曲が悪いし、唄にもこれといって引き付けると ころがない。途中で出てくる黒っぽい女声コーラスもぜんぜんアピールしないし。
 ときには、こんな買い物もあります。あきらめましょう。(1998.11.03)

ALBERTO FORTIS / LE PIU' BELLE CANZONI DI (1998)
 1970年代後半から80年代ころには、ずいぶん人気があったらしいカンタウトーレ。たしか当時は、Vincenzo Spampinato(ヴィンチェンツォ・スパンピナート)などとも活動をともにしていたといった記事を見た記憶があります。
 とはいえ個人的には、以前に聴いた『Dentro il Giardino』(1994)がまったく自分の好みに合わず、ぜんぜんいいと 思えませんでした。やっぱりアルバムは、アーティストの全盛期のものを聴かないとだめですね。
 今回のアルバムは、タイトルどおりのベスト盤です。1980年代前半の曲を中心に集められています。これを聴いて、なるほど、これはいいかもしれないと 思えました。
 フォーク・ロックがベースにある、カンタウトーレらしいメロディと歌い方、豊かな音場があり、イタリアらしい個性を聴かせてくれます。湿った哀愁・叙情 とは違った、明るさのなかに愛と希望が詰まったような、風薫る緑の草原にいるような心地よさを感じます。オーケストレーションも入っていますが、決して大 げさではなく、シンプルながらも曲の味わいを深めるのに成功しているといえるでしょう。
 ヴォーカル自体はけっこうロック的です。John Lennon(ジョン・レノン)「Imagine」のイタリア語カ ヴァーが収録されています。
 これを聴いたら、初期のころの彼のオリジナル・アルバムも聴きたくなりました。(1999.09.12)



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ALEANDRO BALDI / e Sia Cosi (1987)   alla "Musica"
 アレアンドロ・バルディ(ALEANDRO BALDI) の1st(?)アルバム。
 これまで登録してきたアルバムにくらべると、ずいぶん現代的な音色をもったアーティストです。重くてしつこい(^^;)イタリアン・ミュージックはあま り好きでないという方でも、このアルバムなら大丈夫。都会的で洗練された、おしゃれな感じも漂わせつつ、イタリアらしさも失っていないアルバムです。 (1997.12.04)

ALEANDRO BALDI / TU SEI ME (1996)
 アレアンドロ・バルディ(Aleandro Baldi)は自分でも曲を書くので、一応シンガー・ソングライターなのでしょうが、唄って いる曲を聴くと、カンタウトーレぽさがほとんどなく、どちらかというとカンツォーネ歌手のように感じます。ちょっとひ弱な感じの、なめらかで美しい声を 持っていて、その声でおしゃれな感じの曲を唄うので、余計にムード・ポップス的な印象を自分は受けてしまうのかな。いわゆる、日本でいうサンレモ系(実態 がどうかは別にして)の音楽ではないでしょうか。
 メロディも声も綺麗ですが、個人的にはもう少し、クセ、アクといったものが感じられればなぁと思います。(1999.04.04)



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ALESSANDRO CANINO / IL MEGLIO (1999)
 Alessandro Canino(アレッサンドロ・カニーノ)は1992年にサンレモに参加したあと、アルバムを3枚ほど出している らしいのですが、自分はどれも持っていません。
 今回のアルバムはタイトルどおりベスト盤ですが、「Piccolo Fiore」のインストでアルバムの幕が開き、同曲のヴォーカル入り で終わることで、なんとなくオリジナル・アルバムぽい体裁に整えています。また、収録に際してはギターやコーラスなどが再録されているようです。
 彼の声は、思いっきり薄味にしたFausto Leali(ファウスト・レアーリ)といったところでしょうか。ところどころに無駄に力が 入った歌い方はMarco Masini(マルコ・マジーニ)Massimo Ranieri(マッシモ・ラニエリ)の直 系といった印象も受けます。曲調は非常にポップで聴きやすく、あまり「イタリアの哀愁」といった感じはありません。
 Alessandroは自分では曲を書かないのか、このCDには自作曲が1曲もありません。これは、彼のような、声や歌い方にそれほど強 い個性がないシンガーにとっては、大きな弱みといえるでしょう。
 そのうえ、作曲陣にもあまり恵まれていないのか、曲自体の個性や魅力といったものも薄いように感じます。どうも、どこかで聴いたことのあるようなメロ ディが多すぎるのです。
 それぞれの曲自体は決して悪くなく、それなりに美しさと聴きやすさがあるのですが、それらがなんとなく借り物に聴こえます。アーティストとしての個性の 弱さゆえに、曲が自分のものになっていないように感じます。BGMとして流すにはいいのだけどね。(2000.02.11)



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Alessandro Errico / il Mondo Dentro Me (1996)   alla "Musica"
 1996年にデヴューしたばかり(だと思う)の若手新人カンタウトーレの1stアルバムです。
 いまはイタリアもダンス・ミュージックなどがいっぱい流れてて、英米の曲とあまり区別がつかない曲が人気を得ているようで、思ったほど「イタリアらしい メロディ」というのが聴けない状況のようですが、このアレッサンドロ・エッリコ(Alessandro Errico)はとってもイタリ アーナなメロディをもった新人です。アンドレア・ボチェッリ(Andrea Bocelli)と同じ Sugar レーベルから出ています。

 全体的にイタリアらしい美しいメロディの曲が多いのですが、バックの演奏、とくにギターの音色にはロックっぽさを感じます。これにより、甘さに流されす ぎない、かといってハードではないという、現代的でバランスのよい曲調になっているのではないかと思います。
 すでに数枚のアルバムがあるようですが、他のアルバムも聴いてみたい気にさせられました。(1997.12.27)

Alessandro Errico / Esiste Che (1997)   alla "Musica"
 アレッサンドロ・エッリコ(Alessandro Errico)の2nd アルバム。さらにドラマティックにせつなくなった、なかなかの名盤だと思います。おすすめ。(1998.08.02)



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ALESSANDRO MARA / AMARSI COS'E' (1998)
 アレッサンドロ・マーラ(Alessandro Mara)は、エロス・ラマゾッティ(Eros Ramazzotti)人 脈の人みたいです。アーティスト・プロデュースのところにErosの名前がありますし、ギター、コーラス、作曲などでも数曲に参加してます。
 アルバムは、最近の若いカンタウトーレらしい、クリアで明るい曲が中心ですが、ハモンド・オルガンを使ったりと、現代風ななかにも郷愁を感じさせるエッ センスがあります。音楽のベースが、古くから続くイタリアン・ミュージックの流れの上にあるのでしょう。
 おおらかな感じはErosに通じるところもありますが、彼よりも哀愁味が強いのではないでしょうか。声も、Erosほど軽くはありません。全体的に水準 以上にはなっていますが、何かひとつ、心をわしづかみにするようなものがあれば……というのは過大な期待かもしれません。(1999.02.28)



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ALESSANDRO SAFINA / INSIEME A TE (1999)   alla "Musica"
 全編を通してクラシックの唱法で美しいポップスを歌っています。スタンスとしてはAndrea Bocelli(アンドレア・ボチェッリ)と 近いところにいるのでしょう。プロデュース&楽曲提供は、1970年代にla Bottega dell'Arte(ラ・ボッテガ・デッラルテ)で 活動していたRomano Musumarra(ロマーノ・ムスマッラ)。彼はほかにもオーケストラ・アレンジやピアノ演奏も担当していま す。Alessandroの伸びのある声を活かした、ドラマティックでスケール感のある曲を書いています。(2001.04.22)



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ALESSIO BERTALLOT / NON (1999)
 なぜ買ってしまったのか、自分でもよくわからないCD。何枚かのCDをまとめて海外の通販ショップにオーダーするときに、なにかのはずみで注文してし まったのだと思います。もちろん、Alessio Bertallot(アレッシオ・ベルタッロット)についての予備知識などありません し、曲を聴くのもはじめてです。
 アルバムのオープニングは賛美歌を思わせるコーラスから始まり、「これは大当たりか!」と思ったのはほんのつかの間。その後に続く音楽は、自分のもっと も苦手とするクラブ・ディスコ系のものでした。R&B色はありませんが、かといってイタリア的というわけでもなく、Hip Hopなリズムにロック色、ニューウェーヴ色の感じられるアレンジがかぶさり、ラップやスクラッチも入るという音楽です。
 個人的には、たくさんあるイタリアンCDコレクションのなかに1枚ぐらい、こういったCDがあってもいいけれど、頻繁にプレーヤーに乗ることはないだろ うなといったところです。(2000.06.17)



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ALESSIO CARATURO / CIO' CHE DESIDERO (2005)   alla "Musica"
1972年5月11日生まれ。ナポリ出身。どうやらデビュー作のようなのですが、なかなかの拾い物でした。カンタウトーレ作品らしい淡々としたロマン ティックな曲あり、厚いオーケストラでドラマティックに盛り上がる曲あり、Avion Travel(アヴィオン・トラヴェル)に通じるよ うなロマンティシズムを感じさせるスロー・ジャズ風な曲あり、エレキ・ギターをバックに配したスケール感のあるロック・バラードあり、暖かい感じのフォー ク・ソングあり、Pino Daniele(ピーノ・ダニエーレ)Nino Buonocore(ニーノ・ブォノコーレ)な どがやりそうなボサノバ&ジャズ風味の心地よい曲ありと、全体におだやかながらも曲にヴァリエーションがあります。ときどきFranco Battiato(フランコ・バッティアート)風に聴こえる少し頼りなげな声質もこういった曲に合っています。 (CAROSELLO RECORDS/WARNER MUSIC ITALIA: CARSH138 / EU盤CD) (2006.02.05)



