MiniRevueTitle


POLAND


さらっと聴いたときのアルバムの印象を簡単に紹介します。


Anna Prucnal / Jozef Skrzek / Niemen / SBB / Turquoise




ANNA PRUCNAL / LES ANNEES FATALES (1999)   alla "Musica"
 ポーランド出身のシャンソン歌手。喉の奥から魂を搾り出すような、血を吐くように歌うような、独特の力強い感情にあふれたヴォーカル・スタイルに特徴があります。アコースティック・ピアノやギターといったシンプルな演奏に乗せて歌われる音楽は、とても演劇的でもあり、ある種の抑圧された美しさがあります。その点で、いくぶんマニアックな歌手でもあり、いわゆるシャンソンやフレンチ・ポップスのファンには馴染みにくいかもしれません。しかし、ここには、消費財としての現代大衆音楽がなくしてしまった「歌」、まさに「シャンソン」があると思うのです。歌に、声に、Anna Prucnal(アンナ・プリュクナル)という歌い手の心臓の鼓動が聴こえる気がするのです。その意味で、とても生真面目な歌手だと思います。(2001.05.20)



INDEX A B C D E F G H I J K L M N O P Q R S T U V W X Y Z



JOZEF SKRZEK / KONCERT SWIETOKRZYSKI (1983)
ポーランドのプログレッシヴ・グループSBBのキーボーディスト、Jozef Skrzek(ヨゼフ・スカルツェク)が1983年にワルシャワのホーリー・クロス教会で礼拝のあとに行なったコンサートを録音したものだそうです。いわゆるライヴ盤ということなのでしょうが、会場が教会ということもあってか、また演奏される曲の雰囲気にもよるのか、観客の歓声や拍手といったものは入っていません。そもそも観客がいたのかどうかもわかりませんが。
完全なソロ・コンサートだったようで、演奏者はJozefただひとり。ひとりでオルガンとシンセサイザーを演奏し、ときどきヴォーカルもとっています。古い教会につきものの大きなパイプ・オルガンがあるようで、これがとても荘厳に、美しい音を響かせます。ときには木のやわらかいぬくもりを感じさせ、ときには金属のきらびやかな音色を奏で、ときには地響きのような重厚さを響き渡らせます。
こういったオルガンのパートはいいのですが、シンセサイザーのパートが自分は苦手。なんだかグニョグニョやっているだけで、音楽として楽しめません。そして意外とこういったパートが多いのが、ちょっと自分にはつらいです。また、リズム・セクションがいないのも、自分にはつらいところ。
主にポーランド語(ですよね?)で歌われるJozefのヴォーカルは、どことなく牧歌的な雰囲気もあり、また言語の持つ響きそのものも味わいがあって、なかなか好ましく感じます。チャーチ・オルガンの響きのうえに彼の素朴なヴォーカルがのるパートがもっと多ければ、そしてそこに簡素でもいいのでリズム・セクションが入っていれば、自分にとっての好み度はもっと高くなったのになぁ。 (WYDAWNICTWO 21: 21.010 / ポーランド盤CD) (2007.04.22)



INDEX A B C D E F G H I J K L M N O P Q R S T U V W X Y Z



NIEMEN / MOURNER'S RHAPSODY (1975)
ポーランドの巨匠、Niemen(ニーメン)の代表作のひとつだそうです。初期の代表作『Enigmatic』ではアルバムの片面で大胆な合唱の導入があって、個人的に気に入っているのですが、このアルバムでもM6「Mourner's Rhapsody」で合唱入りのクラシカルなロックが聴けます。
また、これもNiemenの個性のひとつといえる、力強く熱いヴォーカルも全編で堪能できます。
もちろん、多彩で多様なキーボード・プレイも聴き応え充分です。曲によってはメロトロンやフルート、フィルターのかかったエレクトリック・ヴァイオリンも入ります。
こういった「構成要素」はとてもプログレッシヴ・ロック的なのですが、実際に聴いた感じはかなりいなたく、まんまプログレッシヴというよりは、プログレッシヴ・テイストを持った1960年代〜70年代のイギリスのオルガン・ロックのほうがイメージが似ているように思います。Julian J. Savarin(ジュリアン・ジェイ・サヴァリン)とかですね。曲調やアレンジのせいもあるのでしょうが、ヴォーカルの熱さが、たとえばイタリアなどのようなパッションとは違う、泥臭さを強く感じさせるものだからでしょうか。歌詞も英語だし。また、ときどき入ってくるコーラスもフラワー・ムーヴメントのころの曲に似たイメージを持っているからかもしれません。これらがまざりあって、全体にかなりいなたい力強さを持ったプログレッシヴ・テイストなヘヴィ・ロックになっていると思います。
そんななかM6は分厚いオルガンと男声合唱で荘厳に始まり、ヨーロッパらしい陰影を感じさせます。いくぶんハッタリ臭さもありますが、プログレッシヴ・ファンのツボをつく曲ではあります。 (CBS/NEW MUSIC/GREEN TREE RECORDS: GTR 120 / ドイツ盤CD) (2004.03.13)



INDEX A B C D E F G H I J K L M N O P Q R S T U V W X Y Z



SBB / SBB (1987)   alla "Musica"
何をいってるのだかぜんぜんわからないポーランド語?の響きには、いかにも「ヨーロッパ!」な哀愁が感じられます。声質もどことなくつらそう(笑)でいい感じ。メロディも非常にヨーロッパ的。といってもイギリスやドイツなどの西ヨーロッパ的な重厚感や深みではなく、東欧のフォルクローレやイタリア中南部の伝統音楽などをときに思わせるエキゾチックさを持ったヨーロッパ音楽を感じさせます。こういうメロディに出会えることがユーロ・ロックの楽しみだったんだよなぁということを思い出しました。A面後半以降は大キーボード・プログレ大会になり、スリリングでスピーディな演奏が繰り広げられます。優れた東欧プログレッシヴ・ロックのアルバムといえるしょう。 (SUPRAPHON: 1 13 2218 H / ポーランド盤LP) (2005.04.03)



INDEX A B C D E F G H I J K L M N O P Q R S T U V W X Y Z



TURQUOISE / PO DRUGIEJ STRONIE... (2003)   alla "Musica"
アルバム・タイトルの読み方がわかりません。デビュー・アルバムが女性ヴォーカル入りの極上シンフォニック・ロックということで話題になったようですが、これは2003年リリースのセカンド・アルバム。女性ヴォーカリストはふたりクレジットされてますが、デビュー作で歌っていた人とは違うらしいです。ざっと聴いた印象では、シンフォニック要素の強いプログレッシヴ・ハードといった感じです。それも、どことなく15年くらい前の日本のプログレ・ハードみたい。 (ARS MUNDI: AMS 033R / ポーランド盤CD) (2008/04/20)



INDEX A B C D E F G H I J K L M N O P Q R S T U V W X Y Z



Musica

Pensiero! -- la Stanza di MOA

(C)MOA

inserted by FC2 system