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ALEX BARONI / QUELLO CHE VOGLIO (1998)
 都会的に洗練され、乾いた感じのポップ・ロックが聴けます。アレックス・バローニ(Alex Baroni)はギターも弾くようですが、 そういわれると、ギター弾きがつくった曲だなと感じます。
 おしゃれなロマンティシズムと適度の哀愁、聴きやすい声と現代風のすっきりとしたアレンジ。イタリア云々は抜きにしても、美しいメロディを持った洋楽 ポップスとして楽しめるものではないでしょうか。イタリア初心者でも聴きやすいと思います。(1999.04.04)



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ALFONSO MARIA PARENTE / PAURA DI PENSARE (2000)
 2000年のサンレモ音楽祭に新人部門で出場したAlfonso Maria Parente(アルフォンソ・マリア・パレンテ)です が、なぜか2種類リリースされたサンレモのオムニバスCDのどちらにも収録されず、ちょっと可愛そうです。アルバムのジャケットなどには名前の前に Padre(神父)という単語がついています。その名のとおり、どうやら本職は聖職者のようですが、オムニバスに未収録なのも神の思し召しなのでしょう か。
 手に十字架のペンダントを持ち、頬杖をついて物思いにふけっているジャケット写真、そして演奏するのは神父……とくればホーリーな合唱なども入ったAmedeo Minghi(アメデオ・ミンギ)張りの音楽が聴けるかと期待しましたが、出てきたのは非常に泥臭くブルージーなフォーク/ロックで、ちょっ とびっくりです。彼自身はエレキギター以外にドブロギターも弾くようで、かなりイナタイです。
 神父ともイタリアン・ポップスとも、なかなか結びつきにくいアルバムです。(2000.08.13)



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ALFREDO COHEN / COME BARCHETTE DENTRO UN TRAM (1976)
 Franco Battiato(フランコ・バッティアート)系列のカンタウトーレのようです。アレンジとディレクションを Battiatoが行ない、コーラスにはJuri Camisasca(ユリ・カミサスカ)が参加しています。
 生の弦楽器やサキソフォン、ピアノによるバッキングで、地味であまり展開のない曲を歌っています。イタリアの歌ものによく聴ける哀愁・情熱といったもの はなく、非常に淡々とすすんでいきますが、品のよいたおやかさがあるあたりは、やはりBattiatoのお友達という感じがします。ポップス・ファンより はカンタウトーレ・ファン、イタリアン・プログレから歌ものに入門した人向けでしょう。(1999.08.15)



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ALICE / LA MIA POCA GRANDE ETA (1975)   alla "Musica"
アリーチェアリーチェ・ヴィスコンティ名義で1975年に出した1st アルバム。 イ・プー(I Pooh)のプロデューサーとして有名なジャンカルロ・ルカリエッロ(Giancarlo Lucariello)が プロデュース、すべての曲をイ・プーステファーノ・ドラツィオ(Stefano D'Orazio)が提供しています。ど れもがイタリアン旋律ファンなら愛さずにはいられないような曲だけど、クラシカルかつ深みのあるストリングスに彩られ、どこか芸術的でさえある楽曲こそ が、このアルバムの最大の魅力であると思います。 (KING RECORD 292E 2065 / 日本盤CD) (1997.06.15)

ALICE / COSA RESTA....UN FIORE (1978)   alla "Musica"
Alice(アリーチェ)の声はどこか冷たい感じがして(ハートが、ではなく、温度が)、自分にとっては好ましいタイプの女声ヴォーカルで す。この声が、あたたかみのあるイタリア王道ポップス・スタイルの演奏にのって流れ出します。アコースティック・ギターによるシンプルで素朴なフォーク・ タッチの曲もあり、こういった曲がAliceの落ち着いた歌声で聴くのも、なかなかに魅力的です。また、すごい量のコーラス/ハーモニーが 入っています。小さめの音でかぶせられているので、ぼんやりと聴いているとうっかり聞き漏らしそうな感じですが、ふと気がつくとそこにはコーラス、振り返 るとハーモニー、というくらいに「声」がかぶせられています。 (ARCANGELO: ARC-71331 / 日本盤CD) (2006.07.02)

ALICE / EXIT (1998)
 キングレコードから日本盤がリリースされたAlice(アリーチェ)のファースト・アルバム『La Mia Poca Grande Eta』(1975)は、学生時代によく聴きました。
 その後、何枚かAliceのアルバムを購入しましたが、ファーストほどに楽しめるものはなく、というか、どちらかというと苦手なタイプの シンガーだと思っていました。それには、自分がもともと女性ヴォーカルが苦手というのもあるでしょうし、Aliceの音楽性をサポートして いたFranco Battiato(フランコ・バッティアート)も以前は苦手だったからというのもあったでしょう。
 なので、Aliceのアルバムを聴くのはとてもひさしぶりです。たまたまこの『Exit』が中古で安く売っていたので、と くに期待もせずに購入したのですが、聴いてみたら、過去の苦手意識がウソのように、すんなりと聴けてしまいました。
 ここへ至るまでに、Aliceの音楽性にどのような変遷があったのか、自分は知りません。少しずつ近づいてきたのか、このアルバムで突然 このようになったのかはわかりませんが、落ち着きと奥深さのあるヴォーカルには風格と説得力があり、いくぶんアンビエント風なゆったりとしたメロディとア レンジは豊かな広がりを感じさせます。
 以前のAliceは、もっと個性が強いというか、クセのあるシンガーだったように思うので、その点でものたりなく感じる人もいるでしょ う。でも、実力のある女性シンガーの作品としては充分なクオリティを持ったアルバムだと思います。(2000.03.12)



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AMBRA / ANGIOLINI (1996)
 アメリカ風の少しソウルが入ったようなポップス。M1「Tu sei」やM2「Ti stravoglio」などではラッ プも少し聴けます。ちょっと幼い感じもところどころにうかがえるヴォーカルがAmbra(アンブラ)の持ち味かもしれません。
 一方、M4「Oggi no」では落ち着いたヴォーカルも聴かせます。味わいという点ではものたりなくはありますが、過剰な感情が入らな い分すっきりとしたさわやかさを感じさせるバラードになっています。
 明るくクリアな音づくり、元気で派手なアレンジは、とてもアメリカ風です。全体にアメリカン・テイストで、イタリアらしさというのはあまり感じません。 メロディには流れるような美しさがありますが、これもイタリアやヨーロッパの美意識というよりはアメリカのAOR的な美しさだと思います。歌詞が英語だっ たら、アメリカの若い女性シンガーだといわれても違和感がないでしょう。そういう意味では、イタリアン・ポップス初心者の洋楽ポップス・ファンの人でも聴 きやすそうです。
 歌自体はそれほどうまいとは思いません。でも、それなりに伸びやかさがあるし、スローな曲でもちゃんと聴かせるだけの技量はあります。いくぶん冷めた感 じのかたさがあって、バラードなどでも甘くならないところが魅力といえるかもしれません。
 曲、歌ともに、飛びぬけてよいところはないのだけど、標準はクリアしているので、充分に楽しめます。ソフトなクラブ系(ディスコ系?)ミュージックとい うのでしょうか。悪くないです。
 なお、M3「Niente da capire」Lucio Fabbri(ルーチォ・ファッブリ)がアレンジしていま すが、だからといって他の曲と違った印象に仕上がっているといったことはありませんでした。(2002.07.21)



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ANNA OXA / OXANNA (1978)
 全体的にロックな要素が強いアルバム。Anna Oxa(アンナ・オクサ)の野太いヴォーカルと曲調が合っています。ほんの少しかすれた 低めの声には、強さのなかにある優しさのようなものを感じます。
 自分で曲を書かない歌手の場合、どうしても提供された曲のタイプや出来にイメージが左右されてしまうところがあると思います。しかしAnnaは、 ヴォーカリストとしての個性や表現力を充分に持っているため、Leo Sayer(レオ・セイヤー)「It's over」の カヴァーである「Dove」のようなアメリカンな曲も、Ivano Fossati(イヴァーノ・フォッサーティ)による「Se devo andare via」のようなイタリアンな曲も、どちらもAnnaの曲として、アルバムのなかで統一感を持って聴 けます。さらに「Un cielo a meta' (whole wild world)」のようなパンキッシュな曲でさえ、それほど違 和感なく楽しめてしまいます。
 とはいえ、やはり曲提供者によるカラーというか、クオリティの差のようなものはあって、「Dove」「Un cielo a meta'」のような英米のカバーよりも、イタリア人の書いた曲のほうが、メロディにふくよかさやなめらかさを感じます。なかでもとくにIvano Fossatiが書いた曲は、さすがというか、イタリアならではの楽曲構成とメロディの妙があり、それがAnnaの少しハス キーな声とあいまって、独特の魅力を引き出しています。(2002.01.20)

ANNA OXA / CANTAUTORI (1993)   alla "Musica"
タイトルどおり、イタリアのトップ女性シンガーのひとりであるAnna Oxa(アンナ・オクサ)が、イタリアのカンタウトーレ(シン ガー・ソングライター)たちの曲をカバーしたアルバム。いい声とはいいませんが、味わいのある声だと思います。表現力もほどよくあって、声もよく出ている し、うまいな。自分の好み的には、もっと個性が強いというか、アクの強い感じの声や歌い方のほうが好きなのですが、このくらいの個性のほうが、より幅広い 人にアピールするようには思います。 (COLUMBIA/SONY MUSIC ENTERTAINMET: COL 473803-2 / オランダ盤CD) (2006.07.22)

ANNA OXA / ANNA OXA / OXA CANTAUTORI (1994)   alla "Musica"
著名なカンタウトーレたちの曲をカバーした『Cantautori』(1993年)シリーズ?の第2弾。今回もLucio Dalla(ルーチォ・ダッラ)Ivano Fossati(イヴァーノ・フォッサーティ)Raf(ラフ)な ど、10人のカンタウトーレ作品10曲が収録されています。どれもAnna Oxa(アンナ・オクサ)のために書かれたわけではなく、それ ぞれのカンタウトーレたちが自分で歌うために書いたものをAnnaがカバーしているだけなので、Annaの声質や歌い方を最 大限に活かすような曲というわけではありません。でもAnnaなりに上手に自分の色をつけて表現していると感じます。 (COLUMBIA / SONY MUSIC ENTERTAINMENT: COL 476958-2 / オランダ盤CD) (2007.12.16)

ANNA OXA / LA MUSICA E' NIENTE SE TU NON HAI VISSUTO (2006)   alla "Musica"
2006年のサンレモ音楽祭参加曲「Processo a me stessa」を収録したアルバムです。完全な新作というわけではなく、 2005年のツアーを収録したライヴ・アルバムに新曲を追加したような感じでしょうか。全体にエキゾティック感やトラッド風味が強く、いわゆるサンレモ系 のイタリアン・ポップスや英米系のポップ・ミュージックが好きな人には、とっつきにくいだろうし、あまり合わないかもしれません。でもこれ、実はなかなか 趣き深い作品だと思います。じっくりと聴くことで、どんどん味わいが出てくるのではないでしょうか。自分は気に入りました。40分に満たない収録時間のコ ンパクトさも好ましく感じます。 (QAZIM MUSIC / EMI MUSIT ITALY: 094635961621 / EU盤CD) (2007.12.16)



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ANNA TATANGELO / ATTIMO X ATTIMO (2003)
2002年のサンレモ音楽祭新人部門優勝者。まだ10代の若いシンガーですが、優勝するぐらいですから歌唱力はけっこうあります。
伸びやかで張りのある歌声で、力強さもあります。味わいの深さや豊かさといった点では、まだまだといった感じではありますが、若いシンガーにそれを期待し てもしかたがありませんね。ポップで元気な曲ではいいのだけど、スロー・バラードではメロディ以上の魅力を引き出せていないと思います。このあたりは今後 の精進次第ですね。
曲のほうは、イタリアらしい伸びやかなメロディあり、アップ・テンポのポップ・ロックありと、標準的な出来ではあるけれど、それなりに楽しめます。Irene Grandi(イレーネ・グランディ)Laura Pausini(ラウラ・パウジーニ)のあいだ(ちょっとIrene寄 り)といった感じでしょうか。
若い女性にありがちな、ちょっとキンキンした金属質な声のニュアンスが個人的にはもうひとつなのですが、元気はつらつ系女性ポップスとかが好きな人には愛 される作品なんじゃないでしょうか。 (EMI MUSIC ITALY: 5906342 / イタリア盤CD) (2004.05.09)



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GLI ALLUMINOGENI / SCOLOPENDRA (1972)
 オルガンを中心とした古のイタリアン・プログレッシヴ・グループ。決して1流ではありませんが、イタリアらしいひなびた演奏が聴けます。
 各楽器の音の肌触りがバラバラで、音色アンサンブル的には破綻していると思いますが、いかにもなプログレッシヴ・アレンジ、思わせぶりな展開は、あのこ ろの音楽を愛聴していた人には嬉しいはず。ただ、ヴォーカルのメロディ・ラインにもう少し“唄”があればなぁと思います。(1999.07.03)



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GLI ALUNNI DEL SOLE / ...E MI MANCHI TANTO (1973)
 シングル曲を集めてつくられたらしいgli Alunni del Sole(アルンニ・デル・ソーレ)の2ndアルバム。日本でいう、 いわゆるラヴ・ロックに分類されるグループですが、ロック色はほとんどなく、どちらかというとフォーク・タッチな音楽です。
 流れるようななめらかなメロディ、美しいオーケストラ・アレンジが聴きどころですが、それ以上にほのかな哀愁をたたえたヴォーカルが味わい深いです。多 分あまり裕福ではないのであろう南部イタリアでの庶民の生活を思わせる、素朴で優しく、暖かいのだけれど、どこか寂しさも感じさせるグループ。 (1999.06.05)

ALUNNI DEL SOLE / LIU' (1978)   alla "Musica"
 収録されたすべての曲にオーケストラが配され、もともと丸くやわらかいメロディを持っているところに、さらにふくらみを与えることに役立っています。ど こかほのぼのとした感じの、さりげないなかにほのかな哀愁が香るやさしい音楽が聴けます。現代の刺激の強い音楽が置き去りにしてきた、ゆっくりした時間の 流れと季節の移り変わりが感じられるような、そんな音楽だと思います。(2002.04.21)



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ALUSA FALLAX / INTORNO ALLA MIA CATTIVA EDUCAZIONE (1974)    alla "Musica"
ひと言でいってしまうと、小粒だな。13の小曲を継ぎ目なくつなぎあわせることでアルバム1枚を形成するという手法なので、大きなうねりとかダイナミック な展開とかは出しにくい点もあるのでしょうが、自分の好みからすると、もう少し「おぉっ!」と思わせるような強引さのようなものが欲しかったです。フルー トを中心に、各種管楽器がけっこう大きく導入されているのがひとつの特徴といえるでしょう。でも、このフルートが、なんだか肺活量が少なそうで、聴いてて はらはらしちゃいます。それが幻想的かつはかなげな雰囲気を出すのに役立ってはいるのですが。弱点はいくつもあるのだけど、つむぎあわされた小曲のなかに 小さな「イタリアン・プログレッシヴの魅力」のかけらがたくさんちりばめられていて、それらを探し拾い集めるのはなかなか楽しいです。 (2004.12.25)



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AMEBA4 / AMEBA4 (2006)
ブーツ型をしたイタリア半島のかかとのあたり、プーリア州(Puglia)バーリ(Bari)出身の4人組グループ、Ameba4(アメーバ・ク アットロ)のデビュー・アルバムです。2006年のサンレモ音楽祭新人部門参加曲「Rido... forse mi sbaglio」も収録されています。
サンレモ参加曲もそうでしたが、基本的には1980年代ごろのイギリスのニューウェーヴを思い出させるような感じでしょうか。ミディアムからスロー・テン ポの曲が多く、演奏形態はニューウェーヴ風だけど、メロディにはもっと昔のブリティッシュ・ポップ風なやわらかさがあります。M4「Via da noi」などは8分の6拍子の露骨にオールド・ファッションドなロッカ・バラードで、いまどきこんなのありかとも一瞬思うのですが、かえって いまの時代にはこういうのも新鮮なのかもしれませんね。
こういったブリティッシュ・ポップ/ニューウェーヴ風なグループは最近のイタリアに多いように感じますが、Ameba4の音楽はイギリスぽ い装いを聴かせながらも根底にイタリアの濃い血が流れているように感じられるところが好ましいです。イギリス風の曲でも、歌メロのどこかにイタリアらしい 伸びやかなメロディが挟み込まれていたり、醒めた若者風な曲でもちょっと歌い上げるパートがあってイタリアの情熱がこぼれてしまったり。こういうところ、 好ましい。
曲調にバリエーションがあまりないので、アルバムを通して聴いてるとだんだんどれも同じに聴こえてきてしまうところがあり、これは今後の課題だろうな。ま た、このアルバムではプロデュースとアレンジをCorrado Rustici(コッラード・ルスティチ)が手がけているのですが、今後もCorradoが かかわって、彼らを育ててくれるのか。そこもポイントになるかもしれません。 (SUGAR / WARNER MUSIC ITALIA: 3312098036 / EU盤CD) (2007.04.22)



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AMBROGIO SPARAGNA / INVITO (1995)
 プロデュースを担当しているTony Carnevale(トニー・カルネヴァーレ)って、どこかで名前を聞いたことがある気がするので すが、有名な人でしたっけ?
 古いエジプトあたりの絵にありそうな、顔を持った月と太陽が砂漠の上に浮かんでいるといった感じのドリーミーなジャケットにひかれて購入したアルバムで すが、内容はユーロピアン・トラッドでした。Musicalia(ムジカリア)NCCPなどのように、トラッドをベースに したポップスやロックというのではなく、もっと純粋にトラッドという感じがします。秋の夜に似合うような、ちょっともの悲しい旋律が心に響きます。
 ピアノやアコーディオンを中心としたアコースティックな演奏と、哀愁のあるヴォーカルは、いわゆるポピュラー・ミュージックのフィールドではありません が、人間の根っこのところでつながっている音楽のような気がします。ここで聴かれる音楽には、ある種のヒーリング効果もあるのではないでしょうか。ロック とは違った精神の高揚を感じます。
 ちなみに、自分はこの人のアルバムを聴くのははじめてですが、トラッド・ファンのあいだではけっこう有名な人らしいです。スペインなどの南欧トラッド や、南米系の音楽が好きな人にアピールしそうに思います。(1999.10.11)



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AMEDEO MINGHI / AMEDEO MINGHI (1973)   alla "Musica"
デビューアルバムは、セカンド以降の彼の作品とは、ちょっと(かなり?)肌触りが違う気がします。彼らしい(いまと変わらない)フレーズは、はしばしに聞 こえます。中期以降はキーボードに完全に置き換わったオーケストレーションは、初期のころは生のストリングス・オーケストラを使っていますが、これもちゃ んと入っています。声も、若いながらもほどよく落ち着いていて、彼らしいです。ただ、曲の持つ雰囲気が妙に明るく、あまりヨーロッパを感じません。彼の ファンが、資料のひとつとして所有し愛聴するためのCD再発、という気がします。 (RCA/BMG ITALY: 82876600162 / EU盤CD) (2004.07.25)

Amedeo Minghi / Minghi (1980)
 アメデオ・ミンギ(Amedeo Minghi)の1980年のアルバム。この頃から、今と変わらない曲想をもっていたのがわかります。 今ほど貫禄はありませんが、マリオ・カステルヌオヴォ(Mario Castelnuovo)に似た感じの落ち着きがあります。
 また、この頃は生オーケストラをバックに使っていて、ポップで明るい曲が多いけれども、艶やかさを失わずにいます。ただ、リズミックな曲はいまひとつで すね。(1998.10.04)

Amedeo Minghi / 1950 (1983)   alla "Musica"
 90年代以降のアルバムに比べてデジタル的な要素が少なく、より人間的で暖かくやわらかな感じがします。
 90年代のものしか聴いたことがなかった自分としては、アメデオの曲というのは、いわゆるポップスとしてとっつきやすさにかける面があるように思ってい たのですが、80年代のアルバムを聴いてみると、意外と人懐こい面もあるのだなと気づかされます。
 ベスト盤やライブ盤で昔のアメデオの曲を聴いてすこしでも興味をもっているのであれば、ぜひ入手されることをおすすめします。(1998.02.01)

AMEDEO MINGHI / CUORI DI PACE (1986)   alla "Musica"
 キーボードを主体にした広がりのあるオーケストレーションに落ち着いた声のヴォーカルがジェントルに乗るという作風は、いまもむかしも、なにも変わって いない気がします。エレクトリックなアレンジが全体に施されていますが、あたたかさとしなやかさを失いません。ひとつひとつのフレーズも最近のアルバムと あまり変わらないのですが、その並べ方や曲としての構成、展開のしかたはこのアルバムのほうが質感があり、ドラマを感じます。アルバム全体としての構成も まとまりがあって、なかなかよい作品だと思います。(2002.12.01)

AMEDEO MINGHI / SERENATA (1987)   alla "Musica"
 この頃のアメデオ・ミンギ(Amedeo Minghi)は、キーボードだけでなく、生ストリングスによるオーケストレーションも多く 使っていて、今よりも暖かみが強いです。また、ヒューマンヴォイスによるコーラスも多用されていて、曲に厚みをつけるのに貢献しています。曲調、メロディ 的にも、今よりもやわらかく、人懐こい感じがします。
 このアルバムにはフォーク・タッチの曲もあり、全体的に地味目ではありますが、今と変わらぬミンギらしいメロディが流れているので、彼のファンなら安心 して聴いていられるでしょう。セールス的には成功しなかったアルバムらしいですが、自分は気に入っています。(1999.04.04)

AMEDEO MINGHI / LA VITA MIA (1989)   alla "Musica"
 彼の弾くエレクトリック・ピアノとオーケストレーションのみによる弾き語りライヴ。観客の歓声とともに盛り上がるようなことはありませんが、観客と暖か く穏やかな空間を共有している、落ち着いた美しさと気品にあふれたアルバムです。(2000.01.10)

Amedeo Minghi / In Concerto (1990)
 90年のローマでのライヴ盤。92年の2枚組のライヴにくらべると、ちょっと見劣りがするかな。1曲目のスタジオ録音にくらべると、ライヴ部分の薄っぺ らさが気になります。やっぱ、スタジオ盤のほうがいいなぁ、アメデオは。(1998.05.31)

AMEDEO MINGHI / NENE' (1991)   alla "Musica"
 1970年代のはじめにアルバム・デヴューしたAmedeo Minghi(アメデオ・ミンギ)ですが、人気が出たのは1980年代も終 わりごろのことでした。そのため、人気が出たころには過去のアルバムが廃盤になっており、入手が難しくなっていたようです。そこで新しいファンにも過去の 曲を手に届きやすいものをすることをおもな目的に制作された、再録音を中心にしたベスト盤のようです。(2000.05.14)

AMEDEO MINGHI / I RICORDI DEL CUORE (1992)   alla "Musica"
 1980年代以前はオーケストラなども使い、比較的暖かい感じの曲も多かったアメデオ・ミンギ(Amedeo Minghi)ですが、こ のアルバムでは全編にわたってキーボードによる壮大なオーケストレーションが使われ、ヨーロッパ的な陰り/湿りのある世界が展開されています。また、 ヒューマン・ヴォイスによるコーラスも効果的に使われ、音楽世界の奥行きを表わすのに貢献しています。神聖にすら聞こえます。
 ジャケット写真そのままに、鮮やかな色彩がありながらも深く沈んだ空気が支配していて、ユーロピアンな美意識が強く感じられます。彼のスタジオ盤は何枚 も聴いていますが、アルバム・トータルとしてイメージの破綻がなく、自分が聴いたなかではもっとも密度の濃い、完成度の高いアルバムだと思います。 (1999.02.11)

Amedeo Minghi / il Fantastico Mondo di Amedeo Minghi (1996)
 1996年に出たアメデオ・ミンギ(Amedeo Minghi)のアルバムは、映画やテレビのための音楽のコンピレーション。ヴォーカ ルが入るのは1曲だけで、あとは全部、キーボード・オーケストレーションによるインストでした。
 壮大な感じのものが多いけれど、一部アジア的なもの、ヒーリングっぽいものもあります。曲は悪くないと思うけど、やっぱり彼の声が聴きたいなぁ。 (1998.08.29)

AMEDEO MINGHI / I DECENNI (1998)
 前作『Cantare e' D'Amore』(1996)はリラックスした作風でしたが、それにくらべると、いくぶん重厚さが戻ってき ています。しかし、それ以前のものよりは肌触りはやわらかく、暖かな空気が流れていて、取っ付きやすいものになっています。広がりを持ったキーボード・ オーケストレーションは健在で、アメデオ・ミンギ(Amedeo Minghi)の落ち着いたヴォーカルをしっかりと盛り上げています。
 アルバムはCD-ROMになっていて、マルチメディア・トラックにはヴィデオ・クリップ、ディスコグラフィ、バイオグラフィなどが収録されています。
 作曲協力にクレジットされているA.Decimoというのは、きっとアントニオ・デーチモ(Antonio Decimo)のことでしょ う(彼のアルバムは入手できずにいるのですが、Minghiがプロデュースしており、Minghiファンにはおすすめと、Casa Biancaの店長がいっていました)が、S.Borgiaは誰のことでしょう? もしかして、ステファーノ・ボルジア(Stefano Borgia)でしょうか。(1999.02.28)

AMEDEO MINGHI / ANITA (2000)   alla "Musica"
 20世紀最後の年の11月にリリースされたこのアルバムは、ゆったりとした曲想に暖かいオーケストレーションがかぶるタイプの、いつものAmedeo Minghi(アメデオ・ミンギ)らしさにあふれた、おだやかな作品になりました。
 前作『Decenni』では世俗的なポップさとリラックス感といったものがまだ強く残っていましたが、今作では、ポップな親しみやすさ、 やわらかさは残しながらも、アルバム全体が、よりおだやかで、敬虔な気持ちと愛情にあふれています。感じとしては前作に収録された「Un uomo venuto da lontano」をもう少しリラックスさせたような曲が多く収録されています。
 『Decenni』以上に混声合唱がふんだんに導入され、またアルバムのオープニングではコーラス、中間部とエンディングではオーケスト レーションによるインスト曲が配置され、それが一層、このアルバムに落ち着きとロマンティックな感じを与えています。(2000.12.17)

AMEDEO MINGHI / L'ALTRA FACCIA DELLA LUNA (2002)
 Amedeo Minghi(アメデオ・ミンギ)の書くメロディは、デヴュー当時もいまも、ほとんど変わっていないと思います。だけど、 1990年代後半以降のアルバムは、それ以前のものにくらべて味わいが少ないように感じるのは、演奏やアレンジのせいでしょうか。
 もともとAmedeoって、メロディや曲の展開自体にドラマ性や起伏があるわけではないし、またヴォーカリストとしても、感情を上手に乗 せてドラマを感じさせるタイプでもありません。メロディも歌も、どちらかといえば淡々としたタイプで、それが魅力の一部でもあるのだけど、その魅力はアレ ンジや演奏によって高められていた部分も大きかったように思います。
 1990年代半ば以前のアルバムでは、おだやかな歌を、ときに暖かく、ときに壮大に包むキーボード・オーケストレーションの使い方にメリハリがあった し、またキーボード以外の楽器もきちんと使われていました。しかし、このアルバムを含め90年代後半以降のものは、演奏のほとんどがプログラミングされた キーボードとドラム・マシーンになっていて、Amedeo以外のミュージシャンが奏でる音が極端に少ないんです。
 さらに、このアルバムではアレンジとプロデュースもAmedeo自身が手がけています。そのことが、曲やアレンジのバラエティや起伏の少 なさといった、悪い方向に働いているように思えます。ひとつひとつの曲も、また曲の集合であるアルバムとしても、メリハリが少なくて単調なんです。なんと なく、ちからがないというか、芯がないような感じです。
 Amedeoは優れた作曲家であり、またアレンジやプロデュースもできるアーティストであることはわかります。それでも、あえて外部の優 秀なプロデューサーとアレンジャー、そして優れたミュージシャンを迎え、多様な才能が曲やアルバムのなかに昇華されていく、そういった作品を期待したいの ですが、マエストロにはそういう気はもうないのでしょうか。(2003.01.26)

AMEDEO MINGHI / SU DI ME (2005)   alla "Musica"
1992年の『I ricordi del cuore』を頂点に、その後のAmedeo Minghi(アメデオ・ミンギ)の 作品は縮小再生産を繰り返しているように感じてしまい、聴いていて、なんだか寂しくなってしまいます。このアルバムも内容が悪いわけではありません。ここ には、いつもどおりAmedeoの音楽が満ち溢れていますし、彼の優しい歌声もいつもどおりです。ただ、以前と変わらなすぎなんです。なの に演奏はオール・プログラミングで薄っぺらい。血の通った力強さやあたたかさや想いといったものが感じられない。結果として、これまでと同じ音楽だけど、 スケールダウンといった印象になってしまうのです。 (L'IMMENSO / EMI MUSIC ITALY: 07243 563503 2 8 / EU盤CD) (2007.09.09)



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ANDREA BOCELLI / SOGNO (1999)   alla "Musica"
 前作『Aria』がタイトルどおりオペラ・アリア集だったAndrea Bocelli(アンドレア・ボチェッリ)の新譜 は、『Romanza』以来のポップス・アルバムになりました。あいかわらずの美しいオペラ・ヴォイスでメロディアスなポップスを唄ってく れます。
 以前にくらべるとイタリア的な強引さが薄れて、ワールドワイド志向の音楽になっていると思います。日本盤も発売されています。(1999.06.05)

ANDREA BOCELLI / CIELI DI TOSCANA (2001)   alla "Musica"
 『Sogno』から2年、世界的なシンガーとなってからの3枚めにあたるポップス作品。アルバム・トップに大仰なドラマティックさを持っ た曲を配したり、他の曲もイタリアン・アメリカンなメロディアスさを盛っていたりと、方向性としては『Sogno』と同じといえるでしょ う。たとえばCeline Dion(セリーヌ・ディオン)だとかマライア・キャリー(つづりがわかんないや)だとかが歌うアメリカのドラマティック&ロマンティックな曲が好きなポップス・ファンに とっては、適度にヨーロッパの哀愁が感じられるロマンティックな音楽として心に響くのではないかと思います。(2001.11.18)



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ANDREA CHIMENTI / IL PORTO SEPOLTO (2002)
1959年、レッジォ・エミーリア生まれのAndorea Chimenti(アンドレア・キメンティ)は1992年に『La maschera del corvo nero』でソロ・デビューしていますが、それ以前はModa(モーダ)というイン ディーズ・グループのヴォーカルとして活動し、1983年からグループが解散する1989年までにアルバムを3枚リリースしていたようです。ソロになって からは、2004年までにアルバムを8枚、また2005年には初のDVDもリリースしています。
この『Il porto sepolto』は彼の6枚目のソロ作品となります。20世紀の前半に活動していたGiuseppe Ungaretti(ジゥゼッペ・ウンガレッティ。1988-1970)という詩人の詩に曲をつけたもののようで、非常におだやかで、詩的な 美しさに満ちた作品となっています。
主にピアノまたはアコースティック・ギターのシンプルな演奏のうえにAndreaの寂しげな歌声が乗るといったもので、そこにストリングス が奥行きや広がりを加えます。ちょっとメソメソした感じの特徴ある歌声は、たとえばDavid Sylvian(デヴィッド・シルヴィアン)な どと似たタイプといえそうです。と思ったら、過去にAndreaDavidは共演したこともあるようです。
いくぶんアンビエント・ミュージック風にも感じられる、美しく寂しげな演奏と、わずかにクラシカルな香り。曲調や歌い方にあまりヴァリエーションがなく、 どの曲も同じように聴こえてしまうということはありますが、透明で寒くて寂しい感じが漂うこの作品は、自分にはけっこう好ましいものです。収録時間が30 分程度と短いのも好印象です。(SANTERIA/AUDIOGLOBE: SAN018 / イタリア盤CD) (2007.03.17)



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ANDREA LO VECCHIO / LUCI A SAN SIRO ED ALTRI LAMPIONI (1995)
 自分はこのAndrea Lo Vecchio(アンドレア・ロ・ヴェッキオ)という人を全然知らないのですが、作曲家として有名な人 で、1970年代、80年代にはいろいろなシンガーに曲を提供していたのだそうです。
 自身で歌ったアルバムがこれ以外にもあるのかどうかはわからないのですが、歌自体はそれほどうまくありません。ちょっとだけひび割れた高めの細い声は、 イタリアン・カンタウトーレのひとつの典型といえるでしょう。曲も70年代、80年代のフォークソングやポップスを思わせる、柔らかく緩やかな流れを持っ たメロディで、そこにおだやかなオーケストレーションがかぶさる、やはり典型的なメロディアス・ポップスといったところです。
 その点で目新しさやかっこよさ、現代的な洗練などとは無縁ですが、70年代のカンタウトーレなどを愛聴してきた人にはきっと、優しい想いとともに美しい 記憶が戻ってくるような音楽ではないでしょうか。
 ポップ・ラップ風のどうしていいかわからない曲も入ってはいますが、一方でNilson(ニルソン)の「うわさの男」(でしたっけ? ア メリカン・ニュー・シネマの名作『真夜中のカーボーイ』のテーマ曲として使われヒットした曲です)を思わせるアコースティック・ギターのアレンジや、曲に よってはGruppo 2001(グルッポ・ドゥエミッラウーノ)を思い出させるものもあり、全体的には明るい陽射しに照らされた美しくロ マンティックな街角といった、海外旅行がいまほど簡単ではなかった時代の「憧れのイタリア」がフォーク・タッチの曲に乗って表現されているように思いま す。テレビその他のメディアでイタリアの情報が簡単に手に入り、イタリア旅行も身近になったいまの時代の若い人にはわかりづらいかもしれませんが。 (2000.06.17)



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ANDREA MAZZACAVALLO / same (2000)
 2000年のサンレモ音楽祭参加曲「Nord-Est」は、南国っぽい明るさと楽しさを持った曲調にAndrea Mazzacavallo(アンドレア・マッツァカヴァッロ)の粘り気のあるヴォーカルが乗り、ちょっと特徴のある曲でした。曲想のわりには 意外と声が出ていて、もしかしたらおもしろい育ち方をするかもしれないと感じたものです。
 その「Nord-Est」を収録したAndreaのファースト・アルバムがこれです。
 ある程度、予想はしていましたが、アルバム全体としてはこれといって特筆すべきことのない、普通のロック・アルバムでした。「Nord-Est」に 聴かれた陽気さのようなものは、ほかの曲にはあまりなく、イタリアというよりはイギリス的な雰囲気に包まれた、ちょっと湿った重さが感じられます。「Nord- Est」で特徴的だった、音を延ばした最後のところで少しファルセットが入るような歌い方は多く聴けますが、そこから「Nord- Est」のような楽しさはそれほど感じられず、イギリスのニューウェーヴ的な色彩が濃いといえます。バックの演奏やアレンジもニューウェーヴ 的です。
 それでもなんとなく楽しめてしまうのは、ヨーロッパ的な空気に満ちているのと、ちょっとアクロバティックな流れを見せるヴォーカル・ラインがおもしろい と感じられるからでしょうか。
 ちなみに、ライナーには作詞作曲:Andrea Mazzacavalloとなっているのですが、曲目リストの作詞作曲者はAndrea Pazzanとなっています。どっちが本名なのでしょうか。(2000.08.13)



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ANDREA MINGARDI / PROSSIMAMENTE (1988)   alla "Musica"
非常に歌唱力のあるカンタウトーレで、少しひび割れた声も趣があり、力強い歌い方も好ましく感じます。曲のタイプも、少なくともこのアルバムではなめらか で美しく、ときにロマンティックな部分もあり、これも好ましい。ただ、全体にキーボード(シンセサイザー)の音づくりとアレンジがいかにも安っぽくてセン スが悪いというか、古臭いというか(実際、古いアルバムですが)、もう少しなんとかならなかったのかと、その点が残念です。 (FONIT CETRA: CDM 2060 / イタリア盤CD) (2007.09.09)

Andrea Mingardi / Si Sente Dire In Giro... (1990)
 アンドレア・ミンガルディ(Andrea Mingardi)の1990年のアルバム。ジャケット写真を見る限り、この時点でかなりの おっちゃんです。いったいいくつなんだか。
 タイプとしては、イタリアによくいるダミ声カンタウトーレです。曲的には、ズッケロ(Zucchero)ほどではないけれど、思ったより もアメリカふうなソウルっぽい感覚を持った人みたい。(1998.08.29)



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ANDREA ORI / ANDREA ORI (2006)   alla "Musica"
2006年のサンレモ音楽祭新人部門に参加したAndrea Ori(アンドレア・オリ)のデビュー・アルバムです。サンレモ参加曲はこれ といって聴きどころのないつまらないものでしたが、アルバムのほうは力強いロックが多く収録されていて、それなりに楽しめます。英米ロック色の強い前半 と、ロック・カンタウトーレ色の強い後半とで、ずいぶん印象が違う感じのアルバムですが、自分は後半の作風のほうが好きです。歌メロの魅力がちょっと薄い 感じですが、クセのある声と力強い歌い方でその分をカバーしているといっていいでしょう。今後はどっちの色合いを強めていくのかわかりませんが、どちらに いくにしろ、曲作りのなかにもう少し上手にキャッチーさを混ぜ込めるようになるといいなと思います。 (CAROSELLO RECORDS & TAPES / WARNER MUSIC ITALIA: CARSH158 / EU盤CD) (2007.12.16)

Andrea Mingardi / Si Sente Dire In Giro... (1990)
 アンドレア・ミンガルディ(Andrea Mingardi)の1990年のアルバム。ジャケット写真を見る限り、この時点でかなりの おっちゃんです。いったいいくつなんだか。
 タイプとしては、イタリアによくいるダミ声カンタウトーレです。曲的には、ズッケロ(Zucchero)ほどではないけれど、思ったより もアメリカふうなソウルっぽい感覚を持った人みたい。(1998.08.29)



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ANDREA PARODI / LE PISCINE DI FECCHIO (2002)
 ちょっとクセのある高めの声が特徴的です。ポップスやフォークのシンガーというより、カントリー系のシンガーに多そうなタイプの声のような気がします (気がするだけですが)。
 この声にあわせてか、曲もどことなくカントリーぽい、ある種の田舎臭さと懐かしさを漂わせたようなフォーク・ロックになっています。少し硬めのアコース ティック・ギターの音が耳に残ります。
 M3「Il killer del Tennessee」では地中海風の味付けも楽しめます。
 M5「Le piscine di Fecchio」はかなり泥臭い感じの曲ですが、声と歌い方がどことなく軽く細い感じなので、あまり 重い印象になりません。このへんのバランスの悪さがかえっておもしろいというか、印象に残ります。
 M7「Lui non c'e' piu'」はアコースティック・ギターのストロークを中心にした力強いフォーク・ロック。ヴォーカルラ インの裏で奏でられる硬い音のアコースティック・ギターによるスタッカート気味のメロディが、曲によい「引っかかり」を与えています。
 M9「I rododendri della sera」やM11「Calabrisella mia」などではマンドリ ンが導入され、素朴で暖かい南欧の明るい陽射しを思わせます。
 全体に柔らかさと人のよさのようなものが感じられ、うらうらとした春の気候に合いそうです。ただ、クセのある声がちょっと好みを分けるかもしれません。 (2003.04.20)



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ANDREA TICH / MASTURBATI (1978)   alla "Musica"
タイプとしては、サイケデリック・フォークをベースにしたフォーク・ロック、でしょうか。プロデュースが、あのClaudio Rocchi(クラウディオ・ロッキ)ですから、当然といえば当然な音楽ですね。ふわふわとした浮遊感。魂を解放し自由に漂わせるようなアン サンブル。聴いててとても気持ちのいい、解放される感じの音楽です。アコースティックな演奏がやわやわと魂を包み込んで、空中へといざなってくれるような 感じです。(CRAMPS/EDEL: 0154142CRA / ドイツ盤CD) (2004.07.25)



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ANDREA VOLPINI / LA CAMICIA DELLE GRANDI OCCASIONI (2000)    alla "Musica"
タイプとしては、ジャズ・ヴォーカルをベースにしたポップスといった感じだと思います。Andrea Volpini(アンドレア・ヴォルピニ)が 奏でる歌とピアノを、ウッドベースやサキソフォン、アコーディオン、ヴィブラフォンといったアコースティック系の楽器がサポートします。ときにぶんちゃっ ぶんちゃっと軽快に、ときに激しくタンゴ風に、ときに小洒落たヨーロッパの裏通りを思わせるシャンソン風に、ときに甘く哀愁のあるスローなジャズ風にと、 いくつかのヴァリエーションでそれなりに聴かせます。(ANDREA VOLPINI: LV 025 / イタリア盤CD) (2007.03.17)



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ANGELO BRANDUARDI e CHOMINCIAMENTO DI GIOIA / FUTURO ANTICO (1996)
 Angelo Branduardi(アンジェロ・ブランデュアルディ)Chominciamento di Gioia(コミンチァメント・ディ・ジォイア)というグループとともに、ヨーロッパのトラッドや中世音楽を演奏したアルバム。オーケストラ の指揮はRenato Serio(レナート・セリオ)が担当しています。
 Angeloは1970年代から活動するカンタウトーレですが、いわゆるカンタウトーレ(シンガー・ソングライター)とは少し違った肌合 いを持っています。吟遊詩人風というか、彼の歌にはどこか夢幻と神秘が漂っている、独特の個性を持ったアーティストです。
 このアルバムはトラッドや中世音楽を演奏するものなので当然、彼のオリジナル曲を演奏するレギュラーのアルバムとはコンセプトが違うのですが、流れてく る音楽を聴いていると、受ける印象や肌触りがオリジナルの曲とあまり違いません。独特の夢見るようなやわらかい歌声の個性のためかもしれませんが、それ以 上に、Angeloの音楽自体がもともと中世的な印象をたたえているからでしょう。古から響いていた音楽が、Angeloと いう伝え手を通して、時間を超えて艶やかにみずみずしく輝いて聴こえる……そんな感じを持ったアーティストなので、このアルバムのようなコンセプトは彼に ぴったりだともいえます。
 アコースティックな演奏が晩秋の寒い朝の冷たくはりつめた空気によく合います。緊張した冷気のなかにそっとやわらかさを吹き込むような、おだやかなポッ プ・トラッド作品だと思います。(2002.12.01)

ANGELO BRANDUARDI / L'INFINITAMENTE PICCOLO (2000)   alla "Musica"
 アッシジの聖フランチェスコの生涯をテーマとしたこのアルバムは、中世ヨーロッパ的な感性で埋め尽くされています。1970年代の作品にくらべるとリズ ム面やアレンジ面で現代的な空気があり、以前よりファンタジックさ、夢見る感じは薄れたようには感じますが、素朴であたたかい彼本来の魅力は健在です。 (2000.04.15)



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ANGELO RUGGIERO / REGINA DEI GATTI (1993)
 重い空気が立ち込めるヨーロッパの街角を思わせる、油絵風のジャケットに引かれて購入したアルバムです。そこから流れ出てきた音楽は、ジャケット・イ メージにたがわないものでした。イタリアというよりはシャンソン、あるいは古いヨーロッパの伝統音楽風の曲が聴かれます。
 ヴァイオリンとキーボードを中心とした最小限の演奏に、Angelo Ruggiero(アンジェロ・ルッジェーロ)の沈み込んだヴォー カルが乗る作風は、初期のイギリス4ADレーベルの作品群のように、とても光が少ないものです。寒い季節に夕闇の迫る石畳の街角で、うらぶれた街角楽師が 奏でる音楽のように、美しいのだけどどこかはかなげで、切ないです。
 深く沈んだ気持ちと悲しみが全体に漂っていますが、その合間に現われるメロディの鮮やかさが救いです。基本のトーンが湿っぽい分、鮮やかさが一層、際立 ちます。退廃美という言葉が似合いそうな、非常にヨーロッパ的で、独特の美意識にあふれた作品です。(2000.02.11)



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Anonima Sound Ltd. / Red Tape Machine (1972)
 アノニマ・サウンド・リミテッド(Anonima Sound Ltd.)イヴァン・グラツィアーニ(Ivan Graziani)がソロになる前に参加してたグループとして、それなりに知名度がありますが、曲にイタリアらしさはあまり感じません。歌詞 が英語なせいもあるでしょうが、アコースティック・ギターとオルガンを中心とした、泥臭くて粘っこいサウンドは、1970年代はじめの頃の英米の音に近い でしょう。なんとなく、CCRレア・バード(Rare Bird)なんかを思い出してしまいました。
 美しい音のアコースティック・ギターとフルートが絡むパートなどは幻想的で、心引かれるものもありますが、基本的にはブルーズ・ベースのオルガン・ロッ クです。(1998.12.06)



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GLI APOSTHOLI / HO SMESSO DI VIVERE (1979)   alla "Musica"
これといって特徴のない作品。土着フォーク風な曲調をベースに、あまりに古臭い、まるでI Cocai(イ・コカイ)かよっていうような キーボード・アレンジが施されてます。とくに盛り上がることもないメロディ・ラインもちょっとつらい。ジャケットのイラストは趣があっていいのですが、内 容はあまりに地味。曲自体が地味なのにアレンジが古くて安っぽい派手さを持っているのがちょっと泣けてきます。 (M.P.RECORDS: MPRCD042 /イタリア盤CD) (2005.07.18)



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ANONIMO ITALIANO / same (1995)
 アノニモ・イタリアーノ(Anonimo Italiano)の1stアルバム。声や曲の感じにクラウディオ・バッリォーニ (Claudio Baglioni)を思わせるところがあり、自分は気に入っているカンタウトーレです。ただ、このアルバムでは、彼の自作 曲があまりないのが残念です。(1999.02.28)

ANONIMO ITALIANO / BUONA FORTUNA (1996)
 アノニモ・イタリアーノ(Anonimo Italiano)の2ndアルバム。1stでは自作曲も少なく、まさにAnonimo Italiano(匿名のイタリア人)な感じを醸し出してましたが、このアルバムでは大半が自作曲になりました。その結果か、本来の彼らしさが前面に出ていると思います。
 軽やかななかにも叙情のある、都会の持つ優しさのようなものを感じられる音楽です。哀愁度はそれなりに高いですが、ベタベタとしつこい感じはなく、さわ やかです。(1999.04.04)

ANONIMO ITALIANO / DIMMI CHE AMI IL MONDO (2002)   alla "Musica"
 ちょっとClaudio Baglioni(クラウディオ・バッリォーニ)に似た感じの声と曲を持つシンガー。前作『Buona fortuna』からおよそ6年ぶりにリリースされたサード・アルバムですが、パッションと哀愁のあるダミ声は健在で、イタリアン・ダミ声カ ンタウトーレ・ファンにはなじみやすく、また愛しやすい作品でしょう。もともと「小粒なClaudio」といった趣がありましたが、このアルバムでもそう いった味わいが充分に楽しめます。個性やオリジナリティという点では弱いなとは思うのですが、アーティスト性がどうかを抜きにすれば、好感の持てるイタリ アン・ポップス作品だと思います。(2002.07.21)



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ANTONELLA RUGGIERO / LIBERA (1996)   alla "Musica"
 元Matia Bazar(マティア・バザール)の歌姫のソロ第1作目です。楽曲的には中近東やアフリカ、さらに東洋を感じさせるものも ありますが、全体的にたおやかな、流れるようなメロディ・ラインになっていて、どれもがMatia Bazar時代のような、イタリアらし い輝きに満ちています。天空の高みにまで突き抜けるような、遠く地平線・水平線の果てにまで届くような、力強く、それでいて澄んだ歌声は大きな魅力です。 (2000.03.12)

ANTONELLA RUGGIERO / REGISTRAZIONI MODERNE (1997)   alla "Musica"
 元Matia Bazar(マティア・バザール)の歌姫、Antonella Ruggiero(アントネッラ・ルッジェーロ)が、Subsonica(ス ブソニカ)Blu Vertigo(ブルー・ヴェルティゴ)、Timoria(ティモーリア)といった若手のロック・グルー プとともに、往年のMatia Bazarの名曲をリ・アレンジして歌うという、ある意味「企画もの」的なアルバム。往年のMatia Bazarならではの魅力的なメロディが、あるときはブリティッシュ・ニューウェーヴ風に、あるいは南欧風、レゲエ風などの装いをまとって聴 かれます。これらのアレンジが、その歌メロを最大限に活かすものかどうかはわかりませんが、試みとしては悪くありません。また、楽曲としても楽しんで聴け ます。(2001.06.17)

ANTONELLA RUGGIERO / SOSPESA (1999)   alla "Musica"
自分が持ってるのAntonella Ruggiero(アントネッラ・ルッジェーロ)のソロ作品のなかでは、もっとも普通のポップスな感 じがします。Antonellaならではの、天空の高みに向かってぐんぐん伸びていくような歌声が堪能できます。アルバム・トップの「Inafferrabile」か ら、伸びやかなヴォーカルと七色の歌声が炸裂といった感じ。しかも少しエキゾチックな匂いもふりかけられていて、個人的には最初の1曲でもう満足です。ア ルバムとしては全体的に、ちょっと歌メロの魅力が弱いかなという印象もないでもないのですが、魔法の歌声をもつAntonellaのさまざ まなヴォーカル・スタイルが存分に堪能できるというという点で、Antonellaの魅力満載な作品だと思います。 (LIBERA / UNIVERSAL MUSIC: UMD 77583 / フランス盤CD) (2005.10.10)

ANTONELLA RUGGIERO + ARKE' QUARTET / LUNA CRESCENTE [SACRARMONIA] (2001)    alla "Musica"
 弦楽四重奏を従えた室内楽的アプローチを聴かせています。クラシックやトラッドなども演奏されていますが、クラシック的な重厚さや落ち着きというより は、どちらかというと華やかな印象があります。バックが弦ということもあり、これまでのパワフルさを抑え、より丁寧に、繊細に、歌っている感じがします。
 豊かな表現力と透明でしなやかかつ柔軟性にとんだ歌声は、冷たい夜風にあたりながら満天の星空を眺めているような、懐かしく美しい情景を思わせます。 (2002.03.17)

ANTONELLA RUGGIERO / BIG BAND! (2005)   alla "Musica"
2005年のサンレモ音楽祭参加曲「Echi d'infinito」を含む最新アルバムです。タイトルがビッグ・バンドですから、内容も やっぱりビッグ・バンド風(っていうのがどういうのか、よくわからないのですが)。たくさんのブラス隊をしたがえて、なんだかめちゃめちゃ豪華な、だけど 趣味のいい演奏が繰り広げられます。収録されているのはオリジナル曲よりも、いわゆるスタンダードと呼ばれているものが多いようです。少しざらついたブラ スの音、やわらかにリズムとメロディをきざむウッドベース、ブラシを使ったロマンティックなドラム。アメリカのジャズというよりは、ヨーロッパのキャバ レー音楽を思わせるような、豪華だけどどこか世俗っぽい猥雑さも感じさせる演奏が楽しめます。 (LIBERA / UNIVERSAL: 300693 7 / EU盤CD) (2005.06.04)



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Antonello Venditti / Sotto il Segno dei Pesci (1978)
 ピアノの音の美しさが印象的なアルバム。アントネッロ・ヴェンディッティ(Antonello Venditti)の曲は、ポップスとい うよりはフォークといった感じで、優しくて柔らかい曲が多いようです。派手な展開や大きな起伏はないけれど、落ち着いた美しさがあります。
 このアルバムではキーボードでゴブリン(Goblin)クラウディオ・シモネッティ(Claudio Simonetti)が 参加していますが、味付け程度にひっそりと演奏してます。(1998.12.06)

ANTONELLO VENDITTI / VENDITTI E SEGRETI (1986)
 Antonello Venditti(アントネッロ・ヴェンディッティ)の書くメロディには、独特のロマンティックな響きがあります。 これは1970年代初頭のデヴュー当時から現在まで変わりありません。そのメロディを取り巻くアレンジや音づくりなどは時代に合わせた変化を見せても、曲 の持つベーシックな部分、Antonelloらしさといった部分は、ずっと一定しています。そのベーシックな部分に魅力があるからこそ、お よそ30年にわたって人気カンタウトーレでいつづけられるのでしょう。
 1986年にリリースされた本作でも、Antonelloらしい、ゆったりとしたやわらかなメロディとロマンティシズムが存分に感じられ ます。いくぶんキーボードの扱い方が派手めなのは、80年代中盤という時代のせいでしょうか。ポップな使い方がされていますが、いま聴いてもそれほどチー プでカッコ悪い印象を受けないあたりは、さすがです。
 全体的には軽やかで明るい曲調のものが多く、乾いたギターの音色などにはアメリカのポップスに近い印象を受けます。しかし歌メロは、やはりイタリア的な 部分が多くあり、明るい陽射しと暖かみに満ちたイタリアン・ポップスになっています。またM1の「Peppino」では、どことなくAmedeo Minghi(アメデオ・ミンギ)を思わせる広がりもあります。
 強いインパクトや、思わず引き込まれるような密度、ドラマ性といったものはあまりありません。でも、おだやかな分、日常のBGMにかけておくと気持ちの いい日々がおくれそうな、そんなアルバムです。(2001.08.19)

ANTONELLO VENDITTI / ANTONELLO NEL PAESE DELLE MERAVIGLIE (1997)   alla "Musica"
ゆうなれば、ベスト盤みたいなものです。ただ、普通のベスト盤と違うのは、全曲がアレンジ違いで再録音されていること。しかも、全曲を通してバックにブル ガリアン・シンフォニー・オーケストラがつき、コーラス隊が入り、シンフォニック・アレンジがされてます。 (HEINZ MUSIC/BMG RICORDI: 74321544712 / イタリア盤CD) (2004.07.25)

ANTONELLO VENDITTI / GOODBYE 900 (2000)
 Antonello Venditti(アントネッロ・ヴェンディッティ)は、もう30年も第1線で活躍している超ヴェテランですが、い まだにみずみずしさが感じられるのはすごいことです。もともと落ち着いた感じのカンタウトーレでしたが、そういう意味では全然変わってないといえるのかも しれません。若いときからヴェテランのような風格があったようです。声などは円熟味が増しているのでしょうが、それが年寄り臭さにつながってはいません。
 このアルバムではいくぶん派手な音づくり、アレンジになってはいますが、イタリアらしい柔らかさと暖かさをさりげなく歌うというスタイルはそのままで す。この感覚はAntonelloの魅力のひとつといえるでしょう。
 ことさら大げさに盛り上げたり展開したりといった構成はありませんが、穏やかな流れのなかにドラマとロマンがあります。美しいオーケストレーションもふ んだんに使われています。軽やかなポップ・チューンも多く収録されていますが、彼の魅力がより感じられるのは、やはりカンタウトーレ的な曲においてでしょ う。
 ただのヴェテラン、あるいは年よりミュージシャンとしてかたづけず、若いイタリアン・ポップス/カンタウトーレのファンにも聴いてもらいたいアルバムで す。(2000.05.14)

DALLA/DE GREGORI/MONTI/VENDITTI / DAL VIVO * BOLOGNA 2 SETTEMBRE 1974 (1975)
 アルバム・タイトルどおり、Lucio Dalla(ルーチォ・ダッラ)、Francesco De Gregori(フランチェスコ・デ・グレゴリ)、Maria Monti(マリア・モンティ)、Antonello Venditti(アントネッロ・ヴェンディッティ)が1974年にボローニャで行なったコンサートを収録したライヴ盤。
 どういう目的で行なわれたコンサートなのかはわからないが、いまではすっかり大物となった彼らの若いころの実況録音という点では、それなりに意味がある のだろう。構成はいたって普通で、それぞれのカンタウトーレが交互に自分の持ち歌を歌うというもの。一緒にセッションするとか、持ち歌を交換してみると いった試みはなく、たんに4人が自分の持ち時間を自分のために使っているだけのような印象なのが残念。唯一、M11「Buonanotte fratello」FrancescoAntonelloが組んで歌うという、ちょっとイタリアン・ポップ スにくわしい人ならTheorius Campus(テオリウス・カンプス)を思い出させるところがあるのが興味深いかもしれません。
 中古で安く売られていたのでつい買ってしまったのだけど、参加しているカンタウトーレたちのファンでないと、なかなか楽しみにくいアルバムかも。ライヴ ならではの熱さや力強さといったものもとくになく、淡々と曲が演奏されていきます。複数アーティストによるライヴという性格上、アルバムとしてのドラマ性 やストーリー性も期待できないですし、そのうえ収録曲や演奏がどれもどちらかというと地味なので、正直にいってちょっとつらい部分がありました。 (2002.05.19)



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ANTONIO DECIMO / LA DOMENICA DELLE PALME (1993)   alla "Musica"
この人、いい声だな。クリーンで、あたたかみがあって、ちょっとセクシーで。カンタウトーレというよりも、ミュージカル・シンガーを思わせるような歌い 方。裏ジャケットには色鉛筆のようなタッチで海に近い古いイタリアの小さな町の広場の絵が描かれているのですが、これもまたやさしげでいい感じです。歌声 はとても魅力的なのだけど、彼のつくる曲に「Antonio Decimo(アントニオ・デーチモ)らしい個性」のようなものがあまり感じ られないのが残念です。曲によってほんのりAmedeo Minghi(アメデオ・ミンギ)風だったり、ナポリ風だったり、Mango(マ ンゴ)風だったりして、それらのどれも悪くはないのだけど、借り物っぽいんですよ。もう少しヴォーカルに個性があるとよかったのですが。とは いえ、それなりにイタリアの愛らしさが感じられるかわいらしいアルバムです。強い魅力は感じないけど、でもなんかむげにはできない。それはそれで素敵だと いえます。 (L'IMMENSO / EMI ITALIANA: 7243 8 27510 2 1 / イタリア盤CD) (2005.04.03)



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APOTEOSI / same (1975)
イタリアのプログレッシヴ・グループ、Apoteosi(アポテオジ)の唯一のアルバムです。
オープニングは怪しい響きのオルガンから始まって、このまま邪悪系シンフォニックになるのかと思わせるのですが、その後はどちらかというと軽やか系さわや かメロディアス・シンフォニックになっていきます。
このキーボード、なんていうんでしたっけ? ソリーナ? アープ? 忘れちゃいましたが、1970年代前半ころのユーロ・プログレ・グループがよく使って たやつで、さわやかなんだけど少しざらざらした音色にあたたかみがあって、けっこう好きです。このキーボードがこのアルバムの性格を方向づけてるといえる かな。
ヴォーカル・パートはかなりポップだと思います。女性ヴォーカルのためかもしれませんが、オランダのEarth & Fire(アース&ファイア)とか、イギリスのJulian J. Savarin(ジュリアン・ジェイ・サバリン)とかを思 い出しちゃいました。でも、アルバム後半では男声合唱風のコーラスも入ったりして、ただのポップ・プログレにはなってないんですけどね。
演奏力は、普通かな。ドラムはけっこううまいと思います。キーボードは、ちょっとだけミスタッチがあったりします。ベースは……よくわからん。ギターは、 まぁこんなもんでしょう。全体にこじんまりした感じで、かわいらしいです。
1970年代のイタリアン・シンフォニックをたくさん聴いてきた耳には、新鮮さとか驚きとか感動とかいったものはないけど、なんか愛らしくてむげにはでき ない……そんなアルバムです。 (MELLOW RECORDS: MMP 139 / イタリア盤CD) (2004.07.25)

 Apoteosi(アポテオジ)のリリースした唯一のアルバムですが、もともとは自主制作LPだったようです。自主制作とはいっても内容 はよく、CDで再発される前は、コアなファンの間では話題になっていました。
 実際、自主制作ゆえの録音の悪さや楽器の音の安っぽさなどに目をつぶれば、それなりの水準にあるシンフォニック・ロックだといえるでしょう。メロディも そこそこ美しいし、女性ヴォーカルもこれといった特徴がありませんが、好きな人なら楽しめるはずです。
 それでもやはり「B級だな」と感じるのは、曲の構成力や展開力が弱いのと、グループ自体の瞬発力のなさが原因でしょうか。ひとつひとつのフレーズやアレ ンジにはまずまずのものがあるのに、ひとつの楽曲として聴いたとき、そして楽曲の集まりであるアルバムとして聴いたときに、最後まで聴き手をひきつける力 が足りないと思います。
 それゆえ、この作品はやはり、数多くのイタリアン・プログレッシヴを愛聴してきたファンが、そのコレクションの一環として聴くべき作品なのでしょう。決 して、イタリアン・プログレッシヴの初心者が、その遍歴のはやい時期に聴くべきアルバムではないと思います。ほかにもっと、先に聴いておいたほうがいいア ルバムがたくさんあるはずです。
 全体として悪くはないのだけど、全部において力不足。ただ、そこが、多くのイタリアン・プログレッシヴに触れてきたファンにとっては可愛くもある好盤と いえるでしょう。(2000.05.14)



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ARCASTELLA / ELEMENTARE (2003)
ペンギンのイラストが描かれたジャケットが、ほのぼのとした感じです。クリーン・トーンのエレキ・ギターのストロークを中心にしたフォーク・ロックといっ た感じで、フィドルも導入され、ほどよくカントリー風味です。ジャケットのイメージとはちょっと方向性は違いますが、ある種のほのぼの感がただよっている という意味では、それほどずれたジャケットというわけではないでしょう。
メロディや展開にドラマティックなところはなく、どちらかというと平板です。演奏もこれといって起伏があるわけではなく、ずっとギター・ストロークといっ た感じなので、いわゆるポップス的な楽しみを期待すると、ちょっとキツイかもしれません。こういった音楽はおそらく、歌詞の意味がわかったほうが楽しめる んでしょうね。
とはいえ、淡々とした演奏やメロディの合間に「ふっ」となにかが抜けるような時間があり、それがちょっとしたアクセントとなって、ただだらだらとなってし まうのを防いでいます。低めの乾いた声で歌われるヴォーカルも、味わいや表現力といったものからは遠い感じですが、それなりに存在感を持っています。M5「Onda di canto」などでは古い時代のユーロピアン・トラッド・フォークを思わせたりもします。
ポップス・ファン向けというよりは、ロックぽい曲も嫌いじゃないフォークやトラッドのファン向けのアルバムかなと思います。ちなみに、プロデュースにMassimo Bubola(マッシモ・ブボラ)が関わっています。 (ECCHER MUSIC / STORIE DI NOTE / SUONIMUSIC: EM 03.555 CD / イタリア盤CD) (2004.01.04)



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ARMANDO DOLCI / NON DORMO MAI (1999)
 なんとなくアーティスト名とアルバム・タイトルに魅かれて買ってしまったアルバム。名前を聞くのははじめてなのだけど、新人なのでしょうか。それにして は、あまり若くはなさそうですが。
 喉を絞って声を出しているような、ちょっと神経質な歌い方はあまりイタリア的ではないように思うし、曲想もちょっとイギリスのニューウェーヴっぽいとこ ろもあるのだけど、メロディの美しさなどには、イタリアの血を感じるところが多くあります。
 独特の浮遊感があって、音空間にも広がりがあります。ちょっとスペーシーな感じはサイケデリックをも思わせます。アモーレなポップスとは違うし、最近は やりのブリット・ポップ系でもない、なんだか変なポップ・ロックですが、これが意外と耳になじみます。
 ジャケットを見るかぎり、ヴィジュアル系というか、Renato Zero(レナート・ゼロ)系というか、つまり化粧をしているシンガー なのですが、ある意味イメージに合っているともいえます。Ron(ロン)がアコースティック・ギターで1曲だけ参加してます。 (1999.10.11)



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ARMONIUM / IL MEGLIO (1999)
 Armonium(アルモニウム)は1970年代に活動していたポップス・グループのようです。このアルバムはベスト盤ですが、たぶんオ リジナル録音ではなく、新録でしょう。その割には音がちょっと古い感じがしますが。
 タイプとしてはSchola Cantorum(スコラ・カントルム)Homo Sapiens(ホモ・サピエンス)、Gens(ジェンス)などと同じ系統になるのでしょうが、Armoniumはこれらのグ ループよりもイタリア歌謡的な感じが強いように思います。
 男性2人、女性1人の計3人が全員、ヴォーカルを取れるのですが、その比率は同率ではなく、メインの男性ヴォーカル+サポート2名といった扱いのようで す。せっかく3人とも歌えるのに、コーラスを聴かせることはほとんどありません。掛け合いヴォーカルもあまり多くなく、歌えるメンバーが3人もいるという 資産を上手に活かしているとはいえません。コーラス・アレンジを上手に行なえば、より劇的になっただろうことを考えると、少し残念です。
 これといって強い個性、特徴といったものは感じられませんが、カンツォーネ・イタリアーナが好きな人なら、きっと楽しめるでしょう。 (2000.05.14)



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Audio 2 / same (1993)
 往年のルチオ・バッティスティ(Lucio Battisti)を彷彿させると紹介されて購入したアウディオ・ドゥエ(Audio 2)。そういわれればそんな気がしますが、当然ながら非常に現代的にソフィスティケイトされています。リズムの刻み方の小気味よさなど、ポッ プとしてのクオリティは高いんじゃないでしょうか。センチメンタルなバラードなどもありますが、全体的にはあっさりめなアルバムだと思います。 (1998.10.04)

AUDIO 2 / ACQUATICHE TRASPARENZE (2006)   alla "Musica"
デビュー作でもそうでしたが、ヴォーカルの声質とか歌い方とか、ときにはメロディ・ラインとかにも、ときどきLucio Battisti(ルーチォ・バッティスティ)の影がよぎります。全体的には軽やかなポップ・ロックといった感じで、都会的な洗練もあるのだ けど、そんななかでカンタウトーレ風の、フォークの雰囲気を持ったものがあったり、やわらかなスライド・ギター入りでリゾートぽい雰囲気のものもあったり します。(LEVEL ONE DISTRIBUTION / SELF DISTRIBUZIONE: JVM 01.06 ITA CD / EU盤CD) (2010.2.11)



